スキル覚醒の覇王ー最弱から成り上がる異世界チート伝

あか

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第9話

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第9話 神殿陥落

 王都の中心――聖域と呼ばれる地区は、いま炎に包まれていた。
 神の加護を示す純白の石畳が、戦火の赤で染まり、鐘の音が空を裂く。

 天城蓮は、燃える街を見下ろす丘に立っていた。
 隣にはエリスとリィナ。
 背後では、神殿から逃げ出した市民たちが混乱の中を走り抜けていく。

「行くぞ。今日で終わらせる」
 蓮が静かに言う。
 その目には、恐怖も迷いもなかった。

「神殿の守護隊は精鋭よ。正面突破なんて……」
 エリスの声を遮るように、蓮が言った。
「正面からでいい。俺が通す」

 金黒の紋章が腕に浮かび上がる。
 超越模倣が起動し、空気が震える。

《スキル起動:“虚神模倣(ヴォイド・ミメシス)”》

 その瞬間、周囲の空気が歪み、炎が逆流した。
 まるで世界そのものが彼に従うかのように。

 リィナが肩をすくめた。
「こりゃ本気だね。じゃ、派手にいこうか」

 三人は丘を駆け降り、神殿へ突入した。



 神殿の大扉は高さ十メートルを超える。
 祈りの文字が刻まれ、聖光が常に流れている――はずだった。

 だが、いまは違う。
 蓮が右手をかざしただけで、扉の光が黒に染まり、文字が崩れ落ちた。

 爆音。
 大扉が爆発し、破片が周囲に飛び散る。

「聖域侵入! 防衛陣展開!」

 甲冑に身を包んだ神殿騎士たちが押し寄せる。
 数は数十。槍と魔法が一斉に放たれる。

 だが、蓮の前で全てが止まった。
 光弾、炎槍、氷刃――どれも動きを止め、宙に浮いたまま。

 蓮が低く呟く。
「――上書き(オーバーライド)」

 止まった攻撃が反転し、放った本人たちに襲いかかる。
 爆発。悲鳴。
 聖堂の中が一瞬で修羅場と化した。

「くっ……化け物め!」
 騎士長が突進してくる。
 蓮はその動きを一瞥しただけで、剣を構えた。

 瞬間、剣が金黒の光に包まれる。
 斬撃一閃――音もなく、男の鎧が裂けた。

 血の代わりに、光が溢れて消えていく。

「……魂ごと、削られた……!?」
 エリスが息をのむ。
 リィナが呟く。
「まるで神の力そのものだね」

 蓮は無表情で剣を下ろした。
「神の力を“模倣”しただけだ」



 神殿の奥へ進む。
 中央の大広間。
 そこには、黄金の玉座と、白い光の柱があった。

 そして、その前に一人の男が立っていた。

 長い金髪、白い外套、背に光の翼。
 その顔は人間のようでありながら、どこか無機質だ。

「……来たか、覚醒者」

「お前が“神の代行者”か」

「名はゼオル。神々の代理として、この地を管理する存在だ」

 ゼオルの瞳が淡く光る。
「お前の罪は、世界の法則を壊したこと。
 その罪、神の名のもとに――消滅を以って償え」

 空間が閃光に包まれた。
 ゼオルの背から六枚の光翼が広がり、剣が現れる。

「《光翼降誅(セラフィム・レイン)》!」

 無数の光の矢が降り注いだ。
 神殿全体が光で満たされ、空気が焦げる。

 だが――

「……遅い」

 蓮の声が響く。
 その全ての矢が、空中で停止した。

 ゼオルの瞳が驚愕に染まる。
「なに……!?」

「もらったぜ、その技」

《スキル模倣:“光翼降誅” 出力200%》

 止まった矢が反転する。
 嵐のような光の雨が、ゼオルを中心に炸裂した。
 聖域が崩れ、神殿の壁が吹き飛ぶ。

 煙の中、ゼオルがよろめきながら立つ。
 その体は光を漏らしながらも、まだ消えていない。

「……我らは……神の断片……
 我を滅しても、神々はお前を恐れぬ……」

「そうか」

 蓮は剣を構え、低く言った。
「じゃあ、神々ごと模倣して、終わらせてやる」

 一閃。
 金黒の光がゼオルを貫き、彼は静かに崩れ落ちた。

 その瞬間、空から光が降り注ぐ。
 王都全体に響く声――それは、五柱の神々の声だった。

《代行者ゼオル、消滅確認。
 神の座に空席発生。
 新たな権限保有者――天城蓮》

 神殿全体が光に包まれる。
 蓮の体が浮かび、紋章が燃えるように輝く。

「おい蓮! 戻れ!」
 リィナの叫びも届かない。

《神格干渉承認。
 模倣者、神の座に接続》

 蓮の視界が白に染まり、無数の声が頭の中に響いた。
 神々の議会――“創世会議”。

《模倣者。なぜ神に逆らう?》
《人の分際で、我らと同列に立つ気か》

「違う。俺は――」

 蓮は拳を握りしめた。
「神と並ぶんじゃない。神を“上書き”する」

 空間が震える。
 神々の光が一斉に収束し、蓮の周囲で嵐となった。

《ならば証明せよ、人間。
 創世の座を奪う資格があるかどうか――》

 世界が崩れる。
 空と地が入れ替わり、蓮の体は光の渦に呑み込まれていった。



 気づけば、蓮は白い大地に立っていた。
 遥か上空に浮かぶ五つの玉座――神々の座。
 その一つが空席。
 残る四柱の神が、静かに彼を見下ろしている。

 エリスとリィナの声は、もう届かない。

 蓮は剣を握り、口元をわずかに歪めた。
「よし……“神々の座編”、開幕だな」

 金黒の光が再び、世界を裂いた。
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