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54.契約魔術。
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この世界には奴隷契約と奴隷魔術が存在する。
奴隷も存在するが、奴隷魔術を使うことはあまりない。
主人が死ぬと奴隷も死ぬ!
これを嫌がらない奴隷はいない。
しかも奴隷魔術はその魔力で相手を縛ることができる。
いつでも殺せる。
だから、犯罪者にはこの奴隷魔術を施される。
精神魔法の使役と違って思考が支配されることはないが、主に逆らうと魔術でいつでも殺せるとか、この世界の犯罪奴隷は悲惨だ。
時として、家臣にこの契約を課す国王が現れる。
これを『血の契約』と呼ぶ。
魔力のない貴族は庶民に落とされ、庶民は決して貴族になれない。
男爵の下にある『卿』は準貴族とされ、正式な貴族に含まれない。
王に忠誠を誓う貴族とされない。
そこを逆手にとって教会が貴族を取り込んだ。
それが教会貴族と呼ばれる方だ。
もうお気づきと思う。
何故、魔法使いではないと貴族になれないのか?
それはこの奴隷魔術が存在するからだ。
魔力を持たない庶民は一方的に奴隷契約を結ぶことできる。
本人の意志など関係ない。
魔力を持たない者は抵抗すらできない。
奴隷にしておけば、主に逆らわない。
なぜなら、主が死ぬと奴隷も死ぬ。
こうして絶対服従を強いられる。
魔法使いの貴族では、本人の同意なしではできない。
抵抗しないことが条件で契約を結ぶことができる。
書き換えは本人の魔力が勝手に抵抗するので主人の許可なして書き換えもできない。
庶民は魔力を持たないので、書かれた魔術刻印を新たな物に書き換えができる。
貴族と庶民の違うところだ。
庶民が貴族になれない大きな理由が判っただろうか!
◇◇◇
その日、コハーリ家の使用人がやってきて、エンドレ(フェレプ)との面会を申し出て来た。
コハーリ伯爵である彼は貴族学園の生徒会書記をやっていた。
実権はコハーリ伯爵夫人が掌握しており、エンドレは忠実な息子を演じている。
そのエンドレが私と面会を求めに来たのだ。
エンドレがやって来て人払いを願った。
「構いません。ここにいる者で裏切るような者はいません」
はじめからメルルは最初から別の仕事を命じておいた。
メルルを疑う訳もないが、あの子は迂闊さの天才である。
残虐の狂徒エンドレと合わせる気にならない。
私がそう答えると、エンドレは膝を折り、胸に手を当てて深く最敬礼をする。
目を細めて、その行為を見下した。
貴族が王以外に頭を下げることがあってはならない。
「反逆罪ですわ」
「はい」
「わたくしが訴えれば、この時点でおしまいよ」
「ご不快であれば、このまま我が首を討ち取って頂いて構いません」
言葉通り、頭をさらに下げて、私に首を差し出してきた。
笑顔で陰謀を巡らせ、他人の不幸を笑う生徒会長である。
その行動の裏を読まなければいけない。
こいつの言葉を信じてはいけない。
「何のおつもりかしら? わたくしに忠義を尽くすのは家臣だけで結構よ」
「その家臣になりに参りました」
「わたくしを反逆者にでもしたいのかしら?」
「いいえ、私が一方的に忠義を尽くすだけでございます」
「解せません。何をお望みなのかしら?」
「エリザベート様の絶対的な支持を頂きたいと願っております」
「すでにコハーリ家を支持しております」
「いいえ、母ではなく、私個人の支持でございます」
はぁ~ん、読めた。
エンドレは伯爵夫人と戦うつもりだ。
催眠術に操られたエンドレは忠実な息子を演じてきた。
その術は解けている。
しかし、エンドレは演技を続けている。
伯爵夫人も油断している。
領地が発展し、その税収も増えて使用人も増えた。
疎遠であった分家も本家にへりくだった。
伯爵夫人は有頂天だ。
監視の目も緩む。
「どうするつもりなのかしら?」
「すでに屋敷の3分の1を掌握しております。母をどうこうするのは簡単でございますが、それでは他の者が従いません」
「特に分家とか、かしら?」
「はい、母を持ち上げて抵抗するかもしれません」
「わたくしは関与する気はありません」
「その言葉だけでは信じることができません」
「わたくしの言葉を信じられないというの?」
「はい」
私に願いに来て、その言葉を信じられないと言う。
人間不信のエンドレらしいと言えば、エンドレらしいが私にどうしろと言うの?
