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第二章 魯坊丸と楽しい仲間達
八十六夜 さくら、昇天する(ハンググライダーの開発案件)
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〔天文十九年 (一五五十年)8月末夕刻から……〕
俺は又右衛門にハンググライダーの制作を命じたのは春先の事であった。
一月ほどでバリスタの槍の上にハンググライダーの骨格を乗せた試作機を完成させ、夕闇の海に打ち出した。
初号機は発射直後に空中分解して墜落し、見事なまでぐちゃぐちゃに破壊されたと聞いている。
強度不足だった。
又右衛門は機体の強度を上げる事に四苦八苦した。
アルミ合金やカーボンファイバーなどの丈夫な素材は存在しない。
軽い素材として竹をベースに組み立てたが、発射の勢いに耐えられない。
厚さ二ミリの薄い鉄パイプにも挑戦したが、均一な薄い鉄板を作る事が難しい。
仮に巧く出来てもそれを均一な円柱に丸めるのが難しい。
鉄砲用の試作プレス機は銃身の長さであり、物干し竿のプレスができない。
鍛冶師の方が匙を投げた。
又右衛門は鉄パイプを諦め、竹に鉄糸を巻き付けて強度を上げる工法を生み出した。
夏の前に二号機が完成した。
前回と同様に村人を集め、バリスタの弓を張ると台に乗せたハンググライダーを打ち出した。
今度は打ち上げに成功して海に着水した。
ハンググライダーは台座ごと墜落して破損したが、成功は成功だ。
次の課題は、台座とハンググライダーの分離であった。
俺も又右衛門から相談を受けた。
機体と台座を挟むクリップ式では発射時の衝撃に耐えきれなかった。
試行錯誤の後、三点式キャップが採用された。
台座はLの字に変えて機体の主軸を二点で支え、船首にも三点目の接合部を設けて解決した。
大きな竹の筒に船体を支える竹筒が治まる。
ミニチュア機で何度も実験を繰り返し、改良に改良を重ねた三号機の打ち出しに成功した。
そして、今日を迎えたのだ。
十五日満月と一日新月に近づくと満潮の水位が上がる。
満潮になるのは早朝と夕刻だ。
仕事を終えた村人が綱を引くだけで小遣いが貰えるので、井戸田と田子の村人百人が集まった。
俺は熱田神宮の帰りに井戸田の渡しに足を伸ばした。
俺の到着を待って実験が始まった。
ハンググライダーに乗ったさくらに声を掛けた。
「さくら、人類初の飛行士として名を刻め」
「はい。このさくら、あのお日様まで飛んでみせます」
「任せた」
「任されした」
さくらも気合い十分だ。
千代女から采配を受け取ると、天に掲げた。
それを勢いよく振り下ろすと、バリスタの留め金が外れて、ハンググライダーが天に舞った。
本当に天高く舞った。
そこから錐揉み状態となって地面に落ちて墜落した。
50尺(15メートル)は上昇したように見えたが、滑空距離は横に15尺(4。5メートル)もなかった。
というか、俺の頭上だった。
千代女が俺を抱くと後ろに飛んだ。
飛び散る破片を目の前に目撃し、俺は九死に一生を得る。
もちろん、ハンググライダーは大破だ。
「若様、申し訳ございません」
「千代、大丈夫だ。千代のお陰で無事だった。それよりさくらは生きているか?」
「さくらですか?」
「あの高さから落ちれば、一溜まりもない」
「大丈夫だと思います」
横の楓が海を指差した。
摘んだ岩の岸壁に波が当たって水しぶきを上げていた。
そして、海面からさくらが“ぶはぁ”と息をついで顔を出した。
「ぶはぁ、死ぬかと思いました」
「愚かモノ。さっさっと上がってこい」
「さくら、一人で戻れるか」
「大丈夫です」
さくらは無事で泳ぎながら岸に戻ってきた。
千代女が申し訳ないように頭を下げた。
「申し訳ございません。さくらが発射の瞬間に踏み込んだ為に、機体が先に飛び出しました。遅れて台座が動き出し、船首が台座の先端に当たって飛び跳ねました。さくらは持っていた棒の根元が折れて、そのまま海に落ちました。さくらが焦った為に起こった失敗です」
「よく見えていたな」
「普通に見えたと思いますが、お見えになりませんでしたか?」
「まったく見えなかった」
海から上がってきたさくらはびしょびしょだ。
すばやく幕を立てると、乾いた服にお着替えだ。
その間も千代女がさくらを叱っていた。
「若様を危険に晒してどういうつもりですか」
「すみません」
「まだ機体は残っています。成功しなければ、どうなるかわかっていますね」
「もちろんです。成功させてみせます」
成功するかどうかはわからんぞ?
