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競馬編③

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話はこうだ。
競馬界では騎手は前もってレースの何日か前に騎乗の依頼があるがリーディングの上位の騎手の場合、依頼がダブる事が多々ある。
その場合、当たり前のように騎手は勝つ可能性の高い馬を選ぶ。
その馬で勝負するのだ。
当然その馬は一番人気になる。
しかもダントツの人気だ。
地方競馬の人気馬は単勝1.2倍はざらで1.0倍の元返しになる事もたまにある。
それだけ普通に考えたら力が違う…と思われた。
その馬を三着以下に落とすのである。
当時三連単は愚か馬連さえもなく、枠連のみの時代だ。
故に三着以下にさえ落とせば確実に高配当になるのだ。
その馬が出るなら…と出走を躊躇う馬主もいたので多頭数にはならない事が多い。
しかも福山競馬である。
多くとも8頭、少ないときは6頭くらいのレースになるのでその馬さえ買わなければ全通り買っても勝てる仕組みであった。
ただし、何度もそんなことをすれば必ずやばれてしまう。
そこでA は月に一度だけイカサマをする事に決めたのだった。
一度で百万円程度の利益を出した。
一レースの売り上げが数百万円の競馬場である。
それが目一杯のイカサマの収入だ。
その利益を2人で分けていたのだ。
競馬は馬が走る。
もちろんその馬を操縦するのが騎手である。
強い馬に乗ってその馬の力を100%出し切れば必ずや連対はする。
イカサマのやり方は色々あるだろうが、Aはスタートで出遅れる事…が一番イカサマをやり易いのだと言い切った。
4コーナーで膨れるのもやり方次第ではあり…とも言っていたが、力が上なのだからそこから盛り返して一着になる可能性もある。
そこでスタートで大きく出遅れるようにして馬の行く気を失わせるやり方が良いのだと得意げに話した。
話をしながらAは私にだけ話すのだ…と少し我に帰ったように小声になった。
実はAは私に麻雀が強くなる方法を聞いてきたのだ。
イカサマだけでも生活はできる筈なのだが、このやり方がいつまでも続くとは思ってはいない…とも言っていた。
現実にそれから一年も経たないうちにその騎手はイカサマ疑惑で槍玉にあげられ後に永久追放的な形で競馬界を去っている。
もちろんAも調べを受けて実刑判決を下されたのだ。
何故そのイカサマがわかったのか?
実はその騎手のイカサマ騎乗はAとの時だけでなかったのだ。
当時、地方の騎手はリーディングだろうと年収1000万円くらいだ。
経費コミコミでの年収故、実質その半分くらいの年収だったのだ。
何度もそういったことをすれば必ずバレてしまうのは時間の問題だった。
案の定、垂れ込みもあり福山競馬の存続まで危ぶまれたのであった。
一時は続行されたのだが、他のいろいろな問題も重なってついには廃止に追い込まれたのだ。
話は長くなったが、地方競馬ではそういったイカサマの噂は絶えない。
現在でも実際にあるかないかは分からないが、私的には中央競馬でやり方を駆使して回収率を100%以上を目指す方が良いと思っている。
ではどのようにして回収率を100%以上にしていくのか…?
何十年もかけて何百回と負け続けた私はとある方法を編み出したのである。

どんな方法か…?
それはギャンブルの種類によって賭け方を変える事だった。


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