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「俺は騙されたんだ!何かの間違いだ!
……せめて、父様と母様、兄様を救って下さい。」
ザシュッ!!
******
ぱちっ!
ここは…どこだ?
シャンデリアのぶら下がる高い天井、細工が鮮やかだ。
あっ!そうだ、俺はネフェリア・プロント。現在7歳だ。
僕は…ストーカーのキモデブに首を絞められて…
「ネフェリア様!!」
カシャンッとカップを落とし、慌てるメイドは、扉から出ると、急いで医者とこの家の家族、僕の家族を連れてきた。
「ネフィ!!目を覚ましたか!?」
「ああ…よかった…私のネフェリア。」
父と母が僕に駆け寄った。
その後ろにいるのが、兄だ。
「ご心配お掛け致しました。お父様、お母様、兄様。」
僕は、ゆっくりと身体を起こした。医師が僕の身体を支えながら、体調を診る。
「熱も下がっておりますね。首と身体の打撲以外は問題なさそうです。念のため、暫く様子を見てください。」
ホッと息を吐く両親とそれを眺めている兄。
「怖い思いをしたな…。お前に酷いことした者は、きちんと裁かれるから安心しなさい。」
父の言葉に僕は頷き、笑顔を見せた。
「ありがとうございます。お父様。」
ギョッと3人は目を見開く。
「ネフェリアが、笑った…?」
「ありがとう…まで!」
そう、僕はある事がきっかけで笑わなくなっていた。そして、悪役まっしぐらの生意気な子となったんだ。
「お父様、お母様、少し僕、眠りたいです。」
「おお!すまなかった。ゆっくり休みなさい。また来るよ。」
僕は部屋から出て行く両親をベッドから見送り、メイドに鏡を頼んだ。
メイドから少し大きめの手鏡を受け取り、自分の顔を映した。
「やはり、この顔か…。ネフェリア・プロント…。」
「すまない、アルタを呼んできてくれ。」
メイドは頭を下げ、部屋から出て行った。
さて、頭を整理しよう。鏡の中の自分に語りかける。
ネフェリアは宰相を務める筆頭公爵家のプロントに生まれた次男だ。生まれた瞬間から神に祝福されたのでは?と思われる程の美貌だったらしい。白に近いプラチナブロンドに紫色のアメジストのような瞳、白い肌に赤い唇。
その美貌からか、不埒な事を考える輩が後を経たなかったらしい。
何度も公爵家の力で事前に防いではいたが、それでも怖い思いはしたのを覚えている。誘拐未遂、暴行未遂。
小さいながらネフェリアは、自分の美貌を理解し、そして周りを恐れて笑わなくなっていった。
それでも、甘えたい年頃。4歳から少しずつ教育が始まり、家庭教師が付いた。
ネフェリアは優しい雰囲気の若い彼に、徐々に懐いていった。
まだ、子どもなのだ。自分の美貌を理解していても、人より少し綺麗というだけの認識だった。
ネフェリアは知らない、自分の表情、身体が相手の欲情を誘うとは…。
ある日、外で兄と剣の稽古をしていたが、雨により室内に入る事になった。
早めに来ていた家庭教師を自室に通した。雨で少し濡れたシャツから小さな突起が透けていたのも気付かず、家庭教師に笑いかけた。
それから…言わなくとも分かると思う。ネフェリアの泣き叫ぶ声に寸前のところで助けが来た。
その時のショックで、1日高熱で寝込み、起きた瞬間、ネフェリアは前世の記憶を思い出したのだ。
それは、この世界と全く違う世界。
前世の記憶を思い出した、ネフェリアは耐えられなかった。
この世界が男性の割合が多いこと。男性同士でも恋愛、結婚ができること。
そして、自分が対象にされる事が。
この美貌の為、どこに行っても見られ、嫌がらせや襲われる恐怖。
ネフェリアは更に笑わなくなった頃、自分と同じ、前世の記憶を持つメイドに会った。
そして、この世界が前世にあったBLゲームだそうだ。
とにかく、この現状を打破したいネフェリアは、そのメイドを頼った。
メイドは言った。ネフェリアは悪役令息役であり、この国の第二皇子の婚約者となるが、学園で出会う主人公に皇子は惚れてしまう。それを面白くない、ネフェリアが虐め、最後には断罪され、国外の村で過ごす事になると…その村が人も少なく、ここのような環境では無い。
そう聞き、ネフェリアは断罪されるよう動き、見事な悪役令息と化した。
6歳から見事な化け方で、男を魅了しては、切り捨て、我儘放題を演じた。そして、7歳の時、魅了し、虐めた馬の世話係のキモデブに暴行をされる。それをまた寸前で助かり、心配した父が、仕事場の王宮を連れて歩くようになる。
そこで陛下に見染められ、第二皇子の婚約者となった。
ネフェリアはこれで断罪されると、嬉々として喜び、断罪への一大イベント、主人公の飲み物に刺激物を入れ、喉を痛めさせる。を行った途端、主人公が血を吐いて倒れた。無事助かったのだが、毒が検出され、しかも皇子の物にもだ。
ネフェリアの行いで一家斬首刑となり、幕を閉じた。
しかし、また、7歳のネフェリアとなって戻ってきた。
ただ、気になるのは、僕は誰だ?前世の立川直樹?ネフェリア?
僕の感が確かなら、ネフェリアだ。直樹はこの世界を嫌がって、このような結果になった。ネフェリアと意識を交換しなければ、また違う結果もあったのでは?と思う。間違えなければ、今の僕は直樹になる前の僕、家庭教師のことも覚えているし、今回は自分で認識もしている。
誰にも意識を渡していない。
必ず、あのような結果にはさせない。
コンコン
「ネフェリア様、アルタでございます。」
「入りなさい」
さあ、第二幕だ。
……せめて、父様と母様、兄様を救って下さい。」
ザシュッ!!
******
ぱちっ!
ここは…どこだ?
シャンデリアのぶら下がる高い天井、細工が鮮やかだ。
あっ!そうだ、俺はネフェリア・プロント。現在7歳だ。
僕は…ストーカーのキモデブに首を絞められて…
「ネフェリア様!!」
カシャンッとカップを落とし、慌てるメイドは、扉から出ると、急いで医者とこの家の家族、僕の家族を連れてきた。
「ネフィ!!目を覚ましたか!?」
「ああ…よかった…私のネフェリア。」
父と母が僕に駆け寄った。
その後ろにいるのが、兄だ。
「ご心配お掛け致しました。お父様、お母様、兄様。」
僕は、ゆっくりと身体を起こした。医師が僕の身体を支えながら、体調を診る。
「熱も下がっておりますね。首と身体の打撲以外は問題なさそうです。念のため、暫く様子を見てください。」
ホッと息を吐く両親とそれを眺めている兄。
「怖い思いをしたな…。お前に酷いことした者は、きちんと裁かれるから安心しなさい。」
父の言葉に僕は頷き、笑顔を見せた。
「ありがとうございます。お父様。」
ギョッと3人は目を見開く。
「ネフェリアが、笑った…?」
「ありがとう…まで!」
そう、僕はある事がきっかけで笑わなくなっていた。そして、悪役まっしぐらの生意気な子となったんだ。
「お父様、お母様、少し僕、眠りたいです。」
「おお!すまなかった。ゆっくり休みなさい。また来るよ。」
僕は部屋から出て行く両親をベッドから見送り、メイドに鏡を頼んだ。
メイドから少し大きめの手鏡を受け取り、自分の顔を映した。
「やはり、この顔か…。ネフェリア・プロント…。」
「すまない、アルタを呼んできてくれ。」
メイドは頭を下げ、部屋から出て行った。
さて、頭を整理しよう。鏡の中の自分に語りかける。
ネフェリアは宰相を務める筆頭公爵家のプロントに生まれた次男だ。生まれた瞬間から神に祝福されたのでは?と思われる程の美貌だったらしい。白に近いプラチナブロンドに紫色のアメジストのような瞳、白い肌に赤い唇。
その美貌からか、不埒な事を考える輩が後を経たなかったらしい。
何度も公爵家の力で事前に防いではいたが、それでも怖い思いはしたのを覚えている。誘拐未遂、暴行未遂。
小さいながらネフェリアは、自分の美貌を理解し、そして周りを恐れて笑わなくなっていった。
それでも、甘えたい年頃。4歳から少しずつ教育が始まり、家庭教師が付いた。
ネフェリアは優しい雰囲気の若い彼に、徐々に懐いていった。
まだ、子どもなのだ。自分の美貌を理解していても、人より少し綺麗というだけの認識だった。
ネフェリアは知らない、自分の表情、身体が相手の欲情を誘うとは…。
ある日、外で兄と剣の稽古をしていたが、雨により室内に入る事になった。
早めに来ていた家庭教師を自室に通した。雨で少し濡れたシャツから小さな突起が透けていたのも気付かず、家庭教師に笑いかけた。
それから…言わなくとも分かると思う。ネフェリアの泣き叫ぶ声に寸前のところで助けが来た。
その時のショックで、1日高熱で寝込み、起きた瞬間、ネフェリアは前世の記憶を思い出したのだ。
それは、この世界と全く違う世界。
前世の記憶を思い出した、ネフェリアは耐えられなかった。
この世界が男性の割合が多いこと。男性同士でも恋愛、結婚ができること。
そして、自分が対象にされる事が。
この美貌の為、どこに行っても見られ、嫌がらせや襲われる恐怖。
ネフェリアは更に笑わなくなった頃、自分と同じ、前世の記憶を持つメイドに会った。
そして、この世界が前世にあったBLゲームだそうだ。
とにかく、この現状を打破したいネフェリアは、そのメイドを頼った。
メイドは言った。ネフェリアは悪役令息役であり、この国の第二皇子の婚約者となるが、学園で出会う主人公に皇子は惚れてしまう。それを面白くない、ネフェリアが虐め、最後には断罪され、国外の村で過ごす事になると…その村が人も少なく、ここのような環境では無い。
そう聞き、ネフェリアは断罪されるよう動き、見事な悪役令息と化した。
6歳から見事な化け方で、男を魅了しては、切り捨て、我儘放題を演じた。そして、7歳の時、魅了し、虐めた馬の世話係のキモデブに暴行をされる。それをまた寸前で助かり、心配した父が、仕事場の王宮を連れて歩くようになる。
そこで陛下に見染められ、第二皇子の婚約者となった。
ネフェリアはこれで断罪されると、嬉々として喜び、断罪への一大イベント、主人公の飲み物に刺激物を入れ、喉を痛めさせる。を行った途端、主人公が血を吐いて倒れた。無事助かったのだが、毒が検出され、しかも皇子の物にもだ。
ネフェリアの行いで一家斬首刑となり、幕を閉じた。
しかし、また、7歳のネフェリアとなって戻ってきた。
ただ、気になるのは、僕は誰だ?前世の立川直樹?ネフェリア?
僕の感が確かなら、ネフェリアだ。直樹はこの世界を嫌がって、このような結果になった。ネフェリアと意識を交換しなければ、また違う結果もあったのでは?と思う。間違えなければ、今の僕は直樹になる前の僕、家庭教師のことも覚えているし、今回は自分で認識もしている。
誰にも意識を渡していない。
必ず、あのような結果にはさせない。
コンコン
「ネフェリア様、アルタでございます。」
「入りなさい」
さあ、第二幕だ。
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