「書面が欲しいなら書きましょう。はじめから当主は貴方です」
「ありがとうございます。然れど、それでも信じられません」
「ホント、わたくしに一体どうしろとおっしゃるのかしら?」
エンドレの意図が見えない。
陰険なエンドレとは付かず離れず、距離を置いて学園を過ごすつもりだった。
ゲーム通りなら対処も楽だし、裏が読めれば問題にならない。
コハーリ家にとってヴォワザン家は融資してくれるお得意様であり、不興を買いたくないハズである。
エンドレの趣味に関与するつもりもない。
もちろん、マリアに仕掛ける陰謀くらいは見逃してやる。
要は火の粉が私に掛からないならそれでいいのだ。
エンドレは学園のスパイスという所で悪女を引き立てる裏方も必要だろう。
そう思っていたのに?
こいつは何を考えているの。
顔を上げるとキラキラとした笑みを零した。
可愛い!
先輩に可愛いは変だが、可愛く見える。
エンドレはアンドラやノアほどではないが美少年の枠に入る。
少し小柄なので可愛い弟のようなイメージがある。
しかも丸みを帯びた童顔は相手に警戒を抱かせない。
まるで無垢な笑顔だ。
天使のような純粋な存在であり、献身的に生徒の為に動く姿に誰も騙される。
此奴は本物の小悪魔だ。
生徒会長の候補は三人いた。
セーチェー侯爵令嬢のテレーズ、王国宰相の子息ノア、そして、エンドレ。
テレーズは生徒会に所属する条件として、生徒会長にならないと公言していたので除外される。
そうなるとノアだ。
ノアは容姿端麗・学力優秀・能力も申し分ない。
しかし、生徒会に特別な感情を持っていない。
良く言えば、整然。
悪く言えば、無機質な生徒会になってしまう。
生徒に慕われる生徒会をモットーにしていた現生徒会長には耐えられない。
そこでエンドレが指名されて来年度の生徒会長の就任が決まっていた。
生徒会長が推薦するように仕向けたのは彼自身だろう。
「我がコハーリ家は占星術で王家に仕えてきた身です。占星術とは、星の導きから運命を読むとお思いでしょうが、扇動と暗殺こそ、我が家の役目なのです」
うん、知っていた。
その人の命運が尽きるのを当てるのではなく、天命のようなフリをして暗殺で殺す。
様々な現象を解釈して民衆を導くのでなく、都合よく解釈して扇動する。
それがコハーリ家の役割だ。
「小細工の1つに催眠術がございます。香(アロマ)など炊いて、集団催眠などを得意としておりました」
香って、麻薬の一種か?
麻薬を炊けば、意識を高揚させたり、下げたりするのが簡単になる。
そこで扇動すれば、一種の催眠状態になると聞いたことがある。
「他にも無属性の催眠魔法もございます。心の深層に深く刻むことで、思うままに人を動かすことができる便利な魔法でございます」
あぁ~あったね!
エリザベートは根も葉もないことで糾弾された。
取り巻き生徒がエリザベートに命じられてやりましたと(嘘の)自白した。
あの気高いエリザベートが命じる訳もない。
忖度ならあり得るけど、そうなると証言がおかしい。
それでエリザベートの犯罪が確定し、オリバー王子が怒って婚約破棄を言うのがお決まりだ。
でも、オリバー王子ルートではそれで終わらない。
何もしなければ、味方だったハズのカロリナ親衛隊の四貴公子が敵に回る。
マリアの悪事を告発し、他の生徒達も証言を始める。
これも根も葉もないことだった。
マリアは王子らの信頼を失って犯罪者にされてしまう。
オリバー王子は正義感が強いだけの馬鹿だった。
それが論理的であるか検証もしない。
マリアを犯罪者と信じた瞬間に敵になった。
地位の低いマリアは簡単に居場所を失う。
エリザベートと一緒にマリアも国外追放にされた。
エリザベートが王子とハッピーエンドになったかと思うと落とされ、マリアも一緒に落とされる。
こんな性格の悪いストーリーを誰が書いた?
