2 / 2
いっくんは難しい事を言う
しおりを挟む
「やめとけ、ひめらぎ」
気力を攻撃に移し外道の腹に剣を差し込もうとする所にいっくんの声が聞こえ手が止まる。
「そんな外道でも殺せば、戦争ふっかけられる種になるだけだ」
「でもいっくん、この外道は俺の仲間を」
「ひめらぎ、俺ももういいよ。軽く殴られただけだし」
外道に殴られたぐっちょんが言う。
「終わりだ」
殴られたぐっちょんにもいっくんにも言われると少し冷静になる。
少し冷静になると、仲間を危険な目に合わせるかもしれない行為をしていたのだと気づく。
俺の仲間は50人。仲間は一騎当選の猛者でもない。一校丸事仕切ってるやつに戦争をふっかけられたら勝てないし勝てたとしても仲間も死ぬだろう。
この外道は戦争をふっかけるための種なのかもしれない。
いっくんが言った言葉そのまんまだけど。本当にそのままそうなのかもしれない。
「ひめらぎ、こっちこいや」
いっくん怒ってるよな。仲間の誰でも分かる俺でも分かる。怒らせるような事したって分かる。
外道の処理は仲間に任せて、俺はいっくんに付いていく。
俺はいっくんに殴られた。
「感情だけで動くんじゃねぇ馬鹿。あんな雑魚一人殺して戦争ふっかけられたらどうするつもりだ」
「仲間を守るためならやるしかない。100人でも殺してやる」
俺の魂が出す答えだ。
俺はまたいっくんに殴られた。
「そうならないようにしろ。仲間も死ぬしお前は魔力寄りなのに感情で動くもんだからそんなに強くもない」
魔力寄りだけど魔力使いこなせてないのは本当だ。気力に極振りだったらよかったんだけどな。
でもそんな不満言っても仕方ないし、チートスキルで気力と魔力の変換ができるなんてチーター以外は
生まれつき決まってる気力と魔力の振り分けに合わせて戦うしかない。
魔力寄りなら魔力を使いこなし、気力寄りなら近距離勝負をするしかない。
「それとな、外道でも死ぬと誰かが悲しむかもしれないだろ」
いっくんが小声で言う。
「悲しむって、外道が自業自得で殺されて死んで、それで誰が悲しんでも悪いのは外道だ」
「それでもだ。俺は誰にも悲しんで欲しくない」
「いっくんは難しい事を言うな」
「難しい事なんて言った事ないよ」
凄く難しい。外道を殺したとして、それでなんで俺が悲しくなるんだ。
外道は全部殺してやりたいぐらいだ。
敵が死んで悲しいなんて言っていれば生きていけない。
生きたければ殺せ殺したくないなら死ね。社会が育てた倫理観が俺の中にもある。
「お前はまだそんな悲しみを味わった事がないからな。分かれって言っても、その時にならないと分からないものだろうな」
いっくんはその悲しみを知っている。つまらない抗争でいっくんのお兄さんは死んだ。
どちらが喧嘩をふっかけたとかどちらの縄張りででかい顔してたとか、そんなつまらない事から始まった抗争だった。
静かで落ち着いてて、抗争に出たがるような人ではなかったが、出ないわけには行かなかった。
弔い合戦だって言いたかったけど、まだ俺もいっくんも戦闘に参加できる年齢ではなかった。
幹部でもないいっくんのお兄さんの死はさして取り上げられる事もなく、弔い合戦と行くまでもなく終わった。
いっくんは『つまらない抗争で死ぬなんて当たり前の事だ。俺達で弔い合戦なんてできるわけもないんだ。大人しくしてろ』って言っていた。
いっくんは自分に言い聞かせていたんだろうか。俺に言っていたのか。
いっくんのお兄さんが殺されたと倫理観や理性が怒れ悲しめと俺に言う。
人間が社会で生きていく中で育っていく倫理観だ。
しかし魂や本能ではそれほど親しくなかった相手だと言う。
幼い俺でどうにかできることではないと本能が勝てない相手に恐怖感を抱かせた。
本当に悲しみを知ったのはいっくんで、俺はまだ大切な人を失う悲しみを知らないんだろう。
気力を攻撃に移し外道の腹に剣を差し込もうとする所にいっくんの声が聞こえ手が止まる。
