僕の兄は◯◯です。

一章

②

　今までプレイしていたゲームを一旦止め、未だ開かれる気配のない扉を眺める。


…あのアホの事はひとまず置いといて、そろそろ授業に出ようかなーなんて耽っていたら、ゆっくりと開かれた扉。


現れたのはあのアホではなくあのモジャ男だった。いや何故に？


いつも侍らせているお供の姿はなくキョロキョロと辺りを見回しては人気がないことを確認して、ほっと息を吐いたモジャに、首をかしげる。


ちょっと面白、いや気になったので覗いて見た。


「ふふっ…これで幸先輩はぼっち決定だ。だって僕が本物の主人公なんだから」


「………。」


だだっ広い屋上の真ん中で一人、不気味に笑うモジャ男から一度、目を逸らし顔を上げる。


あぁ、空が青いな……なんていかんいかん、現実逃避してる場合じゃなかった。可笑しい。可笑し過ぎる。あのモジャから電波っぽい言葉が聞こえた。


耳が悪くなったのかな、うん…もう一度聞いてみよう。


「井櫻(ｲｻｸﾗ)と箕面(ﾐﾉｵ)はもう攻略したけど、あのメンバーは流石に難しそうだなぁ。でも僕の好みだし…」


「…………。」


どうやら低俗は、期待通りの低俗だった模様。


っか何あれ、無人だからってあの暴露ぶりはアカンやろ。どこまで王道なんだモジャモジャ。しかし最高だ、愛してる！！