異世界最強の癒しの手になりました(仮)

B介

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鳥さん拾いました。

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「てやー!!とやー!!」

剣をフリフリ、小型モンスターを追いかけるヒヨリ。

本日は初1人での討伐。

って、ヒヨリは思っているが、最近第2のストーカーとなっている銀狼のルルが気配を隠して見張っているのは言うまでもない。

本日、第1のストーカーこと、ガルはシスに引きずられ緊急会議中。アル達も参加している。ヒューは盗賊の支部に用で出かけている。
暇なヒヨリはその隙に討伐に参加したのだ。

今追いかけているのは、ネズミの形をしたモンスターで、噛まれなければ害は無いが、作物にとっては害獣で1匹に付き銅2枚。


「ちぇすとー!!」

ヒヨリ現在0匹。



物陰に身を隠したルルがヒヨリの可愛さと、動き回る獲物にウズウズしているが、必死に我慢し見守っている。

「可愛い可愛い可愛い!!捕まえたい捕まえたい捕まえたい!!」

ガウガウガウガウ!!




「ふんにゃー!!」


やっとこさっとこ、見事倒したヒヨリは、ガッツポーズを作り、勢いよく空に掲げた。

「獲ったぞー!!」



ボトリッ


ヒヨリが叫んだ途端木から何かが落ちてきた。


「な、なんだ?」


ヒョイと覗くと、大きな鳥が地面に倒れていた。

傷ついた羽毛が赤く染まっていた。

「えっ!?鷹!?鷲?」


つい、枝でツンツンしてしまった。

だって、こんな間近で見た事ないし、いつも注意散漫でとんでもない事になってるから。


すると、右目に縦の傷がついた、鷹の目がうっすらと開いた。

その瞳が想像以上に可愛いく、枝を捨て、鳥を抱き上げた。

「怪我してるんだね。俺が治してやるから!」

すぐこの場で治す事もできるが、スキャンすると空腹もあるようで、落ち着かせる為、ギルドへと走る。


その様子を見ていたルルも後を追う。


「なんて優しい!!女神の様だ!流石俺のヒヨリ!!」

ワフワフ!!


連れ帰ったヒヨリは自室にダッシュして、タオルを箱に詰めて、その上に鳥を置いた。焦げ茶の羽に白い羽毛、黄色い嘴。

もう一度スキャンすると、羽が折れている様だし、毒も回っている。


まずは毒を取り除く。手を翳してイメージで取り除き、弱った内臓も癒す。

次は羽だ。折れてからも動かした様で、大分複雑に折れている。

鳥の羽の構造が分からず、折れてない方をスキャンしつつ、見比べて治していく。


パズルの様で集中し過ぎて疲れたが、何とか治せた。

気付いたら、3時間も経ってた。


ホッと一息つくと、鳥もゆっくりと瞳を開けた。


「気がついた?もう大丈夫だよ?」

にっこりと微笑むと、こっちの言葉がわかるのか、ピーッと小さく鳴いた。


「まだ安静にしてね?毒も治したけど、大分内臓が痛んでいたから、治してもまだ身体は馴染んでないから。今ご飯持ってくるから、動かないでね。」


いい子いい子と撫でると気持ち良さそうに瞳を閉じた。




「ベアードさん!鳥って何食べる?」

ひょっこりとキッチンを覗くと鍋をかき回しているベアードさんがいた。


「鳥?種類は?」

「わかんないけど大きい、怪我したのを拾ったから柔らかめの食べ物がいい。」


ベアードさんは一旦考えてから、ちょっと待ってと、カチャカチャ何か作ってくれている。


「ホラッ。パン粥に肉を柔らかく解して入れたよ。」


「忙しい時にありがとう!!」


まだ会議中らしく、誰も見かけないから良かった。

いたら、またうるさく色々言われそうだし。


自室の扉を開くと、コチラを見てピーピー鳴く鳥に、駆け寄り頭を撫でた。


可愛いー!!迎えてくれてる様でめちゃくちゃ可愛いー!


「待たせたね!ご飯だよ!ベアードさんのご飯は凄い美味しいから!」

スプーンで掬い、フーフーと冷まして目の前に持っていくと器用に啄む。

やはりお腹が空いていた様で、ガッツく様子もまた可愛い。   


「フフッ!いっぱい食べたね!いきなり食べ過ぎてもだから、今日はこれくらいね?後はゆっくりお休み!明日には完治しているよ!」


ピーピーと答える鳥が可愛くて、また撫でるとうっとりと気持ち良さそうに手に擦り寄り、いつのまにか寝てしまった様だ。



俺もご飯にしよう!



ハグハグとご飯を食べていると会議が終わった面々が俺のテーブルに座る。


「終わった?」

少し暗い表情の皆に話しかけるて、溜息を吐きながら、頷いた。

「…ヒヨリくんを不安にしたくなく、呼ばなかったが、明日から地方に行かなければ行けなくなったから、話すが…ギルドメンバーの1人が行方不明になった。」


シスは暗い顔でワインを飲み干しながら、重い口を開いた。


「え!?」


「ある調査で貴族の家に潜り込んでいたのだが、バレて襲われたらしい。途中までは連絡が取れていたが、毒を浴びたらしいとこまでで、音信不通だ。…反対勢力で、こちらの国の情報を流していると噂の貴族だ。かなりの強者を雇い、魔獣も操っているらしい。…音信が途絶えたとこまで探しにいく。」


仲間が行方不明なんて…。

最悪のことも考えているだろう顔に、何を言っていいか分からず、スプーンから手を離した。


「俺も行くよ!毒なら早い治癒がいい!」


ヒヨリの発言に皆は優しい瞳を向ける。


「実は、頼もうと思っていたんだ。ありがとう。」


今回のメンバーはガル、アル、ティーンと探索に適したメンバーらしい。


明日の為に、早く寝る為、自室に戻る。

流石のガルも明日から一緒だし、今日は許してくれた。


自室の部屋に眠る鳥を見て、その存在の事を言うの忘れた事に気づく。


まぁ、明日でいいか!


布団に潜り込むと、討伐のせいか、秒で眠りについた。




*****




寝静まり、静かな暗い部屋の中、長身の男が月の光りを浴びながら立ち尽くす。

拳を握ったり、開いたりと繰り返し、軽く身体を動かして、ベッドに眠る部屋の主人を見下ろした。



スピーッと鼻を鳴らす主人を見下ろし、口元を笑わす。


「可愛い…」


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