ポラリス~導きの天使~

ラグーン黒波

文字の大きさ
7 / 64
第二章・四人の【天使】

【第一節・悪魔の交易】

しおりを挟む
 新しく建てられた教会は石造りの白い外壁、窓には【天使】を模した装飾入りの色硝子、三角屋根の先端には立派な金色の十字架が飾られ以前よりも目立つ、派手な外観となった。
 出入りするための両開きの扉には教会印の刻印と鉄の装飾、扉を抜けると陽光が降り注ぐ明るい礼拝堂へ出る。長椅子の数や配列、外見は変わらず従来通り木製の三人掛け用の物ではあるが、教会自体が少し大きくなったため、それに合わせて人が座っていても通りやすいよう、長椅子同士の間隔を確保することができた。
 正面には祈りを捧げる【天使】像、右には懺悔室があるが、懺悔室……というより、間の仕切りを無くして個人相談室のようになってしまっている。

 確かに【天使】は人間の思考を読み取り、【お告げ】として思考へ直接割り込むことができるが、僕は今までの経験上あまり効率的ではないと考えていた。【中級天使】に昇級したことで干渉範囲が広くなり、直接人間と会話して助言を行うことが可能となったので、ルシへ提案し試験的に実施している。
 【下級天使】には階級制度上任せられず、ほぼ僕しかできない仕事内容だが、時間帯を曜日毎に指定して実施することで負担になりすぎないよう、ルシが計らってくれた。実施当初のように喋り疲れる事は今はもうないが、直接対話するのは【お告げ】のように一方的なやり取りでなく、相手の意見も尊重した上で助言ができるため、以前のような【神頼み】をする参拝者は目に見えて減った。

 懺悔室の扉を軽く叩く者がいる。思考が読めない……となると【天使】か。

「どうぞ、鍵は開いております」

「はい、失礼します」

 扉を開け、教会のローブを纏いフードを被った人物が入ってくる。顔はよく見えないが……恐らく彼であろう。やはり名前が無いとはやり取りに不便なものだ。偽名でも付けるべきか。
 彼はフードを取り、僕の前へ設置された椅子に座る。青く長い髪を後ろで編み、青い目をした中性的な顔立ちの【下級天使】の彼は僕の元同僚で、現在は部下となっている。単独で仕事をすることが多く、今まで他の【下級天使】と関わり合う機会が無かった僕にとって、同僚とは名ばかりのほぼ他人であった。
 彼はローブの下から本日分の報告書を出し、僕へ手渡す。

「本日分の【お告げ】は十件ですが、街の住民達の不満がいささか減ったような気がします」

「僕もそう思います。懺悔室の仕組みを変えたことが大きいのかもしれません。皆さんの仕事が減る形になってしましたが……」

「ご心配なく。【ポラリス】司祭の考えは正しいと、私は理解しておりますので」

 「助かります」と返すが、彼の言葉の端には苛立ちに近いものがあるように聞こえた。
 【ポラリス】という名はルシから頂いた名だ。彼は「女性のような名前ですまない」と謝罪していたが、憧れの【天使】が名付けてくれたのだ、僕にとっては誇りであると感じている。

 受け取った報告書を目の前で確認する。報告書の書き方にも性格が出るようで、三つ編みの彼は事細かに記載してくれて非常にまとめやすいのだが、一方で三人のうち一人の【下級天使】の彼はかなり大雑把。居眠りをしていることも多いのだが……【お告げ】は的確で明るい性格だ。もう一人は去年の冬に配属されたばかりの新人。経験が浅く、真面目で頑張ろうとする姿勢は見えるのだが、失敗することや報告書の要点の抜けがまだ多い。三者三様、皆癖が強い。

「寒さの影響で作物の出来が良くなく、今年の収穫時期が遅れる可能性がある。……農民の方の悩みですか」

「ええ、それなりに大きな農場を構えている方のようです。街に流通する穀物・葉野菜の三割程が、彼の農場から収穫されたものです。住民が飢えるとまではいきませんが、物価高騰の可能性はありそうです。商業区在住の住人でも、そういった話が上がってますね」

「三割……三割ですか……」

 季節は春中旬。周辺の気候は例年よりも不安定なものであった。
 朝晩の気温は未だ低く、植物は霜で覆われ、稀に空から小粒の雹が降る。成長が遅く、ようやく葉を付けたと思えば雹で穴が開いたり、幹が弱くて風に倒されたりなど……農園経営者はかなり頭を悩ませている。
 気候に関して助言をするのは難しい。専門的な領域だ。物価にも影響があるとすれば、一歩間違えると住民から不信を買う形にもなる。

「経験上、私の知識不足で適切な解答が浮かばない場合、【お告げ】を行わないようにしております。が、何もせずにいると同様の悩みを抱えた方が、今後更に増えることになるやもしれません。教会へ直接的な不信にはなりませんが、頭に入れておいていただければと」

「わかりました。同様の内容がまたあれば報告していただけると、こちらとしても助かります」

 僕は司祭服の懐から、用意しておいた金貨の入った袋を彼へ手渡す。ニーズヘルグがどれだけ依然彼に渡していたか気になるが、僕は僕の裁量で配当することにしている。不満の言葉は三人からはないが、どう思っているのだろうか?