「そんな外道でも殺せば、戦争ふっかけられる種になるだけだ」
「でもいっくん、この外道は俺の仲間を」
「ひめらぎ、俺ももういいよ。軽く殴られただけだし」
外道に殴られたぐっちょんが言う。
「終わりだ」
殴られたぐっちょんにもいっくんにも言われると少し冷静になる。
少し冷静になると、仲間を危険な目に合わせるかもしれない行為をしていたのだと気づく。
俺の仲間は50人。仲間は一騎当選の猛者でもない。一校丸事仕切ってるやつに戦争をふっかけられたら勝てないし勝てたとしても仲間も死ぬだろう。
この外道は戦争をふっかけるための種なのかもしれない。
いっくんが言った言葉そのまんまだけど。本当にそのままそうなのかもしれない。
「ひめらぎ、こっちこいや」
いっくん怒ってるよな。仲間の誰でも分かる俺でも分かる。怒らせるような事したって分かる。
外道の処理は仲間に任せて、俺はいっくんに付いていく。
俺はいっくんに殴られた。
「感情だけで動くんじゃねぇ馬鹿。あんな雑魚一人殺して戦争ふっかけられたらどうするつもりだ」
「仲間を守るためならやるしかない。100人でも殺してやる」
俺の魂が出す答えだ。
俺はまたいっくんに殴られた。
「そうならないようにしろ。仲間も死ぬしお前は魔力寄りなのに感情で動くもんだからそんなに強くもない」
魔力寄りだけど魔力使いこなせてないのは本当だ。気力に極振りだったらよかったんだけどな。
でもそんな不満言っても仕方ないし、チートスキルで気力と魔力の変換ができるなんてチーター以外は
生まれつき決まってる気力と魔力の振り分けに合わせて戦うしかない。
魔力寄りなら魔力を使いこなし、気力寄りなら近距離勝負をするしかない。
「それとな、外道でも死ぬと誰かが悲しむかもしれないだろ」
いっくんが小声で言う。
「悲しむって、外道が自業自得で殺されて死んで、それで誰が悲しんでも悪いのは外道だ」
「それでもだ。俺は誰にも悲しんで欲しくない」
「いっくんは難しい事を言うな」
「難しい事なんて言った事ないよ」
凄く難しい。外道を殺したとして、それでなんで俺が悲しくなるんだ。
外道は全部殺してやりたいぐらいだ。
敵が死んで悲しいなんて言っていれば生きていけない。
生きたければ殺せ殺したくないなら死ね。社会が育てた倫理観が俺の中にもある。
「お前はまだそんな悲しみを味わった事がないからな。分かれって言っても、その時にならないと分からないものだろうな」
いっくんはその悲しみを知っている。つまらない抗争でいっくんのお兄さんは死んだ。
どちらが喧嘩をふっかけたとかどちらの縄張りででかい顔してたとか、そんなつまらない事から始まった抗争だった。
静かで落ち着いてて、抗争に出たがるような人ではなかったが、出ないわけには行かなかった。
弔い合戦だって言いたかったけど、まだ俺もいっくんも戦闘に参加できる年齢ではなかった。
幹部でもないいっくんのお兄さんの死はさして取り上げられる事もなく、弔い合戦と行くまでもなく終わった。
いっくんは『つまらない抗争で死ぬなんて当たり前の事だ。俺達で弔い合戦なんてできるわけもないんだ。大人しくしてろ』って言っていた。
いっくんは自分に言い聞かせていたんだろうか。俺に言っていたのか。
いっくんのお兄さんが殺されたと倫理観や理性が怒れ悲しめと俺に言う。
人間が社会で生きていく中で育っていく倫理観だ。
しかし魂や本能ではそれほど親しくなかった相手だと言う。
幼い俺でどうにかできることではないと本能が勝てない相手に恐怖感を抱かせた。
本当に悲しみを知ったのはいっくんで、俺はまだ大切な人を失う悲しみを知らないんだろう。
応援ありがとうございます!
0
お気に入りに追加
3
この作品の感想を投稿する
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる