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第二章 魯坊丸と楽しい仲間達
八十夜 魯坊丸の知多対策
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〔天文十九年 (一五五十年)3月10日〕
荒尾空善の木田城は、北に水野-忠守(大膳家、紀次郎)の大高城、東に水野家当主・水野-信元の緒川城、南に今川方の花井播磨守の寺本城に囲まれている。
寺本城の南には、佐治-為景の大野城がある。
荒尾家は知多地頭を歴任した名家であり、一色家が尾張分国守護 (知多半島)を没収されると、十一カ所の地頭職を頂いた。しかし、応仁の乱以降に頭角を見せた水野家が知多半島の半分を支配する躍進を見せた。
また、尾張佐治家は地頭から一色家の家来となり、一色家を見限って幕府方に付いて知多で勢力を伸ばした。
知多半島の支配を進めていた二家に水野家が割り込んだので、織田方の荒尾家・佐治家は今川方の水野家と犬猿の仲であった。
親父(織田信秀)が那古野城を奪うまで今川-氏豊が支配者であった。
水野信元の父である忠政は、岡崎の松平-忠広に娘・於大を嫁がせて同盟を結び、今川方に与した。
熱田は氏豊の保護下、笠寺の山口家は今川方、他にも知多半島の領主が今川方になっていた。
しかし、水野忠政が亡くなり、信元が継ぐと今川を見限って織田家に寝返ったのだ。
荒尾家・佐治家は水野家と仮初めの和睦となった。
水野家の裏切りで知多半島の今川方の領主は窮地に陥った。
だが、今川を見限り、寝返る踏ん切りが付かない。
知多半島では、荒尾・佐治同盟、水野一族、今川方の領主という『三すくみ』で睨み合っている。
寺本城の花井播磨守は今川方であった。
「花井播磨守が兵を集めているのだな」
「間違いありません。すでに木田城の荒尾空善殿にお伝えし、空善殿は加藤家に援軍を要請すると申されました」
「そうか、ご苦労であった。引き続き、花井家を監視せよ」
「畏まりました」
寺本城の花井播磨守は北の木田城か、南の大野城のどちらを襲う事もできる。
今川が三河に侵入しているので、織田弾正忠家からの援軍がないと考えているのだろう。
後方を攪乱するのが、今川義元の戦略だろう。
考えてみれば、犬山城の織田信清の造反も奇妙だ。
援軍なしで勝てるとは考えられない。
親父の体調を確かめる為に、今川義元が織田信清を唆した。
犬山へ親父が兵を向ければ、今川勢が側面から三河を襲う密約があったのだろう。
そう考えれば、造反も理解できる。
あとで調べさせよう。
まずは花井対策だ。
俺は三郎左衛門に対して言い放つ。
「加藤。順盛殿と共に援軍に赴き、順盛殿と空善殿を守れ。最悪は木田城を捨ててもよい」
「城を捨ててよろしいので?」
「最悪と言った。東の吉川城の花井-入道も動くと思え。南西の坂部城の久松-俊勝は水野信元の妹・於大を後妻として貰い、水野と同盟を結んでいる。しかし、同盟など紙くずだ。どう動くは判らん。警戒を怠るな」
「北の佐治家は動いてくれますか?」
「動く。天尾崎の造船所の守備兵200人の内100人が佐治家の兵だ。佐治から荒尾への援軍となる。大野城の本隊も動くだろう。しかし、花井の寺本まで三里(12km)はあり、南の砦を攻撃する程度しか期待はできない」
「常滑の水野監物も警戒せねばなりませんな」
「佐治もわかっておるから問題ない」
佐治家と水野家は和睦しているが、小さな諍いを繰り返している。
織田弾正忠家が調停しているので大事になっていない。
しかし、地元の領主が納得している訳ではない。
隙を見せれば、がぶりと噛み付く事を佐治方も承知している。
「紅葉、乙女、牡丹、綾、薫は加藤に同行して戦の様子を覚えておけ。今後、俺の名代として一隊を率いてもらう」
「わたしがですか?」
