詐欺る

黒崎伸一郎

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萩原海人としての出発②

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サウナから出た私はまず服を見に行った。
駅前のデパートに入り先ずはブティックに入って鏡を見ながら試着する。
鮮やかな青のトレーナーと小洒落たジーパンとブランドのスニーカーである。
(これではまるで海人と同じじゃないか)
とは思ったのだが、実際海人になり切らなくてはいけないのでそれもありだな…と感じたのだ。
ただ、スボンは脚が短いので裾を大幅に切らなくてはならなかった。
何かもったいない気がしないでもなかったが気を取り直して次の携帯ショップに足を運ぶ。
私にとって助かったのは海人が私が萩原海人になる為に国民健康保険のカードを通帳と一緒に置いてくれてた事である。それがなければ海人名義の携帯も作ることなどできなかったのだ。
最新の携帯を買い、粋な服装で別人になった私は電車に乗り、また新川直美の住む街に舞い戻った。
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