「お疲れさまでした。交代の彼を呼んできてください。寝ているかもしれませんが――」

「――ありがとうございます。叩き起こしてくるので大丈夫です」

 彼は丁寧にお辞儀をし、ローブの下へ金貨の入った袋をしまうと席から立ち上がる。
 やはり僕の前では大人しそうにしているが、素顔は粗暴なのかもしれない。彼もまたニーズヘルグの元に長く勤めていたのだ、僕に対しても思うところは間違いなくあるだろう。
 ポラリス司祭、と彼は扉を開ける直前で僕の名を呼ぶ。何か質問でもあるのだろうか?

「なんでしょう?」

「司祭服、よくお似合いですよ」

「……ありがとうございます」

 彼はそれだけを言ってフードを被り、扉を開けて静かに出て行った。
 ……やはり彼と上手くやっていくのは少し難しい。

***

「……空白が多いような気がするのですが」

「すみません、昨日夜遅くまで頑張ってたもので……」

 教会のローブを身に纏った、金髪巻き髪の彼はにこやかに謝罪する。緑の瞳でやや体格のいい彼は、【下級天使】でありながら副業として猟師を営んでいる。
 我々【天使】は階級制度によって人と関われる範囲は狭いが、己の身の内を明かさない・【天使】としての能力を行使しない条件で副業を持つことが許される。勿論、日頃の【天使】としての業務はしっかりとこなしたうえでの話だ。
 彼は生活習慣がやや夜寄りで、昼から夕方にかけての業務の方が捗ると本人が言っていた。新人の教育が進み次第、仕事の時間を入れ替えようと考えている。

「あまりに内容が無いと僕がまとめる際にも困りますし、結果的にあなたの評価が下がることになりますよ」

「ですよねぇ……反省しています」

「……副業へ熱を出すなとは言いません。街周辺の害獣駆除も伴うので悪いことではないのですが、自分の本業を忘れぬように」

「あははははは……はい。なら、今話ながら書き直しても?」

「構いませんよ」

 ほぼ白紙の報告書を返却すると、本日の報告をしながら、空白だった部分が徐々に埋まっていく。
 彼の記憶能力や状況判断能力は高いのだが、眠気が来ると手が止まる。意識して相手の思考を読み取り【お告げ】を行う僕らと違い、彼は寝ながらでも意識を読み取り【お告げ】を行えるという、妙な才能を持っていた。最初は怪しんで彼を三日間観察していたが、参拝者の思考を読み取った限り本当に行えているようで、非常に驚いた。
 居眠りで報告書が白紙になってしまう一点を除けば、明るく社交的な彼に僕から言えることはないのだが。

「――で、最後に商業区の穀物専門店。このお店の主人が、近いうちに値段を上げざるを得ないってのが気になりました。ここ最近天気が悪いですし、関係しているんですかね?」

「農家の方々も悩んでいるようです。天候に関しては経験を積んだとしても、的確な【お告げ】をするのは難しいのです。過去にもありましたが……あまり上手くいった試しがないので」

「俺もそう思ってこの件は【お告げ】をしてません。他からの交易で賄うって方法もあるんですが、市場の値の動きは本職じゃなきゃ不透明ですからね」

「? あなたは街の流通事情に詳しいのですか?」

「いやぁ、他の街との肉の取引とか……そっちの方で少し知識あるだけですが。少なくとも専門職じゃなければ、相場の値段はわからないでしょう。取引って、安く売ったり高く買ったりは簡単ですが、逆に高く買い取ってもらったり安く値切ろうとするのは、繋がりがないと厳しいです。……なんとかしてあげたいんですけどね」

 あまり他の街に関しても明るくない僕らにとって、知識の範囲外の動向、経験で補えない部分に関して【お告げ】をすることも苦手である。肉は肉屋に、薬は薬屋に。彼の言葉は正しい。それでも、なんとかしてあげたいと気にかける彼の姿は、以前のもどかしかった自分のあの頃と重なる。

「僕の方でももう少し情報を集めてみます。お疲れさまでした」

「ありがとうございますっ!! それと【ポーラ】司祭、これ昨日獲れた猪のお肉ですっ!!」

 金貨の入った袋を差し出すと、彼もローブの下から丁寧に植物の葉で包まれた、手のひらよりも少し大きい塊を僕へ差し出す。
 司祭になってから、彼は時折差し入れと称し、狩猟した獲物の肉を長期保存の効くような状態へ加工し、持ってきてくれる。きっかけは僕と彼が一緒に酒場で食事をした時なのだが、美味しそうに食べていたのでと、その日の夜に獲れた肉を翌日加工して持ってきてくれた。ニ、三回目までは賄賂か何かと思い断っていたが、四回目で泣きつかれたので渋々受け取り加熱調理して食べてみたところ、酒場の鶏肉モドキステーキより風味の効いた味がなんとも美味い。調味料や食用薬草にも知識があるそうで、旨味を引き出す加工を独自で研究しているとのことだった。彼の温厚な性格から察するに、本当の好意であったのであろう。僕が謝罪した後もこうして持ってきてくれている。
 【ポラリス】……ルシが女性のような名前ですまないと言っていたのを聞いて、彼は省略して【ポーラ】と僕を呼ぶようになった。他にもそれにつられて呼ぶようになった者が何人かいるが……ルシ曰く、親しみを込めて愛称で呼ぶ風習が【地上界】にはあるようで、僕もポーラというもう一つの名を受け入れている。

