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第三章:まつろわぬ民
22:残り香
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夕食の間、龍進の様子は、いつもと変わらず、ライスカレーを口へ運びながら「美味いよ。たいしたものだ」と二回、褒めてくれた。
睡蓮は温かいお茶を二人分いれる。お茶を飲んでもカレーの味はまだ口の中に残っているし、服にも匂いがついているような気がする。前に食べたときには、それがどうにも気になってしまって、以来、カレーは口にしていなかったのだ。
龍進は湯飲みを置くと、睡蓮の目を見つめて静かに言った。
「世辞では無く、本当に美味しかった。我が家の味になるな」
「…………はい」
我が家、という言葉に睡蓮の心の中がほんのり温かくなったような気がする。偽りなのに。本当の家ではないというのに。
それから彼女は睡蓮の隣に座り、見上げるようにして言った。
「旦那様、本日も毒をいただきたく存じます」
「ああ……」
彼の袖の中から白と黒の錠剤が一つずつとり出される。それから、親指と人差し指が、睡蓮の蕾のような唇を割り、口の中に入れられる。
舌の中に乗せられた、黒の錠剤。苦くて、そして、甘い。
不意に睡蓮は思った。これは、もしかすると、毒では無いのかもしれない。
確信はない。だが、龍進としばらく一緒に暮らしてきた彼女にとって、毒物と彼とがどうにも結びつかなかった。彼が止むなく人の命を絶つときは、刀を手にし、自ら血という穢れを浴びるような、そんな気がしたからだ。
だが、その一方で、別にこれが毒であるか否かはたいしたことではないとも思った。
毒という枷があろうとなかろうと、自分がここから出て行くことはないからだ。
「旦那様、続けて白の錠剤を」
唇に感じる、彼の指の感触。まるで燕の子が、毎日餌付けされているような感覚だ。
白湯を飲み、錠剤を咽下する。
それから膳を台所まで下げて戻ってくると、龍進は食後の煙草を吸っていた。煙が天井に向かって、ゆらゆらと昇っていく様子はどこか不安げに映る。
「火薬の匂いはまだ残っているか?」
「……少しだけ」
「そうか」
龍進は灰皿で煙草をもみ消すと、向かい側に座った睡蓮を真正面から見て言った。
「では、改めて、君がこれと同じ匂いを嗅いだときのことを詳しく教えて欲しい」
「……はい」
二週間ほど前、この家に至る坂道を登っていたトラックの運転手から声をかけられたとき、その荷台から微かにこの火薬の匂いがしたこと、龍進と一緒に日本橋に行ったときは、その何倍もの強さで同じ匂いを嗅いだこと。
睡蓮が一通り話し終えると、いつのまにか壁際に立っていた三郎が言った。
「つまり、こいつが日本橋で事件直前に見たというトラックは、ちょうど現場に向かっている最中だったということか?」
「ああ。下瀬火薬を所持した実行犯が乗っていた可能性がある」
三郎の目が険しくなる。
「こいつが言うには、この家の前の坂道を昇っていたトラックからも同じ匂いがしたという。とすると、そんな物騒なものを積んだ車が、東京の街中をうようよ走り回っている、ということか?」
「それはどうだろうか。事件直前に見たトラックとそれ以外とでは、匂いの強さが全く違ったということだったよね?」
龍進の問いに、睡蓮がこくりとうなずく。
「であるならば、前者は火薬そのものの匂い、後者は火薬の残り香と考えるのが自然だろう。それに、あれはわずかな衝撃でも爆発すると言われている。もし、全てのトラックの荷台にあの火薬が無造作に積まれていたら、いくつかは走行時の振動で簡単に爆発しているだろう」
「よくわかんねーな。残り香っていわれても、なんで普通のトラックにそんな物騒なものの匂いが残っているんだ?」
「そうだな……」
龍進は顎に手を当ててしばらくなにかを考えた後、睡蓮を見て言った。
「君、火薬の匂い以外に、なにか気になったところはなかったか? どんな小さなことでも構わない」
「…………」
睡蓮は思い出す。
火薬と一緒に嗅ぎ取った匂いといえば……。
「そういえば、残り香と一緒に、腐りかけの人の匂いがしました」
「は……?」
三郎が口をぽかんとあけた。
「ちょっと待て! それは、死体の匂いってことだよな?」
「多分」
「なんでそれを先に言わねーんだ!」
睡蓮は眉間に皺を寄せて困惑する。別に死体の匂いなんてそこら中にありふれているものなのに。
「とにかく、君が見たトラックには下瀬火薬が積まれていた痕跡があるという、理解は成り立つ」
それから龍進はしばらくの間、腕組みをしてなにかを考えていたが、やがて睡蓮に向き直って静かに言った。
「頼みがある」
彼の双眸がこちらにまっすぐに向けられる。ただ、その目はいつもよりも暗く、そして、何故か微かな憤りの色が感じられた。彼のそんな顔を見るのは初めて見た。
「これは君との婚姻に関する契約内容からは外れることだ。だが、もし可能であれば、手伝ってはくれないだろうか。君の力が必要だ」
「…………」
真剣な瞳に見つめられ、何故か、彼女の心拍が微かに早くなった。
彼が自分の力を求めている。それで、自分が少しでも役に立てるのならば。
睡蓮は床の上に三つ指をつくと、静かに頭を下げる。
「……旦那様のご指示なら、なんなりと。それが婚約者の……、家族の務めですから」