もう脅迫だが、まださくらがまだヤル気でよかった。
しかし、落下も考慮して、安全性を考慮すると革服と安全ヘルメットも作った方が良さそうだと思った。
一時中止して安全を考慮し直すのも考えたが、さくらも又右衛門はヤル気だ。
俺もOKサインを出した。
「さくら、頑張れ」
「はい。頑張ります。お仕置きは嫌です」
「墜落は怖くないのか?」
「千代女様に崖の上から滝つぼに何度も落とされました。海に落ちればなんともなります」
「そうか……がんばれ」
崖の上から滝つぼって、千代女も無茶をするな。
バリスタの弦を張り直し、二号機が載せられた。
さくらは台座に足を掛け、ハンググライダーの姿勢棒(コントロールバー)を握った。
又右衛門のハンググライダーは強度を上げる為に横に広がるクロスバーが斜め前に突き出しており、中央の骨格がダイヤ型になっている。
そのダイヤから羽軸(スパー)と呼ばれる棒が横に突き出し、三角形の翼(セール)が広がる。
普通は一本の主軸(キール)が二本で構成され、細長い三角形を作っている。
巨大なバリスタで発射する特殊なハンググライダーだ。
再び、俺は采配を振り下ろした。
「さくら、行きます」
今度は踏み込みを遅らせた。
すると、さくらの体は慣性の法則で体が沈んだ。
すると船首が下がり、台座と一緒に海に落ちていった。
何が起こったのかよくわからない。
「千代、わかる範囲で教えてくれ」
「おそらくですが、打ち出した瞬間に船首が下がり、大きな筒から巧く飛び出せなかったようです」
「あぁ、何となくわかった」
実験用のミニチュアで最初に起きた失敗だ。
筒と筒が引っかかり、分離しない現象だ。
筒の大きさを何度工夫し、油などの潤滑油で解消したのだが、さくらは重りと違って機体に固定されていない。
体を固定していないのは、着水時に機体と一緒に水没しない為の考慮だ。
その代わり、陸上選手のスタート時にある台座(スターティングブロック)を置いてタイミングを合わせてもらう。
濡れ鼠のさくらが戻ってきた。
「さくら、頑張れ」
3号機の打ち出しは成功した。
だがしかし、わずかに踏切が早かったのか、機首が上がって天を舞い上がると、バク転して墜落した。
踏切が難しいのか、4号機も舞い上がったが、今度は空中でさくらが抵抗して錐揉みになって、海岸近くに墜落すると、機体が一瞬で完全崩壊した。
さくらは着水した後、海底に背中から落ちたらしい。
その時に海水を飲み込んだ。
白目を剥いているさくらを引き上げると、海水を履かせて蘇生する。
しばらく咳き込んでいた。
さくらも「走馬灯が見えました。祖母ちゃんが手招きしていました」と弱音を吐く。
しかし、それを許す千代女ではない。
「さくら、若様にやると言ったからは責任を取れ」
「は、い。がっばり・・・・・・ます」
「あと少しだけ踏み込みを遅らせろ。それで完璧だ」
「はい」
青ざめたさくらが、最後の五号機に乗った。
采配を振るのが可哀想になってきた。
だが、中止はないらしい。
南無。
俺はさくらの無事を願って振った。
ガチャンという音から一気には台座に圧が掛かり、どんぴしゃのタイピングで踏み切りに成功するとハンググライダーは空へ飛び出した。
成功・・・・・・だ?
