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1話 気持ち悪いのは貴方の顔ですよ。一度鏡でも見てみればどうかしら。二度と外にでたいと思えなくなるわよ

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 「ミリアデラ、お前に婚約破棄を告げてやる」
えっ!本当ですか。嬉しくて仕方ないんですが。
私はあまりの吉報に全力の笑顔をしてしまう。
 「そんな、突然婚約破棄だなんて」
 一応困ったような台詞を言ってみるが、この全力の笑顔では嘘なのは明らかよね。
馬鹿婚約者フェビルは婚約破棄を告げられた私がこんなに嬉しそうなのが気に食わないのか怒っているようだ。
でも貴方が突然なんの正統性もない婚約破棄を告げてきたのだから、
今罪を問われるのはむしろ貴方なのよ。
 「なんだその気色の悪い顔は」
 「気色悪いのは貴方の顔よ」
 あ、ずっと思ってる事言っちゃった。
 「なんだと!俺様を誰だと思っている。イマルク王国王太子フェビル・ハードキャッスルだぞ」
 そうよね。確かに貴方は王太子よね。それしか取り柄がないものね。
家柄を武器にする事は私は否定しないわ。
利用できるものを利用しないで負けた言い訳にするクズよりも家柄を武器にする家柄しか取り柄がない
クズの方が私はまだましに思うわ。
まぁどっちにしろクズなんだけれど。
 「だって貴方の顔気持ち悪いんだもの。ずっと我慢してたのよ」
 「無礼だぞ!」
 馬鹿王太子は顔を真っ赤にして怒っている。きもっ。
 「ああ、なんでこんな気持ち悪い顔の馬鹿の婚約者をしなければいけないのかしらってずっと辛かったのよ」
 「黙れ黙れ」
 馬鹿王太子は椅子の肘掛をばんばん叩いて八つ当たりしている。ださっ。
これが私の婚約者なんですかぁ?まだ婚約破棄が成立してないから
こんなみっともなく気持ちの悪い顔で馬鹿で家柄しか取り柄がないクズがまだ私の婚約者なのよね。
はぁ、泣いちゃいそう。
 「一度鏡見てみたらどうかしら。こんな顔じゃもう外に出られないって引きこもりになるわよ」
 「おい、俺様は我慢してやってるんだ。俺様の慈悲深さの底に達しないうちに謝罪しろよ」
 馬鹿王太子は足を地団駄しながら何か言っている。
まじきもい。
いい年した殿方が地団駄するなんて、こんなのが王太子ならイマルク王国は滅びるわね。
イマルク王国を守っていた聖女の私が婚約破棄されていなくなれば一か月と持たず滅びるんですがね。
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