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1話 婚約者はものじゃないのだから上げる事なんてできないのよ。 分かってちょうだい。 分かってくれないなら魔法で豚にしますよ

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 「お姉様、お姉様の婚約者のテオバルトをちょうだい」
はぁっ!?婚約者をちょうだい?
そんな事できるわけないでしょう。
妹のルナリリは私の物をなんでも欲しがって奪ってきた。
妹が欲しがる物はなんでもあげないと
私が悪者のように妹に仕立て上げられ、両親にこん棒で殴られた。
 でも今度ばかりは妹に奪われるわけにはいかない。
 「だめよ。婚約者はものじゃないのだからあげる事はできないわ」
 妹はまるで意地悪を言われたような反応をする。
悲劇のヒロイン気取りでいやがりますわこのクズ。
 「嫌よ、テオバルトが欲しいったら欲しいの」
 言っても無駄なのかしら。分かって欲しいのだけれどね。
 「いくら言っても何をしても無駄よ」
 妹は泣きだして本当に自分が悲劇のヒロインになりきってやがりますわ。
誰がどうみても貴方クズの悪役じゃないの。
これでよく被害者面ができますわね。
 「お姉様がそんな意地悪言うならもういいわ。お父様お母様に頼んでなんとかしてもらうから」
 はぁぁぁぁ。困ったらなんでも人に頼る。
これが私が妹だというのは揺るぎない事実なのだから悲しくなる。
泣きたいのは私なのよ。
泣いてもなにも解決しないけど。
そんな事分かっていても泣きたくもなる。
あー、もう本当に泣いちゃおうかしら。
いいわよね。泣いても何も変わらないわよなんて言うやつがいれば殴り殺してあげますわ。
でも今は泣くより先にやる事がありますわ。
 「待ちなさい。これが本当に最後の警告よ。テオバルトを奪う事を諦める気はないのね」
 私もここでルナリリに留まって欲しい。
どれだけ人格に問題があり勉強も訓練もしてない無能なクズとはいえど、
私の実の妹なのだ。
 「ええ。諦める気はないわ。テオバルトが欲しいのよ」
 そもそもテオバルトの何がそんなにいいのかしら。
テオバルトとは愛し合ってる。
私はテオバルトの事を愛し合ってる、けれど。
テオバルトは点数で言えば、愛してる私がどれだけ贔屓目に甘く見ても62点。
客観的に見れば甘く見ても43点でしょう。
ただ私の物がなんでも欲しくて私からなんでも奪いたいだけなんでしょうね。
客観的に点数で見ればもっといい殿方はいくらでもいるでしょうから。
 「そう。最後の警告にも従わないのなら貴方に魔法をかけてブタにするわよ」
 

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