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本編
しおりを挟む「奥歯ガタガタ言わせたろか」って知ってる?
関西弁でキレた時の決めゼリフ。知ってても使ってる人見たことないけどね。
さっきから、それゆおっかなぁ。どうしよっかなぁ。って思ってるんだ。自分で言うのもなんだけどね。ボクものすごぉくお上品でスマートな言葉をいつも心がけてるんだ。人を汚い言葉で罵るなんて、以ての外。だけどなぁ。
どうしてそんなこと考えてるのかって?今ね、彼氏の部屋の前にいるんだけどね。ちなみに彼とは同棲中。
今日、ボクは1時限目があるから、彼より早く家を出たの。でもね、忘れ物しちゃって、それがないと授業受けれないし、今から行っても間に合わないから、家に戻ろっかなぁって。学校の近くまで来てたんだけど引き返してきたの。
それでね、家に戻ったら、玄関に見慣れないハイヒールがあってね。あれれ?だよね。
そぉっと、部屋の前にきたら、まさかの中から「あんあん」聞こえるの。そう、100パー浮気中。
うん。決めた。ボク、不本意だけど、ちょっと、頑張ってみます。
そして、ボクは部屋のドアを勢いよく開けた。
「呼ばれて飛び出てジャジャジャジャーンってことで、帰ってきたカナタくん19歳。大学一年生でっす!」
「カ、カナタ。お前今日授業で早く出たはずじゃ……」
「はい。質問にお答えします。忘れ物しちゃって、帰ってきちゃいました。ボクってば、おっちょこちょい。てへっ。ところで、ボク達のベッドで何してるのかなぁ?リクくん?」
「こ、これは、その」
「はい。元気よくゆってみてよ。浮気してまーす。同棲中の部屋に連れ込んでまーす。女とセックスしてまーす。まだ、ちんこ刺さったままでーす。って」
「い、いや」
「はい。終了。せめて、面白かったらちょっとくらい優しくゆってあげよっかなぁと思ったけど」
ボクはかぶってた猫を脱ぎ捨てた。
「お前なにしとんねん!コラァッ。ここ誰の部屋やとおもてんねん!ワシが借りとる部屋やぞ。お前、かいしょないから人の部屋に転がり込んでるちゅうのに、ええ身分やのう?その女なんやねん。はよ、ちんこ抜きさらせ!」
「カ、カナタ」
「あ"ー!何がカ、カナタや。はっきりもの言えや!」
「ごめんなさい。ごめんなさい。」
「あやまって済んだら警察いらんちゅうねん。その汚いちんこ隠して、土下座せんかい、ワレ!」
「ちゅうか、そこの女。お前もお前や、どう見てもド修羅場やんけ、はよ服着て、いねや!」
「い、いね?」
「帰れゆうとんねん。痛い目みなわからんのかい?はよいね!」
コソコソと着替えて、女は出て行った。
「何みとんねん!あの女気にしとんのけ?お前、いま、そんな場合か!ちゅうか、はよ土下座せぇや!」
「カ、カナタ。足オレの頭に乗っけるのはどうかなぁ?って思うし、あと言葉怖いんだけど」
「はぁ?お前なんかオレの足置きでも、もったいないわ。よう考えてみい、どこの世界にこの状況でお上品にしゃべるやつおんねん。はよ、言い訳でもなんでもしてみろや!」
「ごめんなさい。魔が差しました。もうしません。別れたくありません。許してください。」
「はぁぁ、ため息出るわ。それが言い訳か。頭悪い、甲斐性ない、おもんない、お前ええとこなんもないやんけ!ちゅうか、別れたないて、アホちゃうか。寝言は寝ていえや!くだらんこと抜かすなや。寒気するわ。」
「もう絶対しないから、お願い許して。」
「はぁ、何言うてケツかんどんねん!ケツの穴から手ぇ突っ込んで奥歯ガタガタ言わしたろか!」
そして、ボクは素っ裸のまま部屋からリクを蹴り出した。なんか外から聞こえるけど、聞こえなーい。しらなーい。
ダンボールあったっけ?ゴミ捨てないと。ボクは鼻歌まじりにリクの荷物を突っ込んだ。そして、窓からポイッと捨てた。うん。完璧。あースッキリした。
さぁ、新しい出会いがボクを呼んでいる。学校いこぉーっと。
玄関開けたら、なんか蹴ったけど、気にしなーい。
おわり
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