「直接的な評価にはなりませんが、ありがたく受け取っておきます。一昨日の加工した魔物の肉も美味しかったですよ」

「おおっ、それはよかったですっ!! 魔物の肉でも部位によって味が違うんで、自分好みの部位とか探し始めるとなかなか深いんですよ。獣臭さとかあれば、この前お渡した薬草を刻んだ調味料と混ぜて焼いてあげると臭みはとれますから、試してみてくださいっ!!」

「……あなたは【天使】より、肉屋か肉料理専門店の方が向いてそうですよね」

「んー、ポーラ司祭にそういっていただけるのは嬉しいんですが、俺も【天使】ですから」

 彼は照れくさそうに笑いながら頭を掻く。
 もし彼と【下級天使】時代に知り合っていたとしたら、ペントラのように良き友人になれたのかもしれないなと思う。

***

「あの……すいません」

 夕方、教会の地下に設置された小さな調理場で、彼から貰った猪肉を焼いていると、外から扉を小さく叩く音と共に小さな声が聞こえた。思考が読めない……なら彼女か。まだ終業時刻には早いはずだが。

「開いてますよ、どうぞ」

 「失礼します」と、か細い声と共に、長い茶髪にローブ姿の小柄な【天使】が扉の隙間から素早く出てくる。

 丸眼鏡に大きな黄色い瞳、彼女は去年の冬に新しく教会へ配属された新人【下級天使】だ。彼女……と言っているが、性別はまだない。ただ仕草が女性らしいことと、街の住人達からも女性扱いされることが多いとのことで、僕は彼女と呼ぶことにしている。五感のうち視力が極端に低く、いつも度のきつい丸眼鏡をかけているそうだ。
 僕も味覚と嗅覚が十年間ほぼない状態で過ごしてきた身だが、眼鏡を通して補える分まだいいと思える。仮に盲目の状態から世界が開けたとしたら、急な刺激に脳が耐えられないかもしれない。いずれにしても、彼女の視力が戻ればいいのだが。

「ポラリス司祭、えっと……参拝者のお悩みに、どう的確な【お告げ】をしたらいいのかわからなくて……」

「聞きましょう。お肉を焼きながらでもいいですか?」

「は……はい。……友人間のお金のやり取りのお話なんですが――」

 新人の彼女は時々こうして僕の元へ、【お告げ】の的確な判断や指導を求めに来ることがある。経験不足の彼女に、その場で得た情報判断で【お告げ】を行わせるよりも堅実な行動だ。
 僕ら【天使】は、対象の記憶を遡って過去を視ることもできるが、彼女にはまだ難しいようで、一刻程前までしか遡ることができない。前任者のニーズヘルグが、彼女へどういった指導方法を執っていたか不明ではあるものの、内気な彼女とはまともに会話もしてこなかったのだろう。僕に対しても怯えるような顔をすることがあり、対話する行為自体が苦手だということがわかる。しかし、彼女自身は勤勉家でもあり、一度指導したことは同じ状況に遭遇しても二度目を聞くことはほとんどなく、報告書の書き方も日々の積み重ねもあって、次第に読みやすくなってきた。

「――口約束は難しいですが、金銭的なやり取りは早いうちに解決するよう促した方がよいですね。友人同士の仲を保つためにも、請求はしっかりと行っておいた方がよいでしょう。問題の負の連鎖は、早めに摘んでおくのが鉄則です」

「はい、すみません……お手を煩わせてしまって……」

「僕も最初の頃は必死でしたから、気持ちはよくわかります。焦らないで、徐々にできるようになっていきましょう」

「はい……ありがとうございます……」

「今日はこの件の【お告げ】を行ったら、業務を切り上げていただいても構いません。少し早いですが、彼から貰ったお肉もありますし、一緒に夕食を取りながら報告書をまとめましょう」

「よっよっ、よろしいのですか……? 終業まで時間はまだありますし、お食事まで――」

「――監督官の特権です。多少終業まで早くても、僕がよいと言えばよいのです。あなたの努力は僕も評価してますからね。その日の出来事を、ゆっくりと整理する時間も大切です」

「あ、ありがとうございます……」

 お辞儀をしたあと、彼女はフードを被り直してそそくさと調理場を出て行く。
 元同僚の彼女らに関して、知らないことの方が多い。食事でも交えながら会話をした方が、お互い話しやすいこともあるだろう。いずれにしろ、上司として性格や得意不得意に関して把握しておきたい。
 仕事の効率化、指導、相談……【中級天使】として、試みたいことはまだ沢山ある。将来昇進する彼女らにも、僕の考え方を引き継いでこの教会で勤めてもらいたい。人間、【天使】、魔物混じりや魔物――そして【悪魔】。ルシのように一人でどこまでもできる敏腕さはないが、皆の力を合わせれば並べる可能性はある。
 ニーズヘルグのような汚職に手を染め、偏見ばかりの【天使】を生み出さないためにも、僕が彼らをしっかりと導かなければ。

