まほう

紀之介

文字の大きさ
1 / 5

透けて見える魔法

しおりを挟む
「…ものが透けて見える魔法も、知ってる」

 水無月さんの言葉に、春人くんが興味を持ちます。

「それって…人が着ている服とかが、透けて見えたりするの?」

 水無月さんは頷きました。

「掛けて…欲しい?」

「…え?」

 話を聞いていた文月さんが、口を挟みます。

「ちょっと?」

「ん?」

「─ そんなことしたら、私たちの裸 見られちゃうじゃないの!」

「…だいじょうぶ」

「私は、大丈夫じゃな…」

 文月さんの言葉をかき消す様に、水無月さんが呪文を唱え始めました。

「み・な・づ・き!」

 文月さんの抗議の甲斐なく、魔法は完了します。

「…どう?」

 水無月さんは、春人くんに確認しました。

「─ 魔法、失敗してない?」

「何で?」

「何にも、見えないんだけど…」

「…それは、成功してる証拠」

「─ え?」

 春人くんには、訳がわかりません。

「服も透けるけど…それ以外も透けて見えるって事?」

 文月さんの問い掛けに、水無月さんが頷きます。

「…結果として、反射して目に返ってくる光がないから、何も見えない。」

 真相を知った春人くんは、水無月さんに頼みました。

「魔法、解いて欲しいんだけど…」

「…何か、奢ってくれる?」

 水無月の言葉に、文月さんが同調します。

「─ 服を透かして、私達の裸を見ようとしたんだから…まあ、当然だよね。」

 承服出来ない様子で、春人くんは沈黙しました。

 それを見て、文月さんが呟きます。

「水無月。こいつ、反省してないみたい。」

「じゃあ、このままで、構わないかも。」

 とにかく魔法を解いて欲しい春人くんは、叫びました。

「すいません!是非とも、何か奢らせて下さい!!」

 春人くんの叫びを聞いた水無月さんは、魔法を解く呪文を唱えようとします。

 それを止める様に、文月さんが片手を上げました。

「魔法を解くの…奢ってもらってからにした方が、良くない?」

「…そうかな。」

 2人のやりとりにを聞いて、春人くんは懇願します。

「絶対に! 確実に!! ご馳走させて貰いますから!!!」

 言質を取った文月さんは、満足そうに 水無月さんに囁きました。

「─ お腹も空いた事だし…魔法、解いてあげたら?」
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

妻からの手紙~18年の後悔を添えて~

Mio
ファンタジー
妻から手紙が来た。 妻が死んで18年目の今日。 息子の誕生日。 「お誕生日おめでとう、ルカ!愛してるわ。エミリア・シェラード」 息子は…17年前に死んだ。 手紙はもう一通あった。 俺はその手紙を読んで、一生分の後悔をした。 ------------------------------

〈完結〉遅効性の毒

ごろごろみかん。
ファンタジー
「結婚されても、私は傍にいます。彼が、望むなら」 悲恋に酔う彼女に私は笑った。 そんなに私の立場が欲しいなら譲ってあげる。

【完結】あなたに知られたくなかった

ここ
ファンタジー
セレナの幸せな生活はあっという間に消え去った。新しい継母と異母妹によって。 5歳まで令嬢として生きてきたセレナは6歳の今は、小さな手足で必死に下女見習いをしている。もう自分が令嬢だということは忘れていた。 そんなセレナに起きた奇跡とは?

英雄一家は国を去る【一話完結】

青緑 ネトロア
ファンタジー
婚約者との舞踏会中、火急の知らせにより領地へ帰り、3年かけて魔物大発生を収めたテレジア。3年振りに王都へ戻ったが、国の一大事から護った一家へ言い渡されたのは、テレジアの婚約破棄だった。 - - - - - - - - - - - - - ただいま後日談の加筆を計画中です。 2025/06/22

三十年後に届いた白い手紙

RyuChoukan
ファンタジー
三十年前、帝国は一人の少年を裏切り者として処刑した。 彼は最後まで、何も語らなかった。 その罪の真相を知る者は、ただ一人の女性だけだった。 戴冠舞踏会の夜。 公爵令嬢は、一通の白い手紙を手に、皇帝の前に立つ。 それは復讐でも、告発でもない。 三十年間、辺境の郵便局で待ち続けられていた、 「渡されなかった約束」のための手紙だった。 沈黙のまま命を捨てた男と、 三十年、ただ待ち続けた女。 そして、すべてを知った上で扉を開く、次の世代。 これは、 遅れて届いた手紙が、 人生と運命を静かに書き換えていく物語。

愛していました。待っていました。でもさようなら。

彩柚月
ファンタジー
魔の森を挟んだ先の大きい街に出稼ぎに行った夫。待てども待てども帰らない夫を探しに妻は魔の森に脚を踏み入れた。 やっと辿り着いた先で見たあなたは、幸せそうでした。

性別交換ノート

廣瀬純七
ファンタジー
性別を交換できるノートを手に入れた高校生の山本渚の物語

さようなら婚約者

あんど もあ
ファンタジー
アンジュは、五年間虐げられた婚約者から婚約破棄を告げられる。翌日、カバン一つを持って五年住んだ婚約者の家を去るアンジュ。一方、婚約者は…。

処理中です...