異世界最強の癒しの手になりました(仮)

B介

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鷹人間にご注意を!

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ん…眩しい。

朝日を感じ、眉を寄せつつ、目を擦り、重い瞼を開ける。

ふぁぁぁ~!!

今日は、ギルドメンバーを救いに行かなきゃ!

早く準備しよう!

あれ、身体が動かないぞ?


身体を起こそうにも思い何かに阻まれ、動かない。


顔だけ持ち上げてみると、そこには褐色のゴツい腕がのしかかっていた。

「!!?」

ヒヨリを横抱きにしている何者かのせいで動けないことを理解したヒヨリ。


わ、忘れてた!?

俺、昨夜襲われたんだった!!

た、助けを呼ぶべき?

いや、そんな事したら後が怖い!!

せめて、情事の跡を消さねば!


起こさない様に、そっと綺麗になる魔法を部屋全体をイメージしてかける。空気も、ベッドも念入りに!

そして、そっと自分にバリアをかけて、何とか腕の中から逃れ、服を着込む。とにかく逃げようと、昨日準備したカバンを持ち、後は鳥さんを誰かに託し…


「と、鳥さんがいない!?」

居たはずね箱がものけのからに!!

ギョッし、辺りを見渡すがどこにもいない、慌てて顔を青くするヒヨリは、まさかの考えにたどり着く。

狩とかで鳥に似たモンスターを食べる…。


ま、まさか!コイツが、俺の鳥さんを!!?


ギッ!と睨みつけ、剣を抜く。


その殺気に気付いた、ベッドに寝る褐色の男は、ゆっくりと目を擦りながら起き上がった。


ふぁぁ~!と欠伸をする姿にイラッとする。


剣を握る俺の姿にフッと、目元を笑わせた。

「主人!おはよう。」

夜は焦げ茶に見えたが、明るい茶色と金のメッシュだ。琥珀の瞳も黄色が強い。褐色の肌に映えて美しい。

ガタイはウランの様に筋肉質で短い髪がツンツンしていて、凛々しさが際立つ男前。騎士とか剣士とか、そんな感じのイメージ。

右目の傷もかっこいい。

ハッ!!

プルプルと頭を振り、剣を向けた!

「おい!茶金髪!!俺の鳥さんをどこにやった!!何かしたなら、許さないぞ!!」


「鳥さん?」

キョトンとする男を更に睨む。


「まだ、傷が完全に癒えてはいないんだ!!俺の可愛い、大事な鳥さんを返せ!!この男前!!」

「褒めてくれるのか?」
男はキョトンとしながら小首を傾げる。

俺の怒りを感じた男は少し考える様な仕草をした後、嬉しそうに笑みを浮かべた。


「そんなに、その鳥さんが大事か?」

「ああ!大事だ!」

「好きか?」

「好きだ!!」

「一生大事にして、愛してくれるか?」


「ああ!一生俺の鳥さんだ!!」

フンッと鼻息荒く、言い切ると、男はパアアアと花が飛ぶほどの笑みを浮かべ、俺の剣を払い落として、ギュッと抱きついてきた。

「ああ!主人!お前だけの鳥さんだ!!」

ぎゅうっと力いっぱい抱きしめられた。

「へ?だ、だから、返してよ!」


バタンッ


「ヒヨリ!準備でき…!?」

部屋に入ってきたアルがギョッと目を見開いた。


「ぎゃーーーー!!ゆ、幽霊!?」


珍しく叫ぶアルに、俺もギョッとする。


へ?幽霊?