***

 夕食を新人【天使】の彼女ととりながら、報告書の書き方を指導する。
 調理していて感じたのだが、巻き髪の彼から貰った猪肉が一人分にしては多く、もしかしたら気を遣わせてしまったのかもしれないと考えてしまう。油が少し余ったので、そのまま刻んだ芋と人参を炒めて猪肉のステーキへ添えることにした。食べるのが速いようで、僕が二人分の報告書を食べながら確認している間に、彼女の皿は綺麗になっており、こちらが食べ終える頃には報告書を半分以上書き進めていた。
 食べ終わったのを見計らい、彼女が質問をしてくる。

「ポラリス司祭……質問が……」

「なんでしょう?」

「えっと……報告書に書くほどかわからないのですが、天候が不安定で、観賞用に植えた植物が育たないとか……。お天気に関しての思考が多かったです」

 彼女もか。職業に限らず、想像以上に多くの人々が気候へ悩まされているのかもしれない。
 気候、市場、物流……やはり解決策が判断できない悩みを、大量に抱え込んだままにしておくのもよくはなさそうだ。独学では限度がある。専門的な知識、もしくは職業の協力者が必要かもしれない。明日は週に一度の休日だ。スピカやペントラにも相談してみるか。

「皆さん、天候不順に悩まされているようですね。……特に農作物には影響が既に出ているようで、それに伴って物価高騰もあり得るとのことです。住民の生活にも影響や不安が広まりますし、我々が【お告げ】をして悪戯にかき乱すより、根本的な解決を図った方がいいかもしれません」

「……根本的な解決? ……お天気をどうにかするのですか……?」

「それができれば一番ですが、手始めにまず予想される農作物の不作に備え、ある程度他からの流通を確保する必要がありますね。……僕は明日、専門的な知識を持つ方に助言や協力を仰げないか、相談してみるつもりです」

「……ルシ様のお話していた、森の奥にお城を構えている、魔物や【悪魔】の皆さんでしょうか……?」

 彼女は報告書を書く手を止め、俯いて不安そうな顔をする。

 僕が昇級したあの日。同僚だった彼らにも、あの場所の事や秘匿としてきた史実、ニーズヘルグの【堕天】について、ルシ本人の口から直接伝えられた。皆一様に驚いた表情をしていたが、ルシの口から語られたこと、教会地下の犠牲になった人々の惨状を目の当たりにし、信じざるを得なかったようだ。彼らもまた、僕らと同様に秘匿を守り【天使】の業務を全うすると誓ったが、内心魔王の娘であるスピカの存在や、ローグメルクのような【悪魔】に対し、良い感情を抱いていない者もいたであろう。
 それでも彼らには、受け入れてもらわなければならないのだ。歴史に名を刻んだ者達が残した美しい光を、僕ら【天使】の手で絶やしてはいけないとルシへ誓い、あの教会で祈るスピカにも僕は誓った。正しい【天使】の生き方ではないかもしれない。けれど道を拓く者の前に道は無く、導くのは僕ら自身なのだ。
 それが例え歪な生き方でも、面白可笑しくしたいだけの神々の囁きに惑わされてはいけない。

 明日は教会の扉が開かない。つまり休日である。彼らにも直接スピカ達に会ってもらいたいが、彼女の様子を見る限り難しいかもしれない。この場に居ない二人へも声は掛けるが、無理強いはしないつもりだ。

「彼女らは、付近にある人間の村と交易を行っていると以前聞きました。森の中に農園や畑があるともお話していましたし、そちらの影響のお話も聞いておきたい。……あなたも来ますか?」

 その言葉を聞いた彼女は目を大きく見開いた後、消え入りそうな声で「はい」と、小さく返事をした。

***

 翌日の朝十時丁度。僕らは獣道を通り、スピカの領地を目指して歩いていた。同行者は慣れない長距離移動と獣道で息を切らしている丸眼鏡の新人【天使】と……その前を淡々と歩く、青髪に三つ編みをした彼だ。

 昨晩、教会側で提供している借家へ直接訪ね、金髪巻き毛の彼は用事があって行けないと断られてしまったが、三つ編みの彼は僕の理由を聞くと「行きます」と、直ぐ返事をしてくれたのは少々意外だった。昨日の雰囲気では、断られてもしかたがないと思っていたのだが。

 二人共汚れてもいいようコートを着ており、新人は茶色の革素材にフード部分へふわふわとした綿が付いており物を。三つ編みの彼は、濃い青の革素材に背中には翼を模した黒の刺繍が二つ入っている。
 時々新人が息を整えるのを待ち、言葉数少なく皆で歩く。三つ編みの彼は虫の羽音が鬱陶しいのか、時折耳元を払う仕草をしながら眉間へ皺を寄せている。二人共、うっすらと額に汗をにじませているのは確認できた。
 元々体格に恵まれた巻き毛の彼のような例もあるが、【受肉】で得た仮の肉体は単純に鍛えれば筋力や体力が身につくというものではなく、ほぼ階級に依存する。【中級天使】となった僕は少し余裕があるくらいだが、それでもその程度、やはり僕ら【天使】に肉体労働は厳しい。