そう思った瞬間、船首の留め金が壊れて、ハンググライダーが空中分解して、さくらは姿勢棒(コントロールバー)を持ったままで海に落ちていった。
今日の教訓。
実験に失敗は付き物だ。
なお、一ヵ月後に五機の機体を修理して再度実験をした。
二回目も踏み込みのタイピングが会わずに何機かを失い、成功しても右や左によれて墜落し、強度に加えて左右のバランスも重要だと気付かされた。
三回目、四回目と失敗が続き、さくらは凍り付く真冬の海に何度も何度も飛び込んだ。
俺なら人間大砲で打ち出しだけでも耐えられない。
ジェットコースターなんて比じゃない。
加えて真冬の海に飛び込むとか……この拷問に耐える自信がない。
元気なさくらも昇天したのか、抜け殻の目になっていた。
さらに失敗は続き、翌年の二月となる七回目のチャレンジまで続くとは、さくらも俺も誰一人として思っていなかった。
俺は又右衛門にハンググライダーの制作を命じたのは春先の事であった。
一月ほどでバリスタの槍の上にハンググライダーの骨格を乗せた試作機を完成させ、夕闇の海に打ち出した。
初号機は発射直後に空中分解して墜落し、見事なまでぐちゃぐちゃに破壊されたと聞いている。
強度不足だった。
又右衛門は機体の強度を上げる事に四苦八苦した。
アルミ合金やカーボンファイバーなどの丈夫な素材は存在しない。
軽い素材として竹をベースに組み立てたが、発射の勢いに耐えられない。
厚さ二ミリの薄い鉄パイプにも挑戦したが、均一な薄い鉄板を作る事が難しい。
仮に巧く出来てもそれを均一な円柱に丸めるのが難しい。
鉄砲用の試作プレス機は銃身の長さであり、物干し竿のプレスができない。
鍛冶師の方が匙を投げた。
又右衛門は鉄パイプを諦め、竹に鉄糸を巻き付けて強度を上げる工法を生み出した。
夏の前に二号機が完成した。
前回と同様に村人を集め、バリスタの弓を張ると台に乗せたハンググライダーを打ち出した。
今度は打ち上げに成功して海に着水した。
ハンググライダーは台座ごと墜落して破損したが、成功は成功だ。
次の課題は、台座とハンググライダーの分離であった。
俺も又右衛門から相談を受けた。
機体と台座を挟むクリップ式では発射時の衝撃に耐えきれなかった。
試行錯誤の後、三点式キャップが採用された。
台座はLの字に変えて機体の主軸を二点で支え、船首にも三点目の接合部を設けて解決した。
大きな竹の筒に船体を支える竹筒が治まる。
ミニチュア機で何度も実験を繰り返し、改良に改良を重ねた三号機の打ち出しに成功した。
そして、今日を迎えたのだ。
十五日満月と一日新月に近づくと満潮の水位が上がる。
満潮になるのは早朝と夕刻だ。
仕事を終えた村人が綱を引くだけで小遣いが貰えるので、井戸田と田子の村人百人が集まった。
俺は熱田神宮の帰りに井戸田の渡しに足を伸ばした。
俺の到着を待って実験が始まった。
ハンググライダーに乗ったさくらに声を掛けた。
「さくら、人類初の飛行士として名を刻め」
「はい。このさくら、あのお日様まで飛んでみせます」
「任せた」
「任されした」
さくらも気合い十分だ。
千代女から采配を受け取ると、天に掲げた。
それを勢いよく振り下ろすと、バリスタの留め金が外れて、ハンググライダーが天に舞った。
本当に天高く舞った。
そこから錐揉み状態となって地面に落ちて墜落した。
50尺(15メートル)は上昇したように見えたが、滑空距離は横に15尺(4。5メートル)もなかった。
というか、俺の頭上だった。
千代女が俺を抱くと後ろに飛んだ。
飛び散る破片を目の前に目撃し、俺は九死に一生を得る。
もちろん、ハンググライダーは大破だ。
「若様、申し訳ございません」
「千代、大丈夫だ。千代のお陰で無事だった。それよりさくらは生きているか?」
「さくらですか?」
「あの高さから落ちれば、一溜まりもない」
「大丈夫だと思います」
横の楓が海を指差した。
摘んだ岩の岸壁に波が当たって水しぶきを上げていた。
そして、海面からさくらが“ぶはぁ”と息をついで顔を出した。
「ぶはぁ、死ぬかと思いました」
「愚かモノ。さっさっと上がってこい」
「さくら、一人で戻れるか」
「大丈夫です」
さくらは無事で泳ぎながら岸に戻ってきた。
千代女が申し訳ないように頭を下げた。
「申し訳ございません。さくらが発射の瞬間に踏み込んだ為に、機体が先に飛び出しました。遅れて台座が動き出し、船首が台座の先端に当たって飛び跳ねました。さくらは持っていた棒の根元が折れて、そのまま海に落ちました。さくらが焦った為に起こった失敗です」
「よく見えていたな」
「普通に見えたと思いますが、お見えになりませんでしたか?」
「まったく見えなかった」
海から上がってきたさくらはびしょびしょだ。
すばやく幕を立てると、乾いた服にお着替えだ。
その間も千代女がさくらを叱っていた。
「若様を危険に晒してどういうつもりですか」
「すみません」
「まだ機体は残っています。成功しなければ、どうなるかわかっていますね」
「もちろんです。成功させてみせます」
成功するかどうかはわからんぞ?