バタバタとアルの叫びに集まる一同は俺に抱きつく男を見て、目を見開いた。


「ゆ、幽霊か!?」

アルの言葉と、同じ様に呟くシス。

唖然とするティーンとダイナ。

ウランは剣に手を掛ける。

ただ1人ガルは青筋を立て、ズカズカとヒヨリの前にいき、べりっと男を引き剥がした。

「…これは、どういう事だ?」

ギュッと抱きしめ、ギロッと嫉妬を含む瞳で睨まれる。


「いや、あの!…こ、コイツが俺の鳥さんを!!」

あわあわしながら、ガルに俺は叫ぶ。


「鳥さん?」

コテンと首を傾げ、眉を寄せるガルにコクコクと頷く。

「昨日、傷ついた鳥さんを拾って治してあげたんだ!そしたら、コイツがいきなり!!しかも、鳥さんが居なくなって!絶対コイツが鳥さんを!」

「おい、俺のヒヨリの鳥さんを返せ!」

そーだ!そーだ!

ガルはギッと、男を睨みつける。

その3人のやり取りを見ていた、ティーン、アル、ダイナ、ウランは全てを理解して、幽霊では無かった事に安堵する。

ただ、なぜガルが気付かないのか…と、ため息を漏らす。


ピリピリと、怒りながら、ガルの背に隠れているヒヨリに声をかけた。


「ヒヨリくん、ヒヨリくん。」

シスの声に、眉をキッと釣り上げたヒヨリが、男から視線を逸らした。


「待って!鳥さんを返して貰えないと、救出に行けない!鳥さんも大事だし、まだ完全完治じゃないんだ!毒にやられてとから、内臓が正常に動くまで様子見ないとなんだよ!今日、誰かに頼んで行こうとしたのに!!」


潤む瞳で、鳥さんの心配をするヒヨリにキュンとする一同。

なんて優しい子!

「主人!!」


嬉しそうにヒヨリに近づこうとする男をガルが威嚇する。


「ヒヨリ、大丈夫だ。救出は無くなった。」

口元を笑わせたダイナがヒヨリに優しく言う。

「へ?見つかったの?大丈夫なの?」

驚きと安堵と、心配そうに眉を下げるヒヨリに、ウランは頬を掻きながら、視線を彷徨わせる。

「あー、見つかった。見た感じ、大丈夫そうだ。」


「見た?もう、ギルドにいるの?治療しなきゃ!!」

ハハッと乾いた笑いを見せるアル。


「大丈夫そうだよ?まぁもう一度見て欲しいけど。内臓の調子とか…。」


「誰かに治療受けたんだね!わかった!診るよ!だけど、その前に鳥さんを!鳥さんの内臓も見ないと!弱ってるかもしれない!」

ギッと男を見る。


「十分元気そうだが、鳥さんとやらわ。」

ティーンの言葉に、ヒヨリはキョトンとする。


「鳥さん見たの!?どこで?」

ティーンに詰め寄るヒヨリをまたしてもベリッとガルが引き剥がす。


「あー…ヒヨリくん。俺達が救出するはずだった奴は、獣人なんだ。」

シスが言いづらそうに、困った顔をして、ヒヨリに伝える。


獣人?

今、それが何の関係があるの?


鳥さんについて聞いてるのに!


ムーッとするヒヨリに、話を続けた。

「鷹の獣人なんだ。」


「へー。そうですか?で、鳥さんは!?」


「…で、その仲間がアイツだよ。」

ヒヨリの話をスルーして、今度はウランが口を出し、指を指した。

ウランの指先を追うと、先程の男が手を振る。


へ?


ポカンと男を見つめる。


「アイツが、俺らの仲間でギルドランキング上位者、獣人、鷹のキュリウスだ。」

ウランの言葉に理解が追いつかない。


救出するはずだった仲間が俺を襲った?

そして鷹の獣人が俺の鳥さんを?

あれ?毒にやられて?あれ?


パニクる俺に、クスクス笑うキュリウスとか言う男。


ボンッと変身した。


「助けてくれてありがとう主人。俺が大事で大好きで一生一緒にいる鳥さんだ。」


パタパタと羽ばたき、肩に止まったでかい鳥。

紛れもなく、鳥さんだった。


「ぎゃーーーー!!」

パタリ。

意識を手放したヒヨリだった。


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