「………………? 何か見えてきましたね。お城と……教会でしょうか?」

 三つ編みの彼が、進行方向の木々の隙間から見えた光景を口に出す。
 ほどなくして森を抜ける。あの尖った屋根が特徴的な建物と教会、真っ白な外壁の城が僕らを出迎えた。三つ編みの彼は建物一つ一つを確認するようじっくりと、新人は「すごい」と小さく呟いてやや呆然とした表情で眺める。二人の姿を見て、初めて訪れた時の自分の姿と重ねる。
 しばらく二人が街の建物を観察した後、城の門が開くのが見え、皆の視線がそちらへ集まる。門の隙間から出てきたのは、角の生えたメイド姿の色白女性と、角の生えた紫髪の少女だった。
 ティルレットとスピカだ。スピカはこちらに気が付くと大きく手を振ってきたので、僕も手を振り返す。

「あれがかの魔王の娘……思ってたよりも小さいですね。角以外は本当に子供みたいだ」

「見た目は子供ですが、芯の強い子ですよ」

「……どんなお話を聞けるか楽しみです」

 そう言いながら、三つ編みの彼は小さく笑う。新人は手帳を取り出し、建物の外見や様子などをペンで書き留めているようだ。
 僕らはゆっくりと、手を振る彼女の元へ歩き出す。

***

 ティルレットがお兄さんと、他二人の聞きなれない足音を聞いたと報告してきたので城の外へ出てると、コート姿のお兄さんとその隣に青い三つ編みの男、二人の後ろに手帳でメモを取る眼鏡の少女の姿が見えた。ボクが手を振るとお兄さんが振り返してくれたので、城の中にいるローグメルクへお客さんを出迎える準備をするよう叫ぶ。
 建物の見学を終えたお兄さん達は、ゆっくりと丘を登ってくる。今日も賑やかな一日になりそうです。

「おはようございます。スピカさん、ティルレットさん。朝早くに申し訳ありません」

「おはようございますっ!! いえいえ、お兄さんならいつでも大歓迎ですよっ!! えっと、そちらのお二人は……」

 青い三つ編みの男が一歩前へ出る。お兄さんと同じ中性的な顔立ちだが、目つきが少し鋭い。

「お初にお目にかかります。ポラリス司祭の部下をしている者です。階級は【下級天使】。名はまだありませんが、お好きなようにお呼びください」

 彼は丁寧にお辞儀をしたあと右手を差し出し、握手を求める。ボクも自己紹介をしながらそれに応じる。

「スピカ・アーヴェインです。お話はルシやお兄さんから聞いていると思いますが、今後ともお付き合いの程よろしくお願いいたします」

「ええ、こちらこそよろしくお願いします」

 握る力こそ優しかったが、手のひらが妙にごつごつしていたのが気になった。マメでしょうかね? お互いに手を離すと、彼の背後からひょっこりと長い茶髪と丸眼鏡が特徴的な少女が顔を出す。人見知りなのだろうか、おどおどしながら小さな声で挨拶をする。

「おはよう、ございます。……同じく、ポラリス司祭の部下をしている【下級天使】です。……性別はまだ無いのですが……女性として扱ってくださると助かります」

「スピカです。よろしくお願いします、小さな【天使】さん?」

「……はいぃ」

 ボクより背の低い彼女は恥ずかしいのか、顔を真っ赤にしてぺこりとお辞儀をした。可愛いですねこの子。人見知りな【天使】がまともに仕事できるのかはともかく。
 部下の挨拶を見届けたお兄さんは、本日訪ねてきた理由を話し始める。

「最近の不安定な気候で、僕らの街の農作物が被害を受けていまして……以前スピカさん達が街で交易していることや畑の収穫について触れていたので、参考までにお話を伺いたいなと」

「冷害ですかぁ。……畑に関してなら、ドルロス夫妻が詳しく知っていると思います。ただ、今朝早くに付近に出ている凶悪な魔物の狩猟で外出していまして……交易に関してなら、ボクらでもお力になれそうですね。分かりましたっ!! どうぞ、皆さんお入りくださいっ!!」

 ボクは城の中へ入るよう促す。慣れたお兄さんはともかく、長い距離を移動をした後だ。少しでも足を休ませてあげたい。
 しかし、冷害ときましたか。ドルロス夫妻は何も言ってませんでしたが、どう対策してるかは直接聞いた方が早いです。問題はいつ帰って来るかわからないという点。今日中に戻って来てくれればいいのですが。
 城の中に入ると、ローグメルクが皆へお手拭きを渡していた。家事をしていた最中だったのだろう、エプロンを身につけた姿で三つ編みの彼や丸眼鏡の少女と挨拶を交わしている。ボクが入るのを確認した後、背後に居たティルレットが門を閉めて鍵をかけた。

「ティルレット。街で交易している物品リストを、ボクの部屋から持ってきてもらってもいいですか? 机の下から二番目の引き出しに入っているはずです」

「了承」

 短く返事をした彼女は速足で、ボクの部屋へ向かう為に階段へと歩いていく。その背中を見送りながらお兄さんが話しかけてきた。

「ドルロス夫妻……確か高齢のゴブリン夫婦でしたね。温厚でゆったりとした足取りのお二人でしたが、魔物の狩猟も行うとは驚きです」

「お兄さんはお会いしたことがあるのですか?」

「二度ほど、農機具が置いてある建物の前で。お互いに自己紹介をしたり、挨拶や世間話をした程度ですけど……」

「色々あって今は畑仕事に落ち着いてしまっていますが、父が生きていた頃は兵士として仕えてましたから、腕は立ちますよ。確か……お互い七十歳は超えられてましたね」

「なるほど。今日来られなかった僕の部下が一人いるのですが、彼も副業で狩猟をしているそうです。時々、僕にも加工したお肉を分けてくれるんですよ」

「【天使】って結構ハードワークなのに兼業する方いるんですね。というか、そもそもできるのです?」

「ええ。【天使】としての能力を行使しない前提でなら、副業を持つことも許されています。才能があるのは確かなのですが……居眠り癖が少し。徹夜で狩りをしたり、肉の仕込みをしたりすることもあるそうで」

「……【天使】よりも、お肉屋さんとかした方が充実してそう」

「お恥ずかしながら……僕もそう思います」

 少し困った顔をしながらお兄さんは笑う。
 上司として部下を持つ。慣れないことばかりで大変そうですが、今のお兄さんはどこか楽しそうにも見えてボクも嬉しいです。

***

 客間の暖炉前にあるテーブルを囲んでソファへ座り、ボクは【天使】の皆さんに、交易を行っている街について話をする。とはいっても、交易相手は二ヶ所しかないので参考になるかどうかは不安ですが。
 ティルレットが持って来てくれた物品リストには、穀物や果実の値段変動以外にも、領地内の畑などで賄えない食料や消耗品、雑貨や服の値段も、交易を行った日毎に細かく分けられている。確かに……改めてこうして並べてみると、農作物関連が値上がりしているのは明らかで、ほとんどの農業者は冷害を見越し、既に値上げへ踏み切ったようだ。

「基本的には自給自足で賄えているのですが、領地の住人で欲しい物があったりすると、どうしてもお金が必要なので。……そういう場合に備え、作り過ぎた穀物や野菜などを、交易相手の街の市場へ回してあげてるんです」

「この領地内では、通貨のやり取りがほぼ行われていないと考えても?」と、三つ編みの彼はテーブルの上に広げた一ヶ月分のリストを目でなぞりながら尋ねる。

「通貨を回す必要があるほど住人も居ません。狭い範囲で領地外と同じ通貨を扱うとなると、管理がややこしいのです。欲しい物は自分の足で山や鉱山などへ取りに行ったり、趣味で飲食店紛いなことをやっている方もいますから、皆さん自由なのですよ」

「経済的に孤立しているのにも関わらず、住人は誰も反発しないのですか?」

「いえ、僕らの知る経済が、そもそも領地内には存在しないと捉えた方がよいでしょう。自給自足を少人数で完結できるのであれば、暮らしていくには充分です。通貨やお金はそれを満たせない場合に使用する、一種の媒体にしか過ぎませんから」

「流石お兄さん、よくわかってますねぇ」

 ボクの言葉にお兄さんの隣へ座る三つ編みの彼が、小さく舌打ちをする。あんまりボクらの事が好きじゃないのか、お兄さんが嫌いなのか……多分両方でしょうねぇ。ルシから説明され、仕方なく従ってるって感じがします。
 優秀だけども相手の揚げ足取ろうとする性格なのだとしたら、領地内で単独行動させるのは少し不安ですね。……シスターを呼んで、監視させた方がいいかもしれません。
 一方で、丸眼鏡の少女は黙々とリストをメモしているようだ。表紙の劣化具合から、手帳は相当使い込まれているのがわかる。そしてもう一部のリストへ目を移し、書きとる手を一度止め、小さな声で呟やく。
「……魚……貝……塩……海産物?」

「ん? あー、そっちは【魚人族】との記録ですね。海産物は彼らと交易した方が安いですし、海から離れられない彼らにとって、陸の食材は貴重ですから」

「魚人族……」

「人間との交流が疎遠になっている種族です。あのクソったれ狂王も、流石に海の中まで侵略しようとはしませんでしたが、彼らが陸上拠点としていた港町は軍によって壊され、反撃に出た勇敢な魚人達も犠牲になりました。ボクらとは同じ被害者として接してくれますが、【天使】の皆さんが行っても、あまり良い顔されないでしょう」

「…………………」

「どうしました眼鏡の【天使】さん?」

「……魚って……美味しいのですか?」

 彼女の言葉に空気が固まる。
 魚……言われてみれば近辺には湖や川も無く、魚が唯一獲れそうな場所といえば海しかない。しかし、その唯一の海も【魚人族】が管轄しており、人間は漁をするどころか釣りさえ行えないのだ。もっと遠くの地域なら川や湖、【魚人族】の管轄外の海もあるだろう。ただ、それだけの労力に見合うほどの利益が得られるかどうかとなると、話は別です。長距離を移動する旅商人一団でもければ、この周辺地域の人間が魚を手に入れる方法は皆無のかもしれませんね。