「養父、義兄上がいない場合が多くなる。定季には城を守って貰わねばならん。千代女は護衛から外せない。さくら、楓、紅葉、何見、乙子の五人の誰かに一隊を任せる」
あわわわ、紅葉が狼狽した。
純粋な能力で言えば、楓の方が最有力だ。
楓は千代女の代わりが務まる。
しかし、気まぐれな楓は俺の意図を汲むという一点で予想外の行動を取りかねない。
少し不安だ。
対して、紅葉は冷静で合理的である。
俺と呼吸を合わせられる。
先頭を切れる乙女と組ませれば、問題なく連携が取れる。
乙女と同じくさくらも先頭を切れる。
しかし、お調子者のさくらを紅葉が制御できない。
さくらと組ませるなら何見姉さんだ。
何見姉さんは紅葉ほどの機転は利かないが風格と威厳がある。
厳しく指導を受けているさくらが逆らえない一人だ
順次、慣れさせていこう。
「千代。訓練を指導している前黒鍬衆の20人と、熱田の埋め立て工事を指揮する前黒鍬衆10人を参集させろ。30人を援軍として送る」
「30でござますね。承知しました」
「楓、中根家からの援軍は30だ。加藤家の援軍は100に留めよと伝えよ」
「承知しました」
楓はすぐに飛び出していった。
三郎左衛門が少し怪訝な顔をして聞いてきた。
「中根南城のみを見ても援軍を100人以上は出せるでしょう。領内の兵を集めれば、さらに多くの兵が集まると心得ます。しかし、先程の城を捨てよとの命令も解せませぬ。兵の出し惜しみに何か思惑がございますか?」
「もっと集まる。気づいておったか」
「魯坊丸様のお命を狙う不貞な輩を見過ごす訳に参りません。周辺を巡回もしております」
「その通りだ。中根、八事を含めれば、300人の援軍を出せる。天白川の作業員と鍬衆を呼び戻せば、さらに2,000人を動員できる。親父に頼めば、まだ3,000人は出せるだろう。織田家に余力がある事を今川方に教えてやらん」
「なるほど、花井家が動いたのは織田家の余力を知る為とお考えでしたか」
「ならば、始末すればよろしいのでは・・・・・・・・・そうですな。あと300人ほど増援して頂ければ、降伏させてみせます」
「必要ない」
「必要ないと・・・・・・・・・?」
三郎左衛門が首を横に捻った。
花井家を織田方に降伏させる事ができるのに、あえて降伏させない事に疑問を持った。
答えを教えてやっていいがどうしようか?
そんな風に考えていると、さくらが胸を張ってしゃべり出した。
「加藤殿の考えが浅い。降伏させればよい訳ではないのです」
「あえて敵方を残すと?」
「織田家から調略の指示を出しておけば、荒尾家と水野家が花井家を取り込む為に競う事になるのです。荒尾家と水野家が互いにけん制し合って『三すくみ』が維持できるのです」
「なるほど、確かに一理あるな。だが、状況を先延ばしするのみ。敵を残す不利益が大き過ぎる」
「加藤殿は愚かです。魯坊丸様が考えないと思うのですか。知多半島では鍬衆が貯め池を造る工事を進めているのです。同時に熱田屋が土地を借りて、果実や野菜、サトウキビの栽培をはじめている。今は土地代しか払っていません。しかし、農作物が売れると、領主と村に膨大な利益を齎すのです。そうなれば、荒尾家も水野家も織田なしでやってゆけない。両家が寝返る心配を取り除いてから、花井家に降伏か、死を迫ればよいのです・・・・・・・・・紅葉、これで間違ってませんですよね?」
「間違いありません。ですが、日の浅い加藤殿に教えてよいかは疑問です。千代女様が怒っていますよ」
さくらが振り返って、千代女を見ると少し眉を上げて微笑んでいた。
さくらが“しまった”という顔をした。
突然、三郎左衛門が笑い出した。
「あははは、魯坊丸様は戦が嫌いと思って心配しておりました。ですが、その心配は無用でございましたな。孫子曰く、『百戦百勝は善の善なるものに非ず。戦わずして人の兵を屈するは、善の善なるものなり』とあります。それを体現されていたとは、感服致しました。これで友らを尾張に呼ぶ事ができそうです」
友を呼ぶ?
