詐欺る

黒崎伸一郎

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一村との確執

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一村からの電話は、大阪で入院させるメンバーを何人か見つけて保険をかけたので入院の前に一度大阪に足を運んで欲しいとのことだった。
私は、前もって連絡をくれたら時間をあけておくと約束をした。
一村はこうも言った。
私の病院で入院させたメンバーの一人が飛んだので、もし私に連絡があったら教えて欲しいとの電話であった。
飛ぶとは逃げるとの意味である。
(やはり飛んだか)と思った。
一村はメンバーには六十日間入院しても殆ど金は渡さない。
どこかに逃げるからである。
もちろんその前に貸しているから渡さないのだろうが、少しは渡して息を入れささないから逃げるのだ。
ある程度好い目をさせてやらないと、この詐欺は成り立たないのである。
今までこのやり方でやってきたので変えるつもりはないだろうが、私はそんなやり方はできないし、しようとも思わない。
一村と一緒に詐欺をする事で私は自分の首を締めることになるのだった。
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