もう脅迫だが、まださくらがまだヤル気でよかった。
しかし、落下も考慮して、安全性を考慮すると革服と安全ヘルメットも作った方が良さそうだと思った。
一時中止して安全を考慮し直すのも考えたが、さくらも又右衛門はヤル気だ。
俺もOKサインを出した。
「さくら、頑張れ」
「はい。頑張ります。お仕置きは嫌です」
「墜落は怖くないのか?」
「千代女様に崖の上から滝つぼに何度も落とされました。海に落ちればなんともなります」
「そうか……がんばれ」
崖の上から滝つぼって、千代女も無茶をするな。
バリスタの弦を張り直し、二号機が載せられた。
さくらは台座に足を掛け、ハンググライダーの姿勢棒(コントロールバー)を握った。
又右衛門のハンググライダーは強度を上げる為に横に広がるクロスバーが斜め前に突き出しており、中央の骨格がダイヤ型になっている。
そのダイヤから羽軸(スパー)と呼ばれる棒が横に突き出し、三角形の翼(セール)が広がる。
普通は一本の主軸(キール)が二本で構成され、細長い三角形を作っている。
巨大なバリスタで発射する特殊なハンググライダーだ。
再び、俺は采配を振り下ろした。
「さくら、行きます」
今度は踏み込みを遅らせた。
すると、さくらの体は慣性の法則で体が沈んだ。
すると船首が下がり、台座と一緒に海に落ちていった。
何が起こったのかよくわからない。
「千代、わかる範囲で教えてくれ」
「おそらくですが、打ち出した瞬間に船首が下がり、大きな筒から巧く飛び出せなかったようです」
「あぁ、何となくわかった」
実験用のミニチュアで最初に起きた失敗だ。
筒と筒が引っかかり、分離しない現象だ。
筒の大きさを何度工夫し、油などの潤滑油で解消したのだが、さくらは重りと違って機体に固定されていない。
体を固定していないのは、着水時に機体と一緒に水没しない為の考慮だ。
その代わり、陸上選手のスタート時にある台座(スターティングブロック)を置いてタイミングを合わせてもらう。
濡れ鼠のさくらが戻ってきた。
「さくら、頑張れ」
3号機の打ち出しは成功した。
だがしかし、わずかに踏切が早かったのか、機首が上がって天を舞い上がると、バク転して墜落した。
踏切が難しいのか、4号機も舞い上がったが、今度は空中でさくらが抵抗して錐揉みになって、海岸近くに墜落すると、機体が一瞬で完全崩壊した。
さくらは着水した後、海底に背中から落ちたらしい。
その時に海水を飲み込んだ。
白目を剥いているさくらを引き上げると、海水を履かせて蘇生する。
しばらく咳き込んでいた。
さくらも「走馬灯が見えました。祖母ちゃんが手招きしていました」と弱音を吐く。
しかし、それを許す千代女ではない。
「さくら、若様にやると言ったからは責任を取れ」
「は、い。がっばり・・・・・・ます」
「あと少しだけ踏み込みを遅らせろ。それで完璧だ」
「はい」
青ざめたさくらが、最後の五号機に乗った。
采配を振るのが可哀想になってきた。
だが、中止はないらしい。
南無。
俺はさくらの無事を願って振った。
ガチャンという音から一気には台座に圧が掛かり、どんぴしゃのタイピングで踏み切りに成功するとハンググライダーは空へ飛び出した。
成功・・・・・・だ?
そう思った瞬間、船首の留め金が壊れて、ハンググライダーが空中分解して、さくらは姿勢棒(コントロールバー)を持ったままで海に落ちていった。
今日の教訓。
実験に失敗は付き物だ。
なお、一ヵ月後に五機の機体を修理して再度実験をした。
二回目も踏み込みのタイピングが会わずに何機かを失い、成功しても右や左によれて墜落し、強度に加えて左右のバランスも重要だと気付かされた。
三回目、四回目と失敗が続き、さくらは凍り付く真冬の海に何度も何度も飛び込んだ。
俺なら人間大砲で打ち出しだけでも耐えられない。
ジェットコースターなんて比じゃない。
加えて真冬の海に飛び込むとか……この拷問に耐える自信がない。
元気なさくらも昇天したのか、抜け殻の目になっていた。
さらに失敗は続き、翌年の二月となる七回目のチャレンジまで続くとは、さくらも俺も誰一人として思っていなかった。
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