隠れキャラのエンドレルートを攻略すると真実が見えてくる。
そう、こいつだ。
人間関係をズタぼろにすることが生きがいの屑野郎だ。
思い出したら腹が立ってきた。
イラつく私の顔を見て、エンドレの顔色が曇った。
「エリザベート様は精神魔法に興味はございませんか?」
「光と闇のみできる魔法でしょう」
「いいえ、すべての属性で精神魔法は存在します。光は静寂と高揚、闇は鎮魂と混沌と言われますが、火は興奮と憤怒、水は冷静と冷徹、風は快適と散漫」
「土もあるの!」
「はい、土は集中と自閉が操れます。光と闇以外は性格によって効果が異なりますので失伝しておりますが、すべての系統に精神魔法は存在するのです」
「それは興味深い話ね」
「人を操ることに興味も持たれて安心したしました。噂通りの聖女様であったらどうしようかと悩んでおりました」
「わたくしは自分で聖女と名乗ったことはないわよ」
「それを聞いて安心しました。どうか我が願いをお聞き下さい」
「何を望むのかしら?」
「どんな約束を紙に示そうと私はエリザベート様を信用することができません。ゆえに、私と奴隷魔術を結び、私をエリザベート様の奴隷にして下さい。それで私はエリザベート様を信じることができます」
「はぁ?」
信じられない申し出に私は固まった。
エンドレはエリザベートとマリアを貶める最悪のディヴァィス(仕掛け人)だ。
それが自分から奴隷になりたいと言う。
自分に対して敵対行動ができなくなる存在になる。
悪くない最高の申し出でだ。
でも、悪魔から契約を申し込まれた気分だった。
あり得ない。
ジョーカーが向こうから飛び込んで来た。
同時にエンドレ(フェレプ)が壊れているのを実感した。
正気の人間が考えることじゃない。
でも、これを手に入れない手はなかった。
奴隷も存在するが、奴隷魔術を使うことはあまりない。
主人が死ぬと奴隷も死ぬ!
これを嫌がらない奴隷はいない。
しかも奴隷魔術はその魔力で相手を縛ることができる。
いつでも殺せる。
だから、犯罪者にはこの奴隷魔術を施される。
精神魔法の使役と違って思考が支配されることはないが、主に逆らうと魔術でいつでも殺せるとか、この世界の犯罪奴隷は悲惨だ。
時として、家臣にこの契約を課す国王が現れる。
これを『血の契約』と呼ぶ。
魔力のない貴族は庶民に落とされ、庶民は決して貴族になれない。
男爵の下にある『卿』は準貴族とされ、正式な貴族に含まれない。
王に忠誠を誓う貴族とされない。
そこを逆手にとって教会が貴族を取り込んだ。
それが教会貴族と呼ばれる方だ。
もうお気づきと思う。
何故、魔法使いではないと貴族になれないのか?
それはこの奴隷魔術が存在するからだ。
魔力を持たない庶民は一方的に奴隷契約を結ぶことできる。
本人の意志など関係ない。
魔力を持たない者は抵抗すらできない。
奴隷にしておけば、主に逆らわない。
なぜなら、主が死ぬと奴隷も死ぬ。
こうして絶対服従を強いられる。
魔法使いの貴族では、本人の同意なしではできない。
抵抗しないことが条件で契約を結ぶことができる。
書き換えは本人の魔力が勝手に抵抗するので主人の許可なして書き換えもできない。
庶民は魔力を持たないので、書かれた魔術刻印を新たな物に書き換えができる。
貴族と庶民の違うところだ。
庶民が貴族になれない大きな理由が判っただろうか!
