刺殺からはじまる侯爵令嬢、カロリナだってがんばります!

牛一/冬星明

文字の大きさ
50 / 103

閑話.タイグは浮気者。

しおりを挟む
カロリナ達が宝具庫に案内され、服を選んでいると王の愚息ドムノが遅れて現れた。
その装備に唖然とする。
みすぼらしい皮の鎧にみすぼらしい剣だ。

だが、驚くことなかれ!
皮は皮でもヘビモスという魔獣の皮であり、防御力は一級品。
飾りもない黒々しい剣はアマダンタイトで作られた魔法剣であった。
すべて一級品。
初代王タイグの装備らしい。

「コニ。もう少しマシな格好にさせろ!」
「お嬢様の命令です。他の物をご所望なら自分で用意して下さい」
「無茶を言うな!」
「無茶なんて言っておりません。それが普通です」

初代王タイグは浮気者だったらしく。
みすぼらしい格好をさせられていた。
貴族と呼ばれる人は煌びやか衣服を身に付ける。
みすぼらしい格好をしている農夫のようなタイグを誰も王様と思わなかった。
権威に擦り寄る蠅虫を寄せ付けない苦心だった。

「王妃様も大変ね!」
「それはもうお嬢様は苦労なさいました。酒場で酒を飲めば、必ず一人の娘は家に持ち帰る人でしたから」
「お持ち帰りですか?」
「お持ち帰りです」

初代王タイグに子供が100人いたという伝説は初代王が魅力的な方であったという誇張でも何でもなく、本当に手癖の悪い男だった。
意図してやった訳ではないが、タイグの子供と結婚した夫や妻も田畑を耕せるので子沢山は重宝されることになった。
王国中に王族が広がったのも初代王の功績だ。

「子沢山はいい事ですが、その子供のその面倒を見る為にあっしらの仲間が呼ばれた訳です」
「コニさんも大変だったのね!」
「そりゃ、大変でした。100人というのも正式に妾になった25人が産んだ子供でして、名知らずの子供を含めると300人、もっとはいたかもしれません」
「どうしてそんなことに?」
「簡単です。王の女になると畑仕事ができるようになりますのさ。それに目を付けた貴族が娘や召使の女を差し出した。そして、貴族はその召使や生まれた子供を奴隷のように扱った。それに怒った妖精王が、通貨を使って人を雇う者、商売をした者に10日で死ぬ呪いを掛けた訳です。これで召使を雇うことができなくなった貴族らは、逆に召使に養って貰う弱い立場に変わり、タイグに取り巻いていた蛆虫がいなくなった訳です」

こうして最後に残った25人が王宮に入った。
この国で王族とは率先して田畑を耕す者と思われている。
現国王も田を耕している。
国務はその合間で行っている。
だが、タイグに似た王子が生まれるらしい。
特にドムノはタイグに似ているらしい。
で、仕事もせずに女を口説くドムノは王宮から追い出され、彼女達の家を転々としながら、幼馴染のアンナまで手を出してしまった。

「俺は仕事をしていないなど大きな間違いだ。俺は愛をささやくという仕事をしていた」

ドムノは自慢そうに胸を張る。
本気で女性を褒めることが仕事と思っているようだ。
それに胸を打たれる女性がいる。
幼馴染のアンナもその一人らしい。

「アンナを捨てた訳ではない。それより素晴らしい女性がいれば、その女性の為に愛をささやくのは義務だと思わないかね!」
「最低の男ね!」
「アザさんの言う通りです。最悪です」
「女性の心を満たすことが何故いけない。美しさを褒めるは男の義務だよ」
「仕事をして下さい」
「責めて、頼れる感じがないと駄目ですよね。カロリナ様」
「そうね! 頼れる感じは必要ね」
「我が君がそれを望むなら叶えよう」
「どうでもいいけど、アンブラに近づかないで!」
「何故だ?」

本気で聞いてくる。
答えようもなかった。
ともかく、愚息ドムノの評価はどこまでも低かった。

こんなのが初代王のような奴が何代かに1度現れてよくもっているものだ?

しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

私が王子との結婚式の日に、妹に毒を盛られ、公衆の面前で辱められた。でも今、私は時を戻し、運命を変えに来た。

MayonakaTsuki
恋愛
王子との結婚式の日、私は最も信頼していた人物――自分の妹――に裏切られた。毒を盛られ、公開の場で辱められ、未来の王に拒絶され、私の人生は血と侮辱の中でそこで終わったかのように思えた。しかし、死が私を迎えたとき、不可能なことが起きた――私は同じ回廊で、祭壇の前で目を覚まし、あらゆる涙、嘘、そして一撃の記憶をそのまま覚えていた。今、二度目のチャンスを得た私は、ただ一つの使命を持つ――真実を突き止め、奪われたものを取り戻し、私を破滅させた者たちにその代償を払わせる。もはや、何も以前のままではない。何も許されない。

断罪後のモブ令息、誰にも気づかれずに出奔する

まる
ファンタジー
断罪後のモブ令息が誰にも気づかれないよう出奔して幸せを探す話

熟女愛好家ユウスケの青春(熟女漁り)

MisakiNonagase
恋愛
高校まで勉強一筋で大学デビューをしたユウスケは家庭教師の教え子の母親と不倫交際するが、彼にとって彼女とが初の男女交際。そこでユウスケは自分が熟女好きだと自覚する。それからユウスケは戦略と実戦を重ねて、清潔感と聞き上手を武器にたくさんの熟女と付き合うことになるストーリーです。

遡ったのは君だけじゃない。離縁状を置いて出ていった妻ーー始まりは、そこからだった。

沼野 花
恋愛
夫と子供たちに、選ばれなかったイネス。 すべてを愛人に奪われ、彼女は限界を迎え、屋敷を去る。 だが、その先に待っていたのは、救いではなかった。 イネスを襲った、取り返しのつかない出来事。 変わり果てた現実を前に、 夫はようやく、自分が何を失ったのかを思い知る。 深い後悔と悲しみに苛まれながら、 失ったイネスの心を取り戻そうとする夫。 しかし、彼女の心はすでに、外の世界へと向かっていた。 贖罪を背負いながらもイネスを求め続ける夫。 そして、母の心を知っていく子供たち。 イネスが求める愛とは、 そして、幸せとは――。

【㊗️受賞!】神のミスで転生したけど、幼児化しちゃった!〜もふもふと一緒に、異世界ライフを楽しもう!〜

一ノ蔵(いちのくら)
ファンタジー
※第18回ファンタジー小説大賞にて、奨励賞を受賞しました!投票して頂いた皆様には、感謝申し上げますm(_ _)m ✩物語は、ゆっくり進みます。冒険より、日常に重きありの異世界ライフです。 【あらすじ】 神のミスにより、異世界転生が決まったミオ。調子に乗って、スキルを欲張り過ぎた結果、幼児化してしまった!   そんなハプニングがありつつも、ミオは、大好きな異世界で送る第二の人生に、希望いっぱい!  事故のお詫びに遣わされた、守護獣神のジョウとともに、ミオは異世界ライフを楽しみます! 仕事繁忙期の為、2月中旬まで更新を週一に致します。 カクヨム(吉野 ひな)様にも投稿しています。

敵に貞操を奪われて癒しの力を失うはずだった聖女ですが、なぜか前より漲っています

藤谷 要
恋愛
サルサン国の聖女たちは、隣国に征服される際に自国の王の命で殺されそうになった。ところが、侵略軍将帥のマトルヘル侯爵に助けられた。それから聖女たちは侵略国に仕えるようになったが、一か月後に筆頭聖女だったルミネラは命の恩人の侯爵へ嫁ぐように国王から命じられる。 結婚披露宴では、陛下に側妃として嫁いだ旧サルサン国王女が出席していたが、彼女は侯爵に腕を絡めて「陛下の手がつかなかったら一年後に妻にしてほしい」と頼んでいた。しかも、侯爵はその手を振り払いもしない。 聖女は愛のない交わりで神の加護を失うとされているので、当然白い結婚だと思っていたが、初夜に侯爵のメイアスから体の関係を迫られる。彼は命の恩人だったので、ルミネラはそのまま彼を受け入れた。 侯爵がかつての恋人に似ていたとはいえ、侯爵と孤児だった彼は全く別人。愛のない交わりだったので、当然力を失うと思っていたが、なぜか以前よりも力が漲っていた。 ※全11話 2万字程度の話です。

お飾りの妻として嫁いだけど、不要な妻は出ていきます

菻莅❝りんり❞
ファンタジー
貴族らしい貴族の両親に、売られるように愛人を本邸に住まわせている其なりの爵位のある貴族に嫁いだ。 嫁ぎ先で私は、お飾りの妻として別棟に押し込まれ、使用人も付けてもらえず、初夜もなし。 「居なくていいなら、出ていこう」 この先結婚はできなくなるけど、このまま一生涯過ごすよりまし

処理中です...