僕の兄は◯◯です。

一章

⑦

　あのクソ女の勝手な命令のせいで此処へ飛ばされて来たが、意外にもこの科は自分の趣味や個性に合っていて、とても居心地が良かった。


そこら辺は感謝しようと思う、そこら辺は。


絵画は僕の、唯一の取り柄でオアシス。絵画は僕だけの世界だから、好きだ。


「……ふぁ～」


ラフスケッチだけを終えて、鉛筆を筆箱に仕舞う。筋を伸ばし、欠伸を一つ。一点集中型だから邪魔者でも現れない限り、やり終えるのは早い。


芸術性を重んじるクラスな為、絵画の授業はとても多い。今回はラフスケッチだけなのだが、時間が二時間もあるので、必然的に暇になってしまった。


「……。」


荷物を全て横に置いてふと、腕を組んでみる。


こういうときは広太を襲う(肉体的暴力)べきか、寝るべきか否か。非常に迷いどころだ。あの野獣イケメソに見つかったら結果的ｱｰｯ!!だけど。


悩みまくった末に出てきた結論、爆睡することにした。人様のお邪魔するなんざ、いたいけでピュアな僕に出来ないよ……なーんて言ってみる。


「おやすみぃー」


寝る子は育つ。徐々に襲い掛かってきた睡魔に流されて、僕は目を閉じた。野獣が来ませんようにと祈りながら。





































「……寝てた奴が悪いんだから」