三郎左衛門のような奴が来るって事か。
不吉な事を言うな。
その日の内に黒鍬衆が集められ、加藤順盛の援軍とともに夕日に照らされて、熱田湊を小早に乗って出港した。
荒尾空善の木田城は、北に水野-忠守(大膳家、紀次郎)の大高城、東に水野家当主・水野-信元の緒川城、南に今川方の花井播磨守の寺本城に囲まれている。
寺本城の南には、佐治-為景の大野城がある。
荒尾家は知多地頭を歴任した名家であり、一色家が尾張分国守護 (知多半島)を没収されると、十一カ所の地頭職を頂いた。しかし、応仁の乱以降に頭角を見せた水野家が知多半島の半分を支配する躍進を見せた。
また、尾張佐治家は地頭から一色家の家来となり、一色家を見限って幕府方に付いて知多で勢力を伸ばした。
知多半島の支配を進めていた二家に水野家が割り込んだので、織田方の荒尾家・佐治家は今川方の水野家と犬猿の仲であった。
親父(織田信秀)が那古野城を奪うまで今川-氏豊が支配者であった。
水野信元の父である忠政は、岡崎の松平-忠広に娘・於大を嫁がせて同盟を結び、今川方に与した。
熱田は氏豊の保護下、笠寺の山口家は今川方、他にも知多半島の領主が今川方になっていた。
しかし、水野忠政が亡くなり、信元が継ぐと今川を見限って織田家に寝返ったのだ。
荒尾家・佐治家は水野家と仮初めの和睦となった。
水野家の裏切りで知多半島の今川方の領主は窮地に陥った。
だが、今川を見限り、寝返る踏ん切りが付かない。
知多半島では、荒尾・佐治同盟、水野一族、今川方の領主という『三すくみ』で睨み合っている。
寺本城の花井播磨守は今川方であった。
「花井播磨守が兵を集めているのだな」
「間違いありません。すでに木田城の荒尾空善殿にお伝えし、空善殿は加藤家に援軍を要請すると申されました」
「そうか、ご苦労であった。引き続き、花井家を監視せよ」
「畏まりました」
寺本城の花井播磨守は北の木田城か、南の大野城のどちらを襲う事もできる。
今川が三河に侵入しているので、織田弾正忠家からの援軍がないと考えているのだろう。
後方を攪乱するのが、今川義元の戦略だろう。
考えてみれば、犬山城の織田信清の造反も奇妙だ。
援軍なしで勝てるとは考えられない。
親父の体調を確かめる為に、今川義元が織田信清を唆した。
犬山へ親父が兵を向ければ、今川勢が側面から三河を襲う密約があったのだろう。
そう考えれば、造反も理解できる。
あとで調べさせよう。
まずは花井対策だ。
俺は三郎左衛門に対して言い放つ。
「加藤。順盛殿と共に援軍に赴き、順盛殿と空善殿を守れ。最悪は木田城を捨ててもよい」
「城を捨ててよろしいので?」
「最悪と言った。東の吉川城の花井-入道も動くと思え。南西の坂部城の久松-俊勝は水野信元の妹・於大を後妻として貰い、水野と同盟を結んでいる。しかし、同盟など紙くずだ。どう動くは判らん。警戒を怠るな」
「北の佐治家は動いてくれますか?」
「動く。天尾崎の造船所の守備兵200人の内100人が佐治家の兵だ。佐治から荒尾への援軍となる。大野城の本隊も動くだろう。しかし、花井の寺本まで三里(12km)はあり、南の砦を攻撃する程度しか期待はできない」
「常滑の水野監物も警戒せねばなりませんな」
「佐治もわかっておるから問題ない」
佐治家と水野家は和睦しているが、小さな諍いを繰り返している。
織田弾正忠家が調停しているので大事になっていない。
しかし、地元の領主が納得している訳ではない。
隙を見せれば、がぶりと噛み付く事を佐治方も承知している。
「紅葉、乙女、牡丹、綾、薫は加藤に同行して戦の様子を覚えておけ。今後、俺の名代として一隊を率いてもらう」
「わたしがですか?」
「養父、義兄上がいない場合が多くなる。定季には城を守って貰わねばならん。千代女は護衛から外せない。さくら、楓、紅葉、何見、乙子の五人の誰かに一隊を任せる」
あわわわ、紅葉が狼狽した。
純粋な能力で言えば、楓の方が最有力だ。
楓は千代女の代わりが務まる。
しかし、気まぐれな楓は俺の意図を汲むという一点で予想外の行動を取りかねない。
