詐欺る

黒崎伸一郎

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直美の交通事故

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浩司が再逮捕され起訴になったことで警察は他の余罪がないかを徹底的に調べ出した。
私もやはり任意での取り調べがあった。浩司とどんな関係かどこで知り合ったかなど聞かれたので浩司に言っていた通りに病院で知り合って電話番号を交換して仲良くなったと話した。
起訴の前も一度同じ質問を受けた。
どこか違う箇所があればここぞと思い突いてくるので、一言一句言った事を間違わないように話したのだった。
警察での任意の取調べは昼前から夕方過ぎまで続いた。
取り調べがようやく終わってマンションに帰ったら直美はまだ帰っていなかった。
そう言えば明後日は直美の二十歳の誕生日だ。
私は何をプレゼントするかを考えた。
(直美は何を欲しがっていただろうか?)そんな事を考えていたが夜の七時になってもまだ帰ってこない。
私は不安になり携帯を取り出し直美に連絡した。
五回目のコールで携帯がつながった。「直美、何かあったのか?」と言いかけた時に携帯の向こうから直美とは違う声で「新川直美さんの親族の方ですか?
直美さんが交通事故で今、病院に搬送されています。すぐにきて下さい」

私はいったい何があったのかが分からなくなり、とにかくタクシーに乗り病院に向かった。
(大した事でなければいいが……)と願ってタクシーから降り病院に入りすぐに「新川ですけど」と看護婦に告げ直美の病室に向かった。
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