「……お兄さん達は食べたことありますか?」

「僕はないですね。街には魚屋も魚料理のメニューも無いので」

「恥ずかしながら、私もありません」

 ああ、まあ、そうですよね。予想はしてましたよ。
 しかし、どうしましょうか。今日は付近の街で交易する予定が元々あったので、同行させてもよいのですが……彼らが【天使】に対し、どう出るか予想できません。説得するにしても、すんなりとはいかないでしょう。特に三つ編みの彼。人間や【天使】以外の種族に対し、反発しないとも思えない……厄介ですねぇ。
 どうしたものかと思案していると、ドアをノックする音が聞こえる。ローグメルクでしょうか。

「ごきげんよう、スピカ嬢。今日は街でお買い物をするとのことなので、お役に立てればと伺いましたわ」

 いいタイミングで来てくれました、シスター。あなた込みで考えるなら、ある程度班分けができるかもしれません。是非協力していただきましょう。

「よく来てくださいましたシスターっ!! ヒジョーに大事なお話があるので、どうぞ入ってくださいっ!!」

「あら、今日はいつになくお元気ですわね? 失礼いたしますわ」

 ドアを開け、いつもの修道着に身を包んだ骸骨顔のシスターが現れる。
 彼女を見た【天使】各々の反応だが、丸眼鏡の少女は背後から現れた骸骨に小さく悲鳴を上げ、お兄さんの腕へ抱きつき目を大きく見開いている。もう一人の三つ編みの彼は……あれ? 何処行きました?
「まあっ、ポラリス司祭。おはようございます。お隣の子は?」

「おはようございます、シスター。彼女は僕の部下の【下級天使】……なのですが、少々人見知りなところがありまして……すみません」

「し、しさいっ!! ……がい……がいこつが……」

「ああっ!? 驚かせてすみません小さな【天使】様っ!? 私はあちらの教会に勤めさせていただいているシスターですっ!! この身は神へ捧げた身、使いである【天使】様に無礼を働くとはなんてことを……っ!! すみませんすみませんすみません……っ!!」

「ひっ……ひいいいぃ……っ!?」

 カタカタと顎の骨を鳴らしながらお辞儀を繰り返すシスターに、眼鏡の少女は泣きそうになっていた。この場にティルレットがいたなら、きっとボクにデッサンをしていいかと尋ねるだろう。許可しますよ勿論。
 それで三つ編みの彼ですが……座っていた椅子の裏に隠れて震えながら、何か呟いてますね。

「……椅子の裏に隠れて何してるんです?」

「えっ!? こ、怖いわけではないですよっ!? ……ただ……私は、彼女が苦手なだけです。高潔な【天使】が、人骨如きに恐怖など……」

 言い訳しながら彼は慌てて椅子へ座り直すが、シスターを視界に入れないよう物品リストに目を配らせる。よほど苦手なのだろう。ついでに二人の反応を見て班の振り分けが決まりましたし、彼には更なる怖い目に遭っていただくため、上司のお兄さんにも協力していただきましょう。

 良薬は口に苦しとも言います。少々強引ですが、彼の意識を変えるきっかけとしては、いい機会かもしれません。
しおりを挟む
感想 20

あなたにおすすめの小説

私が王子との結婚式の日に、妹に毒を盛られ、公衆の面前で辱められた。でも今、私は時を戻し、運命を変えに来た。

MayonakaTsuki
恋愛
王子との結婚式の日、私は最も信頼していた人物――自分の妹――に裏切られた。毒を盛られ、公開の場で辱められ、未来の王に拒絶され、私の人生は血と侮辱の中でそこで終わったかのように思えた。しかし、死が私を迎えたとき、不可能なことが起きた――私は同じ回廊で、祭壇の前で目を覚まし、あらゆる涙、嘘、そして一撃の記憶をそのまま覚えていた。今、二度目のチャンスを得た私は、ただ一つの使命を持つ――真実を突き止め、奪われたものを取り戻し、私を破滅させた者たちにその代償を払わせる。もはや、何も以前のままではない。何も許されない。

クラス転移したけど、皆さん勘違いしてません?

青いウーパーと山椒魚
ファンタジー
加藤あいは高校2年生。 最近ネット小説にハマりまくっているごく普通の高校生である。 普通に過ごしていたら異世界転移に巻き込まれた? しかも弱いからと森に捨てられた。 いやちょっとまてよ? 皆さん勘違いしてません? これはあいの不思議な日常を書いた物語である。 本編完結しました! 相変わらず話ごちゃごちゃしていると思いますが、楽しんでいただけると嬉しいです! 1話は1000字くらいなのでササッと読めるはず…

転移先で日本語を読めるというだけで最強の男に囚われました

桜あずみ
恋愛
異世界に転移して2年。 言葉も話せなかったこの国で、必死に努力して、やっとこの世界に馴染んできた。 しかし、ただ一つ、抜けなかった癖がある。 ──ふとした瞬間に、日本語でメモを取ってしまうこと。 その一行が、彼の目に留まった。 「この文字を書いたのは、あなたですか?」 美しく、完璧で、どこか現実離れした男。 日本語という未知の文字に強い関心を示した彼は、やがて、少しずつ距離を詰めてくる。 最初はただの好奇心だと思っていた。 けれど、気づけば私は彼の手の中にいた。 彼の正体も、本当の目的も知らないまま。すべてを知ったときには、もう逃げられなかった。 毎日19時に更新予定です。