少し不安だ。
対して、紅葉は冷静で合理的である。
俺と呼吸を合わせられる。
先頭を切れる乙女と組ませれば、問題なく連携が取れる。
乙女と同じくさくらも先頭を切れる。
しかし、お調子者のさくらを紅葉が制御できない。
さくらと組ませるなら何見姉さんだ。
何見姉さんは紅葉ほどの機転は利かないが風格と威厳がある。
厳しく指導を受けているさくらが逆らえない一人だ
順次、慣れさせていこう。
「千代。訓練を指導している前黒鍬衆の20人と、熱田の埋め立て工事を指揮する前黒鍬衆10人を参集させろ。30人を援軍として送る」
「30でござますね。承知しました」
「楓、中根家からの援軍は30だ。加藤家の援軍は100に留めよと伝えよ」
「承知しました」
楓はすぐに飛び出していった。
三郎左衛門が少し怪訝な顔をして聞いてきた。
「中根南城のみを見ても援軍を100人以上は出せるでしょう。領内の兵を集めれば、さらに多くの兵が集まると心得ます。しかし、先程の城を捨てよとの命令も解せませぬ。兵の出し惜しみに何か思惑がございますか?」
「もっと集まる。気づいておったか」
「魯坊丸様のお命を狙う不貞な輩を見過ごす訳に参りません。周辺を巡回もしております」
「その通りだ。中根、八事を含めれば、300人の援軍を出せる。天白川の作業員と鍬衆を呼び戻せば、さらに2,000人を動員できる。親父に頼めば、まだ3,000人は出せるだろう。織田家に余力がある事を今川方に教えてやらん」
「なるほど、花井家が動いたのは織田家の余力を知る為とお考えでしたか」
「ならば、始末すればよろしいのでは・・・・・・・・・そうですな。あと300人ほど増援して頂ければ、降伏させてみせます」
「必要ない」
「必要ないと・・・・・・・・・?」
三郎左衛門が首を横に捻った。
花井家を織田方に降伏させる事ができるのに、あえて降伏させない事に疑問を持った。
答えを教えてやっていいがどうしようか?
そんな風に考えていると、さくらが胸を張ってしゃべり出した。
「加藤殿の考えが浅い。降伏させればよい訳ではないのです」
「あえて敵方を残すと?」
「織田家から調略の指示を出しておけば、荒尾家と水野家が花井家を取り込む為に競う事になるのです。荒尾家と水野家が互いにけん制し合って『三すくみ』が維持できるのです」
「なるほど、確かに一理あるな。だが、状況を先延ばしするのみ。敵を残す不利益が大き過ぎる」
「加藤殿は愚かです。魯坊丸様が考えないと思うのですか。知多半島では鍬衆が貯め池を造る工事を進めているのです。同時に熱田屋が土地を借りて、果実や野菜、サトウキビの栽培をはじめている。今は土地代しか払っていません。しかし、農作物が売れると、領主と村に膨大な利益を齎すのです。そうなれば、荒尾家も水野家も織田なしでやってゆけない。両家が寝返る心配を取り除いてから、花井家に降伏か、死を迫ればよいのです・・・・・・・・・紅葉、これで間違ってませんですよね?」
「間違いありません。ですが、日の浅い加藤殿に教えてよいかは疑問です。千代女様が怒っていますよ」
さくらが振り返って、千代女を見ると少し眉を上げて微笑んでいた。
さくらが“しまった”という顔をした。
突然、三郎左衛門が笑い出した。
「あははは、魯坊丸様は戦が嫌いと思って心配しておりました。ですが、その心配は無用でございましたな。孫子曰く、『百戦百勝は善の善なるものに非ず。戦わずして人の兵を屈するは、善の善なるものなり』とあります。それを体現されていたとは、感服致しました。これで友らを尾張に呼ぶ事ができそうです」
友を呼ぶ?
三郎左衛門のような奴が来るって事か。
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その日の内に黒鍬衆が集められ、加藤順盛の援軍とともに夕日に照らされて、熱田湊を小早に乗って出港した。
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