7 / 7
結末
しおりを挟む
「─ 英里華ちゃん」
自分の頬をつついていた香奈さんの指が止まりました。
「番号さえなければ問題ないんだよね?」
「まあ、見比べられて『偽物!』な事態は避けられると思う」
「私の500円硬貨には、番号なんか なーいーー」
「ああ」
「これから、本物と寸分違わない複製を作ってもらえば、良くない?」
香奈さんの手が、自分に向けられた英里華さんの指を握ります。
「1億円分だと…500円玉を20万枚かぁ」
「10万枚でも20万枚でも、同じ様なものじゃない」
「金属は、紙より重いんだよ?
500円硬化1枚で7gだから…20万枚だと1.4トンになる」
「この家の床、抜けちゃうねぇ」
「この際、1億円は諦めるかぁ」
英里華さんの抗議の声を阻止する様に、香奈さんは言葉発しました。
「どうせあぶく銭だし、1000万円で手を打とう」
「えー」
「2万枚なら140kgぐらいで済むし」
「─ 英里華ちゃんの体重と同じだね」
「このスレンダーな私の体重が 3桁ある様に見える?」
「ああ。99kgは超えてなかったっけ」
「…ちょっと、用を思い出した」
「うん、ごめん。冗談が過ぎました! だから、台所に 包丁を取りに行かないでぇ!!」
----------
「これの複製を お願い」
魔物の前のカップを脇に避けた英里華さん。
ちゃぶ台の上に、硬貨を1枚置きました。
「2万枚にして」
「私の500円硬貨♪」
身を乗り出すふたりの顔を、魔物は順番に見ます。
「お安い御用だが…
大して価値がなさそうな、こんな銀貨もどき……
その程度の数 複製しても、大した富にはならないのでは?」
色々と言葉を飲み込んで、香奈さんと英里華さんが声を揃えます。
「「─ 私達は、無欲なのよ。」」
自分の頬をつついていた香奈さんの指が止まりました。
「番号さえなければ問題ないんだよね?」
「まあ、見比べられて『偽物!』な事態は避けられると思う」
「私の500円硬貨には、番号なんか なーいーー」
「ああ」
「これから、本物と寸分違わない複製を作ってもらえば、良くない?」
香奈さんの手が、自分に向けられた英里華さんの指を握ります。
「1億円分だと…500円玉を20万枚かぁ」
「10万枚でも20万枚でも、同じ様なものじゃない」
「金属は、紙より重いんだよ?
500円硬化1枚で7gだから…20万枚だと1.4トンになる」
「この家の床、抜けちゃうねぇ」
「この際、1億円は諦めるかぁ」
英里華さんの抗議の声を阻止する様に、香奈さんは言葉発しました。
「どうせあぶく銭だし、1000万円で手を打とう」
「えー」
「2万枚なら140kgぐらいで済むし」
「─ 英里華ちゃんの体重と同じだね」
「このスレンダーな私の体重が 3桁ある様に見える?」
「ああ。99kgは超えてなかったっけ」
「…ちょっと、用を思い出した」
「うん、ごめん。冗談が過ぎました! だから、台所に 包丁を取りに行かないでぇ!!」
----------
「これの複製を お願い」
魔物の前のカップを脇に避けた英里華さん。
ちゃぶ台の上に、硬貨を1枚置きました。
「2万枚にして」
「私の500円硬貨♪」
身を乗り出すふたりの顔を、魔物は順番に見ます。
「お安い御用だが…
大して価値がなさそうな、こんな銀貨もどき……
その程度の数 複製しても、大した富にはならないのでは?」
色々と言葉を飲み込んで、香奈さんと英里華さんが声を揃えます。
「「─ 私達は、無欲なのよ。」」
0
この作品の感想を投稿する
あなたにおすすめの小説
冷遇妃マリアベルの監視報告書
Mag_Mel
ファンタジー
シルフィード王国に敗戦国ソラリから献上されたのは、"太陽の姫"と讃えられた妹ではなく、悪女と噂される姉、マリアベル。
第一王子の四番目の妃として迎えられた彼女は、王宮の片隅に追いやられ、嘲笑と陰湿な仕打ちに晒され続けていた。
そんな折、「王家の影」は第三王子セドリックよりマリアベルの監視業務を命じられる。年若い影が記す報告書には、ただ静かに耐え続け、死を待つかのように振舞うひとりの女の姿があった。
王位継承争いと策謀が渦巻く王宮で、冷遇妃の運命は思わぬ方向へと狂い始める――。
(小説家になろう様にも投稿しています)
妻からの手紙~18年の後悔を添えて~
Mio
ファンタジー
妻から手紙が来た。
妻が死んで18年目の今日。
息子の誕生日。
「お誕生日おめでとう、ルカ!愛してるわ。エミリア・シェラード」
息子は…17年前に死んだ。
手紙はもう一通あった。
俺はその手紙を読んで、一生分の後悔をした。
------------------------------
私が王子との結婚式の日に、妹に毒を盛られ、公衆の面前で辱められた。でも今、私は時を戻し、運命を変えに来た。
MayonakaTsuki
恋愛
王子との結婚式の日、私は最も信頼していた人物――自分の妹――に裏切られた。毒を盛られ、公開の場で辱められ、未来の王に拒絶され、私の人生は血と侮辱の中でそこで終わったかのように思えた。しかし、死が私を迎えたとき、不可能なことが起きた――私は同じ回廊で、祭壇の前で目を覚まし、あらゆる涙、嘘、そして一撃の記憶をそのまま覚えていた。今、二度目のチャンスを得た私は、ただ一つの使命を持つ――真実を突き止め、奪われたものを取り戻し、私を破滅させた者たちにその代償を払わせる。もはや、何も以前のままではない。何も許されない。
婚約破棄された令嬢が記憶を消され、それを望んだ王子は後悔することになりました
kieiku
恋愛
「では、記憶消去の魔法を執行します」
王子に婚約破棄された公爵令嬢は、王子妃教育の知識を消し去るため、10歳以降の記憶を奪われることになった。そして記憶を失い、退行した令嬢の言葉が王子を後悔に突き落とす。
願いの代償
らがまふぃん
恋愛
誰も彼もが軽視する。婚約者に家族までも。
公爵家に生まれ、王太子の婚約者となっても、誰からも認められることのないメルナーゼ・カーマイン。
唐突に思う。
どうして頑張っているのか。
どうして生きていたいのか。
もう、いいのではないだろうか。
メルナーゼが生を諦めたとき、世界の運命が決まった。
*ご都合主義です。わかりづらいなどありましたらすみません。笑って読んでくださいませ。本編15話で完結です。番外編を数話、気まぐれに投稿します。よろしくお願いいたします。
※ありがたいことにHOTランキング入りいたしました。たくさんの方の目に触れる機会に感謝です。本編は終了しましたが、番外編も投稿予定ですので、気長にお付き合いくださると嬉しいです。たくさんのお気に入り登録、しおり、エール、いいねをありがとうございます。R7.1/31
*らがまふぃん活動三周年周年記念として、R7.11/4に一話お届けいたします。楽しく活動させていただき、ありがとうございます。
【完結】あなたに知られたくなかった
ここ
ファンタジー
セレナの幸せな生活はあっという間に消え去った。新しい継母と異母妹によって。
5歳まで令嬢として生きてきたセレナは6歳の今は、小さな手足で必死に下女見習いをしている。もう自分が令嬢だということは忘れていた。
そんなセレナに起きた奇跡とは?
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる