Princess of Floria

萌乃頭巾

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フローリアの学園生活

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この学園は幼稚舎から大学まであるスーパーエリート校だ。
しかしエスカレーター式で進級できるわけではなく、学年が上がることに狭き門となっていた。
必然的に生き残ってきた生徒達は才能があるものばかりとなっていた。
特に勉強も運動もできる、家柄も性格もいい、なによりも全てを惹き付ける程の美貌を持った生徒、フローリアは全校の憧れだった。

フローリアは相変わらず中身が空っぽで何がしたいか分からないメールや、着信履歴等を眺めていた。
「ん、これは…」
それはとある男子生徒からのメールだった。
「時間がある時で構わないから、大事な話がしたい」
というシンプルな文章とそのちょうど1時間後にある着信履歴。
とりあえずフローリアは電話をかけてみることにした。
「あ、電話…あ、ありがとう…」
ワンコールで出た電話相手のその声は、いつもよりもずっと大人しいものだった。
「あ、よかった出てくれて。ごめんね、電話もメールも気づかなくて。今って時間大丈夫かな?」
「う、うん…だ、大丈夫…多分…」
「え?ごめんね、かけ直すね」
「いや!待って!大丈夫だから!待って!」
「うん?わかった」
「…」
「…」
「…」
「えっと…大事な話って…?」
しばらくお互いに無言が続いたが電話越しに大きく深呼吸をしているのが聞こえた。
「ずっと好きでした!!!!!一目惚れでした!!!!!付き合ってください!!!!!」
「ごめんなさい…私なんか、とても釣り合わないと思うから…」
「釣り合う釣り合わないなんて関係ない!それでも俺は好きなんだ!」
「あ、ありがとう…でも…」
「それにそんなこと言ったらこっちの方がよっぽど…家柄だってかなっこないし…」
「あ、その事なんだけど…」
フローリアは誰にも言わないで欲しいと念を押し、父の会社が上手くいってないことや、母とは離婚寸前なことを泣きそうな声で言った。
「そうだったんだ…教えてくれてありがとう。絶対に誰にも言わないから」
「私の方こそありがとう…。ね、だから私なんか釣り合わないでしょ…」
「そんなことない、誰だって言いたくないことや知られたくない秘密があるはずだ」
「うーん…そうなのかな…」
「じ、実は俺」
「ん?」
「マザコン、なんだ…」
「え、マザコンってあの…」
「ああ…」
「えっと…私が誰にも言いたくない事を言ったからって、それっぽいこと言って合わせなくても…」
「本当なんだ!」
と言って送られてきたのは【カズくんお誕生日おめでとう】とチョコペンで描かれたケーキを嬉しそうに頬ばっている写真だった。
「わぁ!素敵な写真ね」
「あ、ありがとう…実はこれママが作ってくれたケーキでね」
とママがどれほど素晴らしい人かをあつーく語ってくれた。
「ふふふ、本当にお母様のことが好きなのね」
「うん!ママ大好き!あとこの前ママとね…」
と、再びママについて語りだした。

後日、フローリアに告白をした生徒は学園を退学した。
原因は小学生からのからかい、中学生からの冷ややかな視線、同級生や先輩達からはその両方があった。

とある日の放課後。
部活動に勤しむ生徒が多い中、フローリアは地下室にいた。
「アナスタシアったら今回も随分と大袈裟に広めたのね」
とフローリアは冷たげに言うと
「いやいや、先輩こそー。相変わらず容赦ないですよねー。よっ!名女優!」
嬉しそうなアナスタシアの声が返ってきた。
「あら、私は別に嘘は言ってないわ。それに今回も向こうが勝手にカミングアウトしてしただけでしょ?」
「まあそうですけどー。でもこっちがそれっぽいこと言うと向こうもちゃんと返してくれるんですねー」
「そうね、それぐらい私にベタ惚れってことじゃない?」
「おお…さすが先輩…」
「で、次は誰?」

フローリアにメールをするものは星の数ほどいるが、その中に黒歴史確定のポエムや曲を送ってくるものもいる。
他にもストレス発散目的らしい女装癖や露出癖、万引きをバラされたもの「晩酌なう😊いつかフローリアちゃんとも呑みたいな~😍😍😍」という本人のキメ顔写真、「オレってタバコ吸ってるところやたら似合うねって言われるんだけどどうかな?w」と煙草を吸ってる写真を送ってくるなど馬鹿らしいものも数多くあった。
それらは全てアナスタシアによる極秘のネットワークにより全校生徒に伝わり、そうして次第に学校に居づらくなる。
なによりもこの学校はプライドが高い生徒が多く、特に告白をしてくる生徒は自信もあるものが多かった。
告白をして振られただけでも立ち直れなくなるのに、それ以上の事が知られてしまっては退学せざる得なくなることが殆どだ。
そうして大学進級への席を1つ、2つと開けるだけではなく、退学しなかった場合は、もしもの時に備えた弱みを握ることが出来た。

「全く揃いも揃って…」
フローリアは手鏡を取り出し、不満げに自分の顔を見た。
「この私の美貌に釣り合うと思ってるのかしら」
手鏡をしまい、何事も無かったのように本の続きを読み出した。
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