罪人(つみびと)

黒崎伸一郎

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シャバ

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自分勝手な考えしかできない私であったが、私にとって長い長い三ヶ月間となった。
留置所で二週間、拘置所でまるまる三ヶ月が経とうとしていた時に遂に結審の日が来た。
弁護人は「安心はしないでくださいよ…」と私に告げていた。
執行猶予ではなく実刑の可能性もあるかも知れないと言うことだった。
金の弁済もした。
騙した男性からの嘆願書も貰っている。
だが、弁護士事務所のハンコを偽造して金を騙し取った事実は否定できない。
裁判官が悪質だと判断した場合は実刑になるかもしれなかった。
朝起きてから裁判所に輸送される。
裁判所に入ると法廷室に入っていく。
傍聴には家族も来ているだろうが、目をそちらに持っていく勇気がない。
下を向いたまま被告人が着席位置に座る椅子に座った。
しばらくして裁判官が入ってくる。
私は席を立ち裁判官に敬礼をした。
この裁判が最後である事は前回の裁判で知らされていた。
「では判決を言い渡します。
被告人は前に出てください」
裁判官の言葉に私は席を立ち、判決を聞いた。
何も考えることなど出来ない。
ただその判決を聞くのみである。
私は直立不動になり眼を伏せた。
「判決。
被告人を四年半の刑に処す…
ただし、その刑の執行を六年と処す!」
私は四年半の刑に処す、と言われてから正しの言葉が発せられるまでの間、固唾を飲んだ状態であった。
わずか一秒から二秒の間が、ものすごく長く感じだのだ。
裁判官が判決を述べられた瞬間、私は思わず手を目頭に当てた。
涙が出たわけではない。
瞬間的にそういった行動になってしまったのだ。
裁判官が退廷した後で両親が私のそばに来て手を握ってきた。
すまない。
本当に迷惑ばかりかけてごめんなさい…と心から二人に詫びた。
私の顔を見ながら頷いて手を握る力はそんなに強くない。
握られた手をなかなか離さないでいた父に何度も頭を下げながらゆっくりと手を解いたのであった。

こうして私は三ヶ月以上檻の中に入った生活を続けたわけだが、それからの生活も一筋縄ではいかなかったのだ。
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