ふと、彼の顔に笑みが浮かんだ。
「助かるよ、睡蓮」
「……あ」
またも、睡蓮の心がほんのり温かくなる。だが、今、彼女は自分のこの気持ちの正体がわからない。
睡蓮は温かいお茶を二人分いれる。お茶を飲んでもカレーの味はまだ口の中に残っているし、服にも匂いがついているような気がする。前に食べたときには、それがどうにも気になってしまって、以来、カレーは口にしていなかったのだ。
龍進は湯飲みを置くと、睡蓮の目を見つめて静かに言った。
「世辞では無く、本当に美味しかった。我が家の味になるな」
「…………はい」
我が家、という言葉に睡蓮の心の中がほんのり温かくなったような気がする。偽りなのに。本当の家ではないというのに。
それから彼女は睡蓮の隣に座り、見上げるようにして言った。
「旦那様、本日も毒をいただきたく存じます」
「ああ……」
彼の袖の中から白と黒の錠剤が一つずつとり出される。それから、親指と人差し指が、睡蓮の蕾のような唇を割り、口の中に入れられる。
舌の中に乗せられた、黒の錠剤。苦くて、そして、甘い。
不意に睡蓮は思った。これは、もしかすると、毒では無いのかもしれない。
確信はない。だが、龍進としばらく一緒に暮らしてきた彼女にとって、毒物と彼とがどうにも結びつかなかった。彼が止むなく人の命を絶つときは、刀を手にし、自ら血という穢れを浴びるような、そんな気がしたからだ。
だが、その一方で、別にこれが毒であるか否かはたいしたことではないとも思った。
毒という枷があろうとなかろうと、自分がここから出て行くことはないからだ。
「旦那様、続けて白の錠剤を」
唇に感じる、彼の指の感触。まるで燕の子が、毎日餌付けされているような感覚だ。
白湯を飲み、錠剤を咽下する。
それから膳を台所まで下げて戻ってくると、龍進は食後の煙草を吸っていた。煙が天井に向かって、ゆらゆらと昇っていく様子はどこか不安げに映る。
「火薬の匂いはまだ残っているか?」
「……少しだけ」
「そうか」
龍進は灰皿で煙草をもみ消すと、向かい側に座った睡蓮を真正面から見て言った。
「では、改めて、君がこれと同じ匂いを嗅いだときのことを詳しく教えて欲しい」
「……はい」
二週間ほど前、この家に至る坂道を登っていたトラックの運転手から声をかけられたとき、その荷台から微かにこの火薬の匂いがしたこと、龍進と一緒に日本橋に行ったときは、その何倍もの強さで同じ匂いを嗅いだこと。
睡蓮が一通り話し終えると、いつのまにか壁際に立っていた三郎が言った。
「つまり、こいつが日本橋で事件直前に見たというトラックは、ちょうど現場に向かっている最中だったということか?」
「ああ。下瀬火薬を所持した実行犯が乗っていた可能性がある」
三郎の目が険しくなる。
「こいつが言うには、この家の前の坂道を昇っていたトラックからも同じ匂いがしたという。とすると、そんな物騒なものを積んだ車が、東京の街中をうようよ走り回っている、ということか?」
「それはどうだろうか。事件直前に見たトラックとそれ以外とでは、匂いの強さが全く違ったということだったよね?」
龍進の問いに、睡蓮がこくりとうなずく。
「であるならば、前者は火薬そのものの匂い、後者は火薬の残り香と考えるのが自然だろう。それに、あれはわずかな衝撃でも爆発すると言われている。もし、全てのトラックの荷台にあの火薬が無造作に積まれていたら、いくつかは走行時の振動で簡単に爆発しているだろう」
「よくわかんねーな。残り香っていわれても、なんで普通のトラックにそんな物騒なものの匂いが残っているんだ?」
「そうだな……」
龍進は顎に手を当ててしばらくなにかを考えた後、睡蓮を見て言った。
「君、火薬の匂い以外に、なにか気になったところはなかったか? どんな小さなことでも構わない」
「…………」
睡蓮は思い出す。
火薬と一緒に嗅ぎ取った匂いといえば……。
「そういえば、残り香と一緒に、腐りかけの人の匂いがしました」
「は……?」
三郎が口をぽかんとあけた。
「ちょっと待て! それは、死体の匂いってことだよな?」
「多分」
「なんでそれを先に言わねーんだ!」
睡蓮は眉間に皺を寄せて困惑する。別に死体の匂いなんてそこら中にありふれているものなのに。
「とにかく、君が見たトラックには下瀬火薬が積まれていた痕跡があるという、理解は成り立つ」
それから龍進はしばらくの間、腕組みをしてなにかを考えていたが、やがて睡蓮に向き直って静かに言った。
「頼みがある」
彼の双眸がこちらにまっすぐに向けられる。ただ、その目はいつもよりも暗く、そして、何故か微かな憤りの色が感じられた。彼のそんな顔を見るのは初めて見た。
「これは君との婚姻に関する契約内容からは外れることだ。だが、もし可能であれば、手伝ってはくれないだろうか。君の力が必要だ」
「…………」
真剣な瞳に見つめられ、何故か、彼女の心拍が微かに早くなった。
彼が自分の力を求めている。それで、自分が少しでも役に立てるのならば。
睡蓮は床の上に三つ指をつくと、静かに頭を下げる。
「……旦那様のご指示なら、なんなりと。それが婚約者の……、家族の務めですから」
ふと、彼の顔に笑みが浮かんだ。
「助かるよ、睡蓮」
「……あ」
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