詐欺る

黒崎伸一郎

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クレープ喫茶閉店の本当の理由

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クレープ喫茶は一年半で辞めた。
辞めたというより出来なくなったという方が正解かもしれなかった。
開店して一年が経った時、一周年のパーティーをした。
夕方からのディスコパーティーである。私の店はいつも流行りのレコードを買い、その都度リクエストをしてもらいかけていた。
夕方、店をクローズにして三時間ほど店内を少し暗くして踊れるようにした。
チケット制で女性は千円、男性は二千円。
チケットは男性十枚女性も十枚だった。
女性従業員が五人の高校生はただで渡した。
もちろん儲けなどないが私の見栄であった。
パーティーは九時半に終わり片付けて志保とホテルに行って、その後車で家まで送った。
志保は私が友達と関係を持っていたのは話で聞いていた。
それを私に話したが私は何も答えなかった。
我ながら汚い男である。
それ以来私との関係を断った。
卒業してバイトを辞めたという事もあったがなんとなく連絡もして来なくなった。
(当たり前だな)と思い、新しい彼女を探した。
それはすぐに見つかった。
新しいバイトの元同級生でブティックで働いていた由美という女性だった。
年は十九で彼氏はいないと言った。
美人ではなくそこまで好みではなかったが、私も今は誰とも付き合っていなかったので付き合うことにした。
だが由美はなんと二股をかけていたのだ。
ブティックは男性物の店でそこの店長と付き合っていたのだった。
店長は妻子持ちでいわば不倫であった。不倫をどうのこうの言える私ではないがやはり悔しい。
店長は私よりも十以上年上で、しかも話を聞くとその人の方に気があるらしい。
私は自分のことは棚に置き、ふざけるなと思ったが、仕方ないことだと別れることにした。
それを告げて送っていく車でタクシーに運転していた自分の車をぶつけてしまったのだ。
しかも間が悪いことに、ちょうど保険が切れているのも気づかない時にである。
私は結局六百万円の請求を受け親に払ってもらったのだ。
悪いのはまだ続く。
ディスコをやっていたことが教育委員会に知られて高校生を飲ませたということで店は営業停止。
私は青少年育成条例で書類送検挙、句の果てテレビにもそれが放映されて結局店は閉店したのだった。
それから私は地元にいづらくなり他の街で仕事についたのだった。
それらは長続きはしなかった。
だが、仕事をしている時に知り合った女性と付き合うことになりやがて子供を持つことになる。
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