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23.カロリナ、足止めをくらう。
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日が明けると後方待機が合流して後片づけをはじまる。
川を汚していたのはゴブリンではなかった。
少し濁った水はさらに上流から流れてきていたので調査は終わらない。
しかし、ゴブリンの死体は200体以上もあり、これを回収するのが手間であった。
何と言ってもゴブリンの肉は農地の肥料として使われ、魔石も売れる。
これだけ多いと輸送も大変なので増援を頼んだ。
「ねぇ、エル。ゴブリンからすると、私らって突然に村を襲ってきた盗賊じゃないかしら?」
「そうですね! そうかもしれません」
「すると、私達の方が悪役だわ」
「ですが、ゴブリンの寿命は2年。1ヶ月で成長して繁殖力も凄いです。2年以上も放置すれば、キングが誕生すると言われます」
「アンブラの話ではキングって、大したことないと言ったじゃない」
「ですが、ロードが誕生すると様々な能力を与え、キングが強化されて手が付けられない強さになると言っていたのを忘れましたか?」
「わぁ、わすれる訳ないでしょう」
カロリナは忘れていた。
王都の周辺は常に巡回されており、ゴブリンの集落が分裂するほど大きくなるまで放置されると思っていなかったからだ。
キング擬きがいたと聞いた時は、『えっ』と声を上げた。
王国の騎士団は何をしているのよ。
ご立腹だった。
自分の甘い認識を責めるより、騎士団の巡回の手抜きを責めていた。
「放置されたのが悪いのよ。お父様に言って、苦情を出しておくわ」
騎士団のみなさんにトンだとばっちりが飛んだ。
エルには鬼のように怒り狂った大蔵大臣侯爵が騎士団に乗り込む姿が想像できた。
予算を人質にとって責めたてる。
騎士団のみなさんの困っている姿が目に浮かんだ。
ラーコーツィ家は良くも悪しく、騒動を起こす家柄であった。
逃げたゴブリンはどうしようもない。
逆襲に合わないように警戒する。
逃げた若いゴブリンにそんな力はない。
ただ、知恵を持ったゴブリンはすぐにゴブリンリーダーに進化し、リーダーがいるゴブリンの集落に成長は早い。
1年もあればキングが誕生し、2年後にはロードに進化することもある。
塵尻に逃げたゴブリン達の運命がどうなったのか?
それはまた、別の話であった。
◇◇◇
「なんだと! 我が愛しの娘が戦中で倒れたと申すのか!」
「いいえ、魔力枯渇でございます」
「そんな些細なことはどうでもよい。倒れたという事実が問題なのだ」
イケメンの侯爵閣下が涙を流し、鼻水を垂らして娘の安否を思って破顔した。
親ばかであった。
脳内では『お父様、助けて!』とSOSを送る娘の姿が脳裏に浮かぶ。
ここで動かねば、何の為の親か!
「屋敷の領兵をすべて動かす。いや、それでは足らん。一族に緊急招集を駆けよ。手の空いている者はすべて参陣させよ。馬引け!」
残る屋敷の領兵200人と一族の助っ人50人に参加が決まった。
さらに、冒険ギルドに乗り込んだ。
特別受付嬢のエディタの前にイケメン貴族が入ってきた。
エディタの心を揺り動いた。
きゃあ~~~、ちょっといかしたジェントルマンだ。
渋い感じで年を取り、その美しい美貌に大人の余裕を感じるカッコいい。
貴族様の登場を喜んだ。
こういう出会いをエディタは求めていた。
渋い知略に長けた商人もいい。
がっちりした均衡の取れた騎士様もいい。
でも、やっぱりイケメン貴族様は最高だわ!
「娘の担当は君かね!」
「娘と言われますと?」
「私はラーコーツィ侯爵である」
カロリナの父親であった。
カロリナも美人だが、父親のイケメン度も凄い。
やっぱり貴族様はイケメン度が高い。
カロリナちゃんのお父様はカッコいいわ!
「カロリナ様にはよくして頂いております」
「そうか!」
「君のような美しい女性で安心した」
「そんな!」
美しいですって!
やっぱりお口も巧いわ。
貴族、最高!
ごかっと金貨の入った袋が置かれた。
1,000枚は入る大袋であった。
何か、おかしいと感じた。
侯爵の手がエディタの手を握り、顔がぎゅと近づいてきた。
まさか、まさか、そんなのはいけないわ。
平民と貴族にラブロマンス。
禁断の愛。
侯爵様、いけません。
「頼む。 カロリナ~~~~~を助けくれ!」
いきなり顔が崩れた。
ちょっとイカしたジェントルマンに変わってしまった。
〔イカ(魷・烏賊):厳めしい、角ばった、イカ臭い〕
エディタの額に青筋マークが浮かぶ。
私の夢を返せ!
