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幼馴染という言葉に何の拘束力もない
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私は幼馴染の男の子が好きだ。
いや、好きだった。
好きなった理由なんてたわいもないことで、でもそれを私は中学生の頃まで大事に持っていた。
今は高校生。
もう私にとって過去のことだ。
でも別に幼馴染としての情はまだある。
それなりに長い付き合いだから、すぐに嫌いになるとかまではいかない。
でももう好きになる事はない。
なのに今更何故か私に相手が縋ってくる。
しかも面倒な年上の幼馴染も巻き込んでくるから、正直言って鬱陶しい。
好きな気持ちが冷めたきっかけは、たまたま聞いてしまったアイツの本音。
何でか放課後の空き教室で暇を潰していたアイツとその友達の会話を、たまたま忘れ物を取りに近くを通ってしまったから。
聞くつもりはなかったけど聞こえてしまったのだから、不可抗力だ。
あんな普通に人が通るところで、そこそこの音量でしゃべっていたアイツらが悪い。
いくら放課後で人が少ないからと言って油断していたアイツらが悪い。
私だって聞きたくはなかったよ。
「そういえば、お前って藍川と幼馴染なんだよな?」
「あぁうん。」
「ならさ紹介してくれよ!」
「え、無理。」
「何でだよー俺とお前の仲だろ?」
「もしかして朝霧、お前藍川のこと好きなんじゃね?」
「は?俺が好きなのはアイツの姉貴。アイツはおまけみたいなものだけど、大事ではあるんだよ。」
「マジかよ。」
「お前ひでーやつ。」
「まぁだからお前らみたいなヤツに紹介はできねー。」
アイツの友達2人がギャハハハと笑っている横を音を出来るだけ立てずに足速に通り過ぎた。
悔しかったし悲しかった。
それが中学2年に上がってすぐの事だった。
アイツとクラスが離れててよかったと心の底から思った。
少し前から何となく思う事はあった。
中学に入ってからウチに寄る時にお姉ちゃんがいないと舌打ちをする事が増えた。
ウチでダラけるのは私の部屋じゃなくてリビングで、在宅ワークがメインのお姉ちゃんが顔を出すのを待ってる素振りが見られる様になった。
それにアイツがお姉ちゃんのさっちゃんに憧れているのは知ってた。
アイツの初恋がさっちゃんなのはわかってた。
だってずっと小さい頃からの、生まれてすぐくらいからの腐れ縁なんだ。
それでもお姉ちゃんの“おまけ”なんて思われていたのは悲しかった。
そこから少しずつアイツのとの距離を離すようにしていった。
でもまぁ向こうは帰宅部で私は文化部とは言え部活がある。
幼馴染とは言え男女の差もあるし、私だって友達を優先するのは普通だと思う。
少しずつ私も感情を整理したかったから、今までのべったり感から適度な距離が出来て良かったと思った。
なんで幼馴染の両片想い系の漫画とかって、中学でも高校でも幼馴染ばっかと連んでいるんだろう?
お互い友達を優先するものもあるけど、なかなか男女の幼馴染がずっと一緒にいるのは不自然だと感じる様になった。
あと何で相手の男がモテて彼女がいたりするのに、女の子の方は非モテか鈍感系でずっと一途に誰とも付き合わずにいるんだろう。
好きな人がいるのに誰かと付き合うなんて…という気持ちはわからなくもないけど、ちょっと理不尽だと思う。
あと幼馴染でしかないのに嫉妬して周りを牽制しまくるのも、正直言ってよくわからない。
嫉妬するのはわかる。
牽制したい気持ちもわかる。
でも彼女でもなんでもないからその資格がないと突きつけられて、でも幼馴染だからと貫くのはよくわからない。
そしてそんなキャットファイトに気づかない男にもイライラする。
お前、幼馴染を好きなんだよな?
何で他のヤツに良い顔ばっかしてんだよ。
何で彼女を見てやらないんだよ。
でも他の男には嫉妬して牽制するんだ。
私なんて幼馴染どころかお姉ちゃんのおまけだぞ?
