詐欺るシリーズ「身体を許さない女」

黒崎伸一郎

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デュークは丹念にターゲットを選んだ。
まずは場所選びが一番重要な事項だった。
今回詐欺をするのは志保にしてみれば五年以上ご無沙汰だったが、デュークは五年の間で三度の地面師としての仕事をしていた。
金額的には三億から五億円の土地の価格が大半だった。
地面師詐欺は何人かで仕事をする。
一人ではできる詐欺ではない。
首謀者がいて参謀が一人から三人はいる。
或いはそれ以上の人数を使うこともある。
それを首謀者が手配師になることもあった。
誰が何をどの様にしていくのかを決めるのが手配師だ。
デュークはパープルのママに志保を据えた後で先ずは時間をかけて凛を信用させた。
それと同時に上客の中から志保に好意を持っていて、しかも金を自由に使える人物をターゲットにするつもりだった。
当初デュークは一年程度で動くつもりでいた。
だがなかなかいい土地が見つけることができなかった。
それで行動に移すのが半年以上遅れた。
本来ならば塩松建設の塩松にターゲットとしての狙いを付けたのだが、ちょうどその時に窪田が客として現れた。
志保はデュークにターゲットの変更を促した。
何故なら塩松よりも窪田の方が落としやすいと瞬時に判断したのだ。
どちらも金は持っていた。
だが自由に使える金が圧倒的に窪田の方があった。
離婚をしていて自分と一緒になりたがっていたのもわかっていた。
全て窪田の方がターゲットとしての価値が上である事は明白だった。
そこでデュークと志保は窪田をターゲットにする事に決めた。
二年でママとしての契約が切れるので出来るだけ早めに行動を起こす必要があったが、クラブの売り上げがデュークの思ったより遥かに良かったので焦ることはいらなかった。
デュークの得た情報で塩松が利益をだしたことが、ターゲットの窪田のハートに火をつけたのも好材料だった。
窪田はまさか銀座のママたるものが詐欺のメンバーであるなどと、1ミリたりとも思ってはいなかった。
それにどうしても一度は絡み合いたい、出来れば一緒になりたいとまで思えた女性である。
当然といえば当然のことかもしれなかった。

デュークは今回土地の所有者斉藤大作について調べ上げた。
1946年2月18日生まれの戌年。
子供はいなく五年前に女房を亡くしてから、一人暮らしで近くに親戚はいない。
近所付き合いはあまりなく、先日から老人ホームに入る事を調べ上げた。
その事を知る人は周りにはほとんどいない。
後は斉藤大作のダミーを用意すればよかった。
デュークは斎藤と同じくらいの年と背格好の男を探した。
ある程度話のできる人物が必要だった。
最終的に二名に絞り、最後は学生時代演劇部だったという小坂部という七十代前半の男を選んだ。
小坂部は五十代までは大阪でクリーニング店を何件かやっていたがギャンブル好きでそれが元で全てを失い、離婚をして東京に知人を頼って上京した。
だが、ギャンブル癖は治る事なく、今は警備会社でその日暮らしの生活をしていた。

「干支は?」
「1946年生まれの戌年です」
デュークが不躾に質問した事に瞬時に答えた。
だがデュークは「聞かれた質問にだけ答えたらいい。
今聞いたのは、干支だ。
何年生まれかを聞いたんじゃないぞ」
デュークは聞かれてもいない事に答えた小坂部にすっぱく言い聞かせた。
出来るだけ話は簡潔に済ませるに越した事はない。
いらない事を話してしまうとボロが出る。
デュークはそれを何度も経験していたのだ。
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