遡ったのは君だけじゃない。離縁状を置いて出ていった妻ーー始まりは、そこからだった。

沼野 花
恋愛
夫と子供たちに、選ばれなかったイネス。 すべてを愛人に奪われ、彼女は限界を迎え、屋敷を去る。 だが、その先に待っていたのは、救いではなかった。 イネスを襲った、取り返しのつかない出来事。 変わり果てた現実を前に、 夫はようやく、自分が何を失ったのかを思い知る。 深い後悔と悲しみに苛まれながら、 失ったイネスの心を取り戻そうとする夫。 しかし、彼女の心はすでに、外の世界へと向かっていた。 贖罪を背負いながらもイネスを求め続ける夫。 そして、母の心を知っていく子供たち。 イネスが求める愛とは、 そして、幸せとは――。

【魔女ローゼマリー伝説】~5歳で存在を忘れられた元王女の私だけど、自称美少女天才魔女として世界を救うために冒険したいと思います!~

ハムえっぐ
ファンタジー
かつて魔族が降臨し、7人の英雄によって平和がもたらされた大陸。その一国、ベルガー王国で物語は始まる。 王国の第一王女ローゼマリーは、5歳の誕生日の夜、幸せな時間のさなかに王宮を襲撃され、目の前で両親である国王夫妻を「漆黒の剣を持つ謎の黒髪の女」に殺害される。母が最後の力で放った転移魔法と「魔女ディルを頼れ」という遺言によりローゼマリーは辛くも死地を脱した。 15歳になったローゼは師ディルと別れ、両親の仇である黒髪の女を探し出すため、そして悪政により荒廃しつつある祖国の現状を確かめるため旅立つ。 国境の街ビオレールで冒険者として活動を始めたローゼは、運命的な出会いを果たす。因縁の仇と同じ黒髪と漆黒の剣を持つ少年傭兵リョウ。自由奔放で可愛いが、何か秘密を抱えていそうなエルフの美少女ベレニス。クセの強い仲間たちと共にローゼの新たな人生が動き出す。 これは王女の身分を失った最強天才魔女ローゼが、復讐の誓いを胸に仲間たちとの絆を育みながら、王国の闇や自らの運命に立ち向かう物語。友情、復讐、恋愛、魔法、剣戟、謀略が織りなす、ダークファンタジー英雄譚が、今、幕を開ける。  

追放された味噌カス第7王子の異種族たちと,のんびり辺境地開発

ハーフのクロエ
ファンタジー
 アテナ王国の末っ子の第7王子に産まれたルーファスは魔力が0で無能者と言われ、大陸の妖精族や亜人やモンスターの多い大陸から離れた無人島に追放される。だが前世は万能スキル持ちで魔王を倒し英雄と呼ばれていたのを隠し生まれ変わってスローライフを送る為に無能者を装っていたのだ。そんなルーファスはスローライフを送るつもりが、無人島には人間族以外の種族の独自に進化した先住民がおり、周りの人たちが勝手に動いて気が付けば豊かで平和な強国を起こしていく物語です。

妻からの手紙~18年の後悔を添えて~

Mio
ファンタジー
妻から手紙が来た。 妻が死んで18年目の今日。 息子の誕生日。 「お誕生日おめでとう、ルカ!愛してるわ。エミリア・シェラード」 息子は…17年前に死んだ。 手紙はもう一通あった。 俺はその手紙を読んで、一生分の後悔をした。 ------------------------------

王女の中身は元自衛官だったので、継母に追放されたけど思い通りになりません

きぬがやあきら
恋愛
「妻はお妃様一人とお約束されたそうですが、今でもまだ同じことが言えますか?」 「正直なところ、不安を感じている」 久方ぶりに招かれた故郷、セレンティア城の月光満ちる庭園で、アシュレイは信じ難い光景を目撃するーー 激闘の末、王座に就いたアルダシールと結ばれた、元セレンティア王国の王女アシュレイ。 アラウァリア国では、新政権を勝ち取ったアシュレイを国母と崇めてくれる国民も多い。だが、結婚から2年、未だ後継ぎに恵まれないアルダシールに側室を推す声も上がり始める。そんな頃、弟シュナイゼルから結婚式の招待が舞い込んだ。 第2幕、連載開始しました! お気に入り登録してくださった皆様、ありがとうございます! 心より御礼申し上げます。 以下、1章のあらすじです。 アシュレイは前世の記憶を持つ、セレンティア王国の皇女だった。後ろ盾もなく、継母である王妃に体よく追い出されてしまう。 表向きは外交の駒として、アラウァリア王国へ嫁ぐ形だが、国王は御年50歳で既に18人もの妃を持っている。 常に不遇の扱いを受けて、我慢の限界だったアシュレイは、大胆な計画を企てた。 それは輿入れの道中を、自ら雇った盗賊に襲撃させるもの。 サバイバルの知識もあるし、宝飾品を処分して生き抜けば、残りの人生を自由に謳歌できると踏んでいた。 しかし、輿入れ当日アシュレイを攫い出したのは、アラウァリアの第一王子・アルダシール。 盗賊団と共謀し、晴れて自由の身を望んでいたのに、アルダシールはアシュレイを手放してはくれず……。 アシュレイは自由と幸福を手に入れられるのか?

処理中です...