でも私にはそんな悲しい気持ちに寄り添ってくれた大事な友達がいてくれた。
あのきっかけの会話も一緒に聞いていた、でも私の気持ちを汲んで黙って着いて来てくれた朋ちゃん。
その話を後日聞いて代わりに怒ってくれた玲ちゃん。
2人がいてくれたから何とか時間をかけて落ち着かせていった。
ちなみに私の知らないところで、お姉ちゃんにも2人はそれとなく言ってたみたいで、お姉ちゃんの目には殺気が生まれたそう。
私の前では普通だったけど。
この事はだいぶ後で知った。
私がアイツとの距離を置いてからしばらくして、お姉ちゃんの彼氏でアイツの従兄弟でもある翔君が口を突っ込んでくる様になった。
今までもあったけど、特にめんどくさくなった。
「最近、瑠偉と一緒にいない様だけど、彼氏なんだろ?ちゃんと相手してやれよ。なんなら沙月も一緒にダブルデートしようぜ?」
その当時、翔君は大学生。最近になって大手企業が内定してた人。
でも相手をちゃんと見ないからこう言った思い込みで勝手にこっちの事を決めつけてくる。
能力はハイスペックらしいけど、小さい時から少し苦手な人だった。
お姉ちゃんのさっちゃん(沙月)はそんな翔君からの押せ押せで妥協して付き合ったらしい。
特に嫌いじゃないけど、最近内定もらってから特に面倒で相手に殆どしていない。
在宅とはいえ社会人のさっちゃんは忙しいのだ。
この時はさっちゃんが余計なことすんな!と怒り狂ってくれたから、翔君は言わなくなった。
私のことに首突っ込むなら即別れるバイバイって言ったら半泣きで謝って来たらしい。
それをムービーで撮って証拠にしたさっちゃんは、普段は穏やかだけど怒らせてはいけないタイプだった。
私の両親は2年前に亡くなった。
交通事故だった。
さっちゃんが高校を卒業してたのと、実家のローンがなかったのと、両親の保険金で何とか家を守れたけれど、それでもまだ若いさっちゃんは大変だった。
妹の私にできる事は、家事を率先してやり迷惑を出来るだけかけない事だった。
さっちゃんの才能を買ってくれた人達が助けてくれたからどうにかなった。
後継人になってくれたさっちゃんの師匠はとても素敵な人だった。
私達姉妹の絆と傷が深くなったあの日々。
それでもお互いが居たからやってこれた。
アイツとその従兄弟は大して役に立たなかったけど。
慰めてはくれたけど、すでにアイツから心が離れて居たから何も響くものがなかった。
高校はアイツと違うところを目指して頑張った。
かの幼馴染君は顔も身長もまぁまぁだけど、勉強も運動も卒なくこなすタイプでそこそこモテた。
何でか中3の時に私の進路に口出して来て勝手に勉強を見る様になった。
さも自分と同じこの辺では有名な進学校を勝手に言い出した。
外面がいいから出来の悪い幼馴染の面倒を見てると思われていい迷惑だった。
こっそりと担任には私の本当の進路を伝え、さっちゃんも応援してくれた。
どちらにしろ受験勉強は必要だったから、表向き従って裏では自分のために頑張った。
入学式当日にアイツから「何で入学式にいないんだ!」ってメッセージアプリに何度も連絡が来た。
そんな私はこの春からさっちゃんと一緒に海外に住むことになった。
現地の日本人が多く住む地域の日本語学校に入って、今後の方針を立てるつもり。
もちろん親友とも言うべき2人には教えている。
2人とも寂しがってくれたけれど応援もしてくれた。有り難かった。
アイツとの勉強会で少し苦手だった英語が上達したのは嬉しい誤算だった。
アイツからは「中学は同じ小学校の奴らの目が気になったから言わなかったけれど、高校に入ったら告白して恋人になるつもりだったんだ!」と要約するとこんな感じのメッセージが長々と送られて来た。
そんなの知らんがな。
更には「他の女の子と連んでいたのは私に嫉妬して欲しかったからだ。俺の心も身体もお前だけだ。」と言われた。
だからそんなの知らんがな。
しかもそれなりに女の子とお付き合いをしてたアイツが、童貞だったとかどうでもいい。
「あっそ、どうでもいい。」
そう心の中で吐き捨てて、アイツとのやり取りは以降無視した。
未だに一方的に送られてくるメッセージは既読すらつけずに放置している。
ブロックも考えたけど、なんか逆に執着されるのも怖くて無視を決め込む。
今までそこそこモテてチヤホヤされて、私とも両片想いの時があったから、まぁ胡座をかいていたんだろう。
最初は詰問するメッセージや上からっぽいものが多かったけど、長期間の無視と自分の失言を聞かれていた事を知らされてからは、懇願系や下からのものが増えた。
それと翔君も交えてこっちに色々言ってくるようになった。
そんなの逆効果なのにね。
その翔君はさっちゃんは怒り狂ったその半年後にまた似たような事して、さっちゃんから完全に切られた。
だいぶ鬱陶しく纏わりついてきてどうしようかと悩んでいたけど、翔君のご両親が力になってくれた。