川を汚していたのはゴブリンではなかった。
少し濁った水はさらに上流から流れてきていたので調査は終わらない。
しかし、ゴブリンの死体は200体以上もあり、これを回収するのが手間であった。
何と言ってもゴブリンの肉は農地の肥料として使われ、魔石も売れる。
これだけ多いと輸送も大変なので増援を頼んだ。
「ねぇ、エル。ゴブリンからすると、私らって突然に村を襲ってきた盗賊じゃないかしら?」
「そうですね! そうかもしれません」
「すると、私達の方が悪役だわ」
「ですが、ゴブリンの寿命は2年。1ヶ月で成長して繁殖力も凄いです。2年以上も放置すれば、キングが誕生すると言われます」
「アンブラの話ではキングって、大したことないと言ったじゃない」
「ですが、ロードが誕生すると様々な能力を与え、キングが強化されて手が付けられない強さになると言っていたのを忘れましたか?」
「わぁ、わすれる訳ないでしょう」
カロリナは忘れていた。
王都の周辺は常に巡回されており、ゴブリンの集落が分裂するほど大きくなるまで放置されると思っていなかったからだ。
キング擬きがいたと聞いた時は、『えっ』と声を上げた。
王国の騎士団は何をしているのよ。
ご立腹だった。
自分の甘い認識を責めるより、騎士団の巡回の手抜きを責めていた。
「放置されたのが悪いのよ。お父様に言って、苦情を出しておくわ」
騎士団のみなさんにトンだとばっちりが飛んだ。
エルには鬼のように怒り狂った大蔵大臣侯爵が騎士団に乗り込む姿が想像できた。
予算を人質にとって責めたてる。
騎士団のみなさんの困っている姿が目に浮かんだ。
ラーコーツィ家は良くも悪しく、騒動を起こす家柄であった。
逃げたゴブリンはどうしようもない。
逆襲に合わないように警戒する。
逃げた若いゴブリンにそんな力はない。
ただ、知恵を持ったゴブリンはすぐにゴブリンリーダーに進化し、リーダーがいるゴブリンの集落に成長は早い。
1年もあればキングが誕生し、2年後にはロードに進化することもある。
塵尻に逃げたゴブリン達の運命がどうなったのか?
それはまた、別の話であった。
◇◇◇
「なんだと! 我が愛しの娘が戦中で倒れたと申すのか!」
「いいえ、魔力枯渇でございます」
「そんな些細なことはどうでもよい。倒れたという事実が問題なのだ」
イケメンの侯爵閣下が涙を流し、鼻水を垂らして娘の安否を思って破顔した。
親ばかであった。
脳内では『お父様、助けて!』とSOSを送る娘の姿が脳裏に浮かぶ。
ここで動かねば、何の為の親か!
「屋敷の領兵をすべて動かす。いや、それでは足らん。一族に緊急招集を駆けよ。手の空いている者はすべて参陣させよ。馬引け!」
残る屋敷の領兵200人と一族の助っ人50人に参加が決まった。
さらに、冒険ギルドに乗り込んだ。
特別受付嬢のエディタの前にイケメン貴族が入ってきた。
エディタの心を揺り動いた。
きゃあ~~~、ちょっといかしたジェントルマンだ。
渋い感じで年を取り、その美しい美貌に大人の余裕を感じるカッコいい。
貴族様の登場を喜んだ。
こういう出会いをエディタは求めていた。
渋い知略に長けた商人もいい。
がっちりした均衡の取れた騎士様もいい。
でも、やっぱりイケメン貴族様は最高だわ!
「娘の担当は君かね!」
「娘と言われますと?」
「私はラーコーツィ侯爵である」
カロリナの父親であった。
カロリナも美人だが、父親のイケメン度も凄い。
やっぱり貴族様はイケメン度が高い。
カロリナちゃんのお父様はカッコいいわ!
「カロリナ様にはよくして頂いております」
「そうか!」
「君のような美しい女性で安心した」
「そんな!」
美しいですって!
やっぱりお口も巧いわ。
貴族、最高!
ごかっと金貨の入った袋が置かれた。
1,000枚は入る大袋であった。
何か、おかしいと感じた。
侯爵の手がエディタの手を握り、顔がぎゅと近づいてきた。
まさか、まさか、そんなのはいけないわ。
平民と貴族にラブロマンス。
禁断の愛。
侯爵様、いけません。
「頼む。 カロリナ~~~~~を助けくれ!」
いきなり顔が崩れた。
ちょっとイカしたジェントルマンに変わってしまった。
〔イカ(魷・烏賊):厳めしい、角ばった、イカ臭い〕
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