本当は貴方に興味なかったので断罪は謹んでお断り致します。

B介

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ネフェリア、学園編

黒豹さん

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ヴィヴァリアンは、昨日早く帰る為、残してしまった書類の量と、朝ゆっくりネフェリアと過ごしてしまった為の王宮の公務の書類の量にげんなりしていた。

だが、手のひらを見ると思い出すネフェリアの感触に、つい口元がゆるむ。

少し剣だこがあるが、サラサラもちもちの小さな手、さりげなく指の太さを確認してしまったが、未だ早い。

焦るなヴィヴァリアン!

これは噂だけの為だ!

おごるな!

ネフェリアに好かれなければならないのだ!!

……次も、手を握らせてくれるか?


あー!!くそっ!カウディリアン達め!

抱く抱かないなど…王族が寝室を共にするから閨なんだろ!

私も願望でネフェリアに確認とか言ったが、触れるのすらドキドキするのに。

日中なら手でも腰でも触れられるのに、なぜ、寝室だと、ああも、緊張するのだろうか…

ネフェリアに惚れていたから、閨も実技を飛ばしたのがいけないのか?


今日はキリウスか…

彼奴…私より先に…

ネフェリアを救ったのは奴だ、ネフェリアのあの様子…懐いているのは確かだろう…

ズキンッ!心臓に痛みが走る。

くっ!私にもっと力があれば…彼奴の存在など…候補は私だけだったのに。


「ヴィヴァリアン様。」

チッ!現れたか……。


「舌打ち聞こえてますが。」

「何だ、キリウス。」

フンッと頬杖を付き、妬ましい男に視線を向ける。


「皆は?」

キリウスは周りを見渡すが、生徒会室には誰もいない。

「…今は私達の顔を見たくないのだろう。自室で作業しているようだ。片付くと、こちらへ持ってきている。サリファンは情報収集に外出も多い。…気持ちはわかる、私でも暫くは嫉妬で顔も見たくなくなる。」

そう言ってキリウスの顔をジッと見つめた。


「同感です。」

パサッと自分の片付いた仕事をヴィヴァリアンに渡した。

「まあ、すぐ落ち着いて、また婚約者の座を狙うでしょうね。」

「わかるのか?諦める奴もいるかもしれんぞ?」

今度はキリウスがジッとヴィヴァリアンを見つめた。

「昨日の俺がそうだったからわかる。…誰かとネフェリアが共に寝ていると思うと、腑が煮えくりかえりそうだった。…今日顔を見たら殴るんじゃねえかって心配だったよ。だが、そんな事でネフェリアを諦める事なんて出来ない。…今日はヴィヴァリアンがそうなる番だ。」

「お前……!!既に殴りたいな!」

ギリッと拳を握るヴィヴァリアンにキリウスはフッと口元を笑わし、ヴィヴァリアンの机に手をつくと、身を乗り出して、ヴィヴァリアンの目をスカイブルーの瞳で睨みつけた。

「夜はそんなもんじゃねえぞ…俺がトラウマになるかと思ったわ。」

「キリウス……!!」

さすが学園最強…いや、歴代最強とも言われているキリウスの威圧感ある瞳に、ヴィヴァリアンは飲まれそうになった。

「ぶっちゃけどこまで触れた?無理はしてねえだろうな?」

私を威圧するとは…!こいつ…

「手だけだ。初日に無理などしない。」

  手をひらひらさせて、見せると、机からキリウスは距離をとり、安心したように、息を深く吐いた。

「さすが第一皇子様はお優しい。私が使えるべき主人だ!」


何をぬけぬけと、場合によっては殺しそうな眼をしていたくせに!!


「さぞかし、その部下も優しくて良い部下なんだろうな。」

ヴィヴァリアンは瞳を細め金の瞳を光らせる。


キリウスはニヤリと不敵に笑い、扉へと向かった。

「さて、部下は昨日の熱量が半端ないからわからないらしいですよ?せいぜい、私と同じ苦しみを味わって下さい!」


バタンッ!


「キリウスー!!てめぇー!!」

ヴィヴァリアンは我を忘れてこめかみに青筋を作り叫んだが、扉は無常にも閉まった。

くっ!ネフェリア…。

机に突っ伏して頭を抱えるヴィヴァリアン、本日は寝れそうに無いと断言出来た。


*******




コンコン…


扉をノックする音が大きい…この癖は知っている。

皆の中でも、ノックが早いからすぐわかる。手首のスナップかな?


「キリウス様」

やはり当たりだ…って来るのわかってたけどね。

「ネフェリア…。」

フワッと目の前に現れたのは可愛らしい小さな白い花の花束と大きな黒豹?のぬいぐるみ。

「わあ!あ、ありがとうございます!」

花はとてもいい香りがした。黒豹は多分僕の背より大きい。

持てなくて引きずってしまい、オタオタしていると、キリウスが笑いながら黒豹を持ってくれた。

花を抱えてソファまで案内する。

花を花瓶に生けて、紅茶の準備をすると、キリウスは黒豹の手足を動かして遊んでいた。

なんだか可愛く思えて笑ってしまう。

「どうしたのですか?それ。」

紅茶を出しつつ、黒豹を指さすと、少し目線を泳がせるキリウスにキョトンとする。


「いや、昨日から今日、早めに来れるよう仕事を終わらせたから、ちょっと街に寄ったんだ。……花は、香りがあった方が、落ち着いていいかと….これは、その、俺の自己満だから…笑うなよ?男にぬいぐるみ…って思ったんだけどさ…。」


それからキリウスは黙ってしまい無言で頭を抱えている。


話の続きを待っているのだが、中々話さない。


そんなキリウスと黒豹をジロジロ見ていたら、ある事に気づいた。

「キリウス様、ちょっと立って下さい。」


へ?と、頭を抱えていたキリウスがゆったりと立ち上がると、ネフェリアは黒豹をキリウスに渡した。


「やっぱり!!この黒豹、キリウス様と同じ大きさだ!」

スッゴイ偶然!とばかりに手を叩くと、キリウスの顔がボッ!!と赤くなった。


えっ……まさか、偶然ではなく?

目を見開いて固まると、キリウスは真っ赤になったまま、黒豹を抱えて、蹲み込んでしまった。


「あー!もー!そうだよ!同じくらいのデカさの探したらコイツだったんだよ!!しょうがねーだろ!俺はお前に惚れてるんだ、他の奴と寝てると思ったら、嫉妬で狂いそうになるから、俺のいない日は、俺の代わりにコイツがいると思えば、、その…少しは紛れるかと……!ああああー!かっこわり~!」


小さくなっているキリウスを見下ろし、ネフェリアは掌で顔を覆った。

突然の告白でネフェリア自身も真っ赤に染まったが、それよりもキリウスの新たな一面が可愛く思えて、笑いそうになる。

キリウスは既に180センチ以上ある、男らしく、キリッとしたキリウスが、ぬいぐるみを探し、買う姿、嫉妬するから俺の代わりって……可愛い過ぎるだろ!


ヴィヴァリアン様の時も思ったが3つ上で、長身でいつも大人びて見える先輩方が、こんな可愛らしいとは思いもしなかった。


クスクスと笑うと、俯きながら、笑うな!と叫んでいるのがまた可笑しい。

僕は、抱き潰している黒豹を救うように引っ張ると、真っ赤なキリウスが顔を上げた。


「これ、ぼくのでしょ?返して下さい。」

黒豹を抱き抱え、ソファに座り紅茶を飲むと、ノロノロとキリウスも立ち上がり、紅茶を飲み始めた。

「ふふっ!でも黒豹で良かったですね?流石にウサギとかでしたら、キリウス様が抱えていたら、さぞ見られたでしょ?」

「黒豹でも十分見られた。大きいのは4体しかなく、店で身長測ったら185でいつの間にか父親と一緒だった。」

でかい!羨ましい!

「それで、そいつが、186センチだ。多分まだ伸びるしな。」

ニヤリと笑うキリウスにムッとする。

「これ以外のぬいぐるみもそんなに大きかったのですか?」

こんなにも大きいぬいぐるみがあるなんて!雑貨屋とか行かないからなー…

興味本位で聞いた事に対して、少しムッとしているキリウスにはてなマークを浮かべる。

「……念のために、どれが1番近いか測ったら、嫌な身長のがいたから、それも買った。」

嫌な身長?えっ?買ったの?

「…そいつが、黒豹見て、自分のも買いに行きそうだからな。」


アッ…ヴィヴァリアン様の身長の…


何だか笑えて大笑いすると、少し不機嫌な顔になるキリウス。

だって、家には帰れないから、キリウス様の部屋にヴィヴァリアン様の身長のぬいぐるみがあるんでしょ?
めちゃくちゃ笑える!

笑い過ぎて、不機嫌にしまったので、ネフェリアは息を整えながら、引出しを漁る。

日中暇で絵を描いたりしていたので、絵の具があるのだ。

少し絵の具を出して、目に塗ると…

「ほら、キリウス様!スカイブルーですよ?」


キリウスの瞳の色を塗ると、目を見開いて嬉しそうに笑った。


ギュッと黒豹ごと、抱き抱えられた。

まだ目が乾いて無いけど大丈夫かな?

黒豹の顔を腕から出すようにし、ネフェリアも背中に腕を回した。

すると、お姫様抱っこをされ、ベッドへと運ばれる。

うぁー!かっこいい!

僕、女の子に出来るかな?


ストンとベッドに降ろされ、僕は黒豹を抱えつつ、ベッドに潜りこむ。

キリウスもゆっくりと僕と視線を合わせつつ、ベッドに入る姿が魅力的すぎて惚ける。

黒豹で気づかなかったが、キリウスはラフなシャツに前ボタンを4つも外して、筋肉が盛り上がっているのが見えた。

色気が凄すぎて、逆サイドに黒豹を抱きながら横を向くと、キリウスが寂しそうな声で僕を呼ぶ。

「ネフェリア…そっちを向くのか?」

僕は黒豹を抱っこしたまま、キリウスの方へ身体を向けると、嬉しそうに微笑んだ。

「なぁ、触れていいか?怖い事はしない。」

色気あるハスキーボイスに、つい頷いてしまった。

するとキリウスは黒豹ごとネフェリアを抱きしめた。

「お前を誰にも触れさせないから、安心して眠れ。」

キリウスの鼓動と腕の温もりにドキドキしながらも、1番安心できる場所だと身体、本能が知っている様で、すぐに眠さが訪れる。うとうととする中でキリウスの香りが心地よく鼻をくすぐる。

今度聞いてみよう…と思いながら、夢の中へと旅立った。






また、あの夢が現れたが、キリウスが僕を抱き抱えてくれたから、誰も触れなかった。

だって最強だもんね。キリウスは。

ちょっと面白かったのはキリウスの頭とお尻に黒豹の耳と尻尾がついていた。



朝目覚めると、やっぱり僕の方が早くて、キリウスがこんなにリラックスしている姿が見えるとは!


隙ありですよ!

おでこにチュッと、お礼をする。

「ありがとうございます。」


あっ!起きてた!?

耳が赤くなったぞ!?

僕は黒豹で叩きました。
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