◇◇◇
その日、コハーリ家の使用人がやってきて、エンドレ(フェレプ)との面会を申し出て来た。
コハーリ伯爵である彼は貴族学園の生徒会書記をやっていた。
実権はコハーリ伯爵夫人が掌握しており、エンドレは忠実な息子を演じている。
そのエンドレが私と面会を求めに来たのだ。
エンドレがやって来て人払いを願った。
「構いません。ここにいる者で裏切るような者はいません」
はじめからメルルは最初から別の仕事を命じておいた。
メルルを疑う訳もないが、あの子は迂闊さの天才である。
残虐の狂徒エンドレと合わせる気にならない。
私がそう答えると、エンドレは膝を折り、胸に手を当てて深く最敬礼をする。
目を細めて、その行為を見下した。
貴族が王以外に頭を下げることがあってはならない。
「反逆罪ですわ」
「はい」
「わたくしが訴えれば、この時点でおしまいよ」
「ご不快であれば、このまま我が首を討ち取って頂いて構いません」
言葉通り、頭をさらに下げて、私に首を差し出してきた。
笑顔で陰謀を巡らせ、他人の不幸を笑う生徒会長である。
その行動の裏を読まなければいけない。
こいつの言葉を信じてはいけない。
「何のおつもりかしら? わたくしに忠義を尽くすのは家臣だけで結構よ」
「その家臣になりに参りました」
「わたくしを反逆者にでもしたいのかしら?」
「いいえ、私が一方的に忠義を尽くすだけでございます」
「解せません。何をお望みなのかしら?」
「エリザベート様の絶対的な支持を頂きたいと願っております」
「すでにコハーリ家を支持しております」
「いいえ、母ではなく、私個人の支持でございます」
はぁ~ん、読めた。
エンドレは伯爵夫人と戦うつもりだ。
催眠術に操られたエンドレは忠実な息子を演じてきた。
その術は解けている。
しかし、エンドレは演技を続けている。
伯爵夫人も油断している。
領地が発展し、その税収も増えて使用人も増えた。
疎遠であった分家も本家にへりくだった。
伯爵夫人は有頂天だ。
監視の目も緩む。
「どうするつもりなのかしら?」
「すでに屋敷の3分の1を掌握しております。母をどうこうするのは簡単でございますが、それでは他の者が従いません」
「特に分家とか、かしら?」
「はい、母を持ち上げて抵抗するかもしれません」
「わたくしは関与する気はありません」
「その言葉だけでは信じることができません」
「わたくしの言葉を信じられないというの?」
「はい」
私に願いに来て、その言葉を信じられないと言う。
人間不信のエンドレらしいと言えば、エンドレらしいが私にどうしろと言うの?
「書面が欲しいなら書きましょう。はじめから当主は貴方です」
「ありがとうございます。然れど、それでも信じられません」
「ホント、わたくしに一体どうしろとおっしゃるのかしら?」
エンドレの意図が見えない。
陰険なエンドレとは付かず離れず、距離を置いて学園を過ごすつもりだった。
ゲーム通りなら対処も楽だし、裏が読めれば問題にならない。
コハーリ家にとってヴォワザン家は融資してくれるお得意様であり、不興を買いたくないハズである。
エンドレの趣味に関与するつもりもない。
もちろん、マリアに仕掛ける陰謀くらいは見逃してやる。
要は火の粉が私に掛からないならそれでいいのだ。
エンドレは学園のスパイスという所で悪女を引き立てる裏方も必要だろう。
そう思っていたのに?
こいつは何を考えているの。
顔を上げるとキラキラとした笑みを零した。
可愛い!
先輩に可愛いは変だが、可愛く見える。
エンドレはアンドラやノアほどではないが美少年の枠に入る。
少し小柄なので可愛い弟のようなイメージがある。
しかも丸みを帯びた童顔は相手に警戒を抱かせない。
まるで無垢な笑顔だ。
天使のような純粋な存在であり、献身的に生徒の為に動く姿に誰も騙される。
此奴は本物の小悪魔だ。
生徒会長の候補は三人いた。
セーチェー侯爵令嬢のテレーズ、王国宰相の子息ノア、そして、エンドレ。
テレーズは生徒会に所属する条件として、生徒会長にならないと公言していたので除外される。
そうなるとノアだ。
ノアは容姿端麗・学力優秀・能力も申し分ない。
しかし、生徒会に特別な感情を持っていない。
良く言えば、整然。
悪く言えば、無機質な生徒会になってしまう。
生徒に慕われる生徒会をモットーにしていた現生徒会長には耐えられない。
そこでエンドレが指名されて来年度の生徒会長の就任が決まっていた。
生徒会長が推薦するように仕向けたのは彼自身だろう。
「我がコハーリ家は占星術で王家に仕えてきた身です。占星術とは、星の導きから運命を読むとお思いでしょうが、扇動と暗殺こそ、我が家の役目なのです」
うん、知っていた。
その人の命運が尽きるのを当てるのではなく、天命のようなフリをして暗殺で殺す。
様々な現象を解釈して民衆を導くのでなく、都合よく解釈して扇動する。
それがコハーリ家の役割だ。
「小細工の1つに催眠術がございます。香(アロマ)など炊いて、集団催眠などを得意としておりました」
香って、麻薬の一種か?
麻薬を炊けば、意識を高揚させたり、下げたりするのが簡単になる。
そこで扇動すれば、一種の催眠状態になると聞いたことがある。
「他にも無属性の催眠魔法もございます。心の深層に深く刻むことで、思うままに人を動かすことができる便利な魔法でございます」
あぁ~あったね!
エリザベートは根も葉もないことで糾弾された。
取り巻き生徒がエリザベートに命じられてやりましたと(嘘の)自白した。
あの気高いエリザベートが命じる訳もない。
忖度ならあり得るけど、そうなると証言がおかしい。
それでエリザベートの犯罪が確定し、オリバー王子が怒って婚約破棄を言うのがお決まりだ。
でも、オリバー王子ルートではそれで終わらない。
何もしなければ、味方だったハズのカロリナ親衛隊の四貴公子が敵に回る。
マリアの悪事を告発し、他の生徒達も証言を始める。
これも根も葉もないことだった。
マリアは王子らの信頼を失って犯罪者にされてしまう。
オリバー王子は正義感が強いだけの馬鹿だった。
それが論理的であるか検証もしない。
マリアを犯罪者と信じた瞬間に敵になった。
地位の低いマリアは簡単に居場所を失う。
エリザベートと一緒にマリアも国外追放にされた。
エリザベートが王子とハッピーエンドになったかと思うと落とされ、マリアも一緒に落とされる。
こんな性格の悪いストーリーを誰が書いた?
隠れキャラのエンドレルートを攻略すると真実が見えてくる。
そう、こいつだ。
人間関係をズタぼろにすることが生きがいの屑野郎だ。
思い出したら腹が立ってきた。
イラつく私の顔を見て、エンドレの顔色が曇った。
「エリザベート様は精神魔法に興味はございませんか?」
「光と闇のみできる魔法でしょう」
「いいえ、すべての属性で精神魔法は存在します。光は静寂と高揚、闇は鎮魂と混沌と言われますが、火は興奮と憤怒、水は冷静と冷徹、風は快適と散漫」
「土もあるの!」
「はい、土は集中と自閉が操れます。光と闇以外は性格によって効果が異なりますので失伝しておりますが、すべての系統に精神魔法は存在するのです」
「それは興味深い話ね」
「人を操ることに興味も持たれて安心したしました。噂通りの聖女様であったらどうしようかと悩んでおりました」
「わたくしは自分で聖女と名乗ったことはないわよ」
「それを聞いて安心しました。どうか我が願いをお聞き下さい」
「何を望むのかしら?」
「どんな約束を紙に示そうと私はエリザベート様を信用することができません。ゆえに、私と奴隷魔術を結び、私をエリザベート様の奴隷にして下さい。それで私はエリザベート様を信じることができます」
「はぁ?」
信じられない申し出に私は固まった。
エンドレはエリザベートとマリアを貶める最悪のディヴァィス(仕掛け人)だ。
それが自分から奴隷になりたいと言う。
自分に対して敵対行動ができなくなる存在になる。
悪くない最高の申し出でだ。
でも、悪魔から契約を申し込まれた気分だった。
あり得ない。
ジョーカーが向こうから飛び込んで来た。
同時にエンドレ(フェレプ)が壊れているのを実感した。
正気の人間が考えることじゃない。
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