アイツも翔君もご両親はとても良い人でだいぶお世話になったから、こんなことになって心苦しいかったけれど理解してくれた。
ご両親から、警察沙汰になれば内定は取り消しは免れないだろうし、私達も家から追い出すと言われれば脛かじりの翔君に反論はできなかった。
そしてさっちゃんはこの度結婚と相なった。
お相手はさっちゃんの師匠。
さっちゃんは元々年上の頼りになる大人の人が好きだった。
苦労知らずの自意識過剰なボンボンは範疇外だったのだ。
付き纏われて渋々付き合っただけで、別れたくて仕方なかったらしい。
でも私がその従兄弟のアイツを好きだったからそこまで邪険に扱えず困っていたそうな。
うん、さっちゃんごめんね。
翔君と別れたさっちゃんは速攻で攻めた。
相手は半年で落ちた。
で、付き合って3ヶ月のスピード婚になった。
ちなみに妊娠はしていない。
さっちゃんは相手がもう少し落ちるのが遅かったら既成事実を作るしかないか…と思い悩んでいたらしい。
授かり婚が悪いわけではない。
けれど、私達は若くして両親を亡くしている。
そんな私達が倫理観や順序を守らないと世間体が悪くなる。
「これだから親のいない子は…。」と思われやすい。
相手のご両親の心象も悪くなる。
もちろん多様化が叫ばれる昨今の事情は昔とは違うらしいけど、偏見はなかなかなくならないものだ。
実際にそれに近い事は言われたことがある。
悲しいけどそれが現実だ。
私とアイツの間には、幼馴染の腐れ縁しかなかった。
それにはなんの効力も約束も存在しない。
将来を誓い合ったことも、約束もなく、何となく一緒に“いた”だけ。
恋人にでもなっていればまだ少し違っていたかもしれない。
でも私達はどこまで行っても長い付き合いの他人でしかなかった。
それに気づいて一抜けしたのは私。
ぬるま湯に浸かって好きにしていたのはアイツ。
アイツと私の間には何も生まれない。
もうその時期は過ぎ去った。
私はアイツにカケラも興味がなくなった。
最後に残ったのは長年の幼馴染の情だけ。
それもいつまで大事にできるか、それを一つの思い出として過去にするかはこれからの私次第。
自分の未来のために今は頑張るしかない。
いつか遠くからならアイツと翔君の幸せを願える未来を信じて。
いや、好きだった。
好きなった理由なんてたわいもないことで、でもそれを私は中学生の頃まで大事に持っていた。
今は高校生。
もう私にとって過去のことだ。
でも別に幼馴染としての情はまだある。
それなりに長い付き合いだから、すぐに嫌いになるとかまではいかない。
でももう好きになる事はない。
なのに今更何故か私に相手が縋ってくる。
しかも面倒な年上の幼馴染も巻き込んでくるから、正直言って鬱陶しい。
好きな気持ちが冷めたきっかけは、たまたま聞いてしまったアイツの本音。
何でか放課後の空き教室で暇を潰していたアイツとその友達の会話を、たまたま忘れ物を取りに近くを通ってしまったから。
聞くつもりはなかったけど聞こえてしまったのだから、不可抗力だ。
あんな普通に人が通るところで、そこそこの音量でしゃべっていたアイツらが悪い。
いくら放課後で人が少ないからと言って油断していたアイツらが悪い。
私だって聞きたくはなかったよ。
「そういえば、お前って藍川と幼馴染なんだよな?」
「あぁうん。」
「ならさ紹介してくれよ!」
「え、無理。」
「何でだよー俺とお前の仲だろ?」
「もしかして朝霧、お前藍川のこと好きなんじゃね?」
「は?俺が好きなのはアイツの姉貴。アイツはおまけみたいなものだけど、大事ではあるんだよ。」
「マジかよ。」
「お前ひでーやつ。」
「まぁだからお前らみたいなヤツに紹介はできねー。」
アイツの友達2人がギャハハハと笑っている横を音を出来るだけ立てずに足速に通り過ぎた。
悔しかったし悲しかった。
それが中学2年に上がってすぐの事だった。
アイツとクラスが離れててよかったと心の底から思った。
少し前から何となく思う事はあった。
中学に入ってからウチに寄る時にお姉ちゃんがいないと舌打ちをする事が増えた。
ウチでダラけるのは私の部屋じゃなくてリビングで、在宅ワークがメインのお姉ちゃんが顔を出すのを待ってる素振りが見られる様になった。
それにアイツがお姉ちゃんのさっちゃんに憧れているのは知ってた。
アイツの初恋がさっちゃんなのはわかってた。
だってずっと小さい頃からの、生まれてすぐくらいからの腐れ縁なんだ。
それでもお姉ちゃんの“おまけ”なんて思われていたのは悲しかった。
そこから少しずつアイツのとの距離を離すようにしていった。
でもまぁ向こうは帰宅部で私は文化部とは言え部活がある。
幼馴染とは言え男女の差もあるし、私だって友達を優先するのは普通だと思う。
少しずつ私も感情を整理したかったから、今までのべったり感から適度な距離が出来て良かったと思った。
なんで幼馴染の両片想い系の漫画とかって、中学でも高校でも幼馴染ばっかと連んでいるんだろう?
お互い友達を優先