本当は貴方に興味なかったので断罪は謹んでお断り致します。

B介

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転生者との接触

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「入りなさい。」
 
僕の声に扉を開けたのはアルタというメイドだ。

前回の人生と今回が違う点は、まだ僕はアルタと出会っていない。そう、アルタこそが、異世界転生者なのだ。
何故出会っていないかというと、僕は家庭教師の件でショックのあまり、高熱は出したが、前世の記憶、立川直樹とやらに意識を奪われなかったからだ。
ショックと周りの怖さに、笑わなく、塞ぎ込んでいたが、ネフェリアのまま。そして、今回の暴行で全て思い出した。

どうして、今回は立川直樹が出て来なかってのか。一つの推測は、前回立川直樹として死んだ。立川はまた、転生したのでは?という憶測。憶測でしかない。
だって僕は生きて、2回目を歩んでいる。また、立川になる恐れもある。

だからこそ、アルタが必要なんだ。

アルタ・スーゼン
スーゼン男爵の三女である。
主に寝室掃除担当のメイド、ある日洗濯中に、裏庭の物陰で独り泣きじゃくり、前世の事を嘆いていたネフェリアこと、立川に気づき、話し掛けた事がきっかけで、立川が唯一頼った相手。

アルタの話では、この世界はBLゲームであり、ネフェリアは主人公に嫉妬する悪役令息だそうだ。最後は断罪で、国外に追放の予定。
だが、1回目は違った。
そして、僕は一つどうしても引っかかる事がある。
アルタがキーマンで変わりは無いが、何か他の原因も潜んでいるはずだ。

2度目の人生でも、今の僕は7歳で、力が無い。
どこまで、人生を変えられるか…。


僕は、扉の前に立つ、アルタに声を掛けた。

「夏原芳子さん?」

僕の一言にアルタは目を見開き硬直した。

「ねえ、夏原芳子さんで合っている?それともアルタ・スーゼン?」

僕は小首を傾げつつ、アルタに聞いた。

「ネ、ネフェリア様、どうして?」

ニヤッと僕は笑う。
やはり、アルタは転生者のまま、夏原芳子だ。
よかった。これで一歩は進める。
僕は、ギュッとシーツを握り締めた。


「君はどこまで、この夢物語を信じてくれる?」

僕は話した。全てのを…




「そんな、まさか!!」
アルタの叫びに僕は7歳とは思えない真剣な瞳を向けた。

「僕もまさかと思いたいが、首を切られた感覚まで覚えている。」

キモデブに締められ、包帯を巻いてある首を摩る。

「でも、ゲームだと国外だけよ?確かに、ゲーム内の細かい描写は分からないけど、ルートは同じはず!しかも、毒だなんて…。」

確かに、流れはアルタの言う通りになっていた。予知したかのように…だがら、立川は信じたのだ。

「それでは、大まかなストーリーは一緒だが、ここは現実で多少変わると思った方がいいかもね?アルタと立川の出会いだって、ゲームには無い話だ。」

「確かにそうね…。これは、考えて行動しないと…。私も含め、プロント家全てが終わるわ!」
アルタこと夏原は自分を抱いて身震いをする。

「そうだね、ごめんよ。巻き込んで…でも、僕は死にたく無いし、お父様達も護りたい。」

僕はやはり、あの光景を思い出すと怖い。考えただけでも震えが起こる。

「大丈夫よ!実は私、推しはネフェリアたんなの!ツンデレワガママで可愛いのよ♡あなたは、前世の記憶のせいで、ちょっと変わってしまったけど、愛はそうそう変わらないわ!」

推しってなんだろ?

「あ、ありがとう芳子さん?」
ニコッと笑顔を作る。

「ぎゃー!!萌え!!hshs!」

僕ちょっと不安かも… 

「あっ!そうだ一つ質問なんだけど、ここBLなんだよね?」

鼻息荒く、喚いている芳子に確認する。

「ええ!そうよ!イケメンパラダイスで攻め達がカッコイイの!」

ホワホワと思い浮かべている芳子に言い難いが…

「僕、男好きじゃないんだけど。理想は淑女で、金髪の優しい子。」

「へ?」

「多分、立川がってのもあるけど、意識の中で僕自身も興味ないよ?だから余計、そういう目が嫌だったんだ。だから皇子もかっこいいとは思うけど好みと思った事はないよ?」

芳子は目を大きく開き、固まる。

そして、沈黙後の覚醒はうるさかった。

「えーー!!あんなカワユスのツンデレを見せてたのに!?目にいっぱい涙溜めてふるふるして、皇子に自分を見ないことに怒ってたのに!?ふ、腐女子の楽しみがーーー!!」

床に崩れ、オイオイと泣くアルタ、いや芳子。

「うーん、生きる為にはなんでもするけど、一応伝えておこうと思ってね!」

僕の発言にガバッと髪を乱しながら、起き上がった。

ちょっ、ちょっと怖いな…

「その発言は誠か!?」

ま、まこ?

「生きる為に、誰かとそういう関係とかにならなければ、生きられないならね?」

俺は、芳子が何を言っているか分からなかったので、もう一度ゆっくり話た。

むくりと芳子が立ち上がり、ガッツポーズをとる。

「拙者!推しの萌が見れるなら、必ずや、ネフェリアたんをお守り致しやす!
………ネフェリアたんのあんなことも、こんなことも生き残るには必要ですな……うへへへ。」

ヨダレを垂らし、鼻息荒い芳子、いやアルタ!もう分からんが、ネフェリアの背中に悪寒が走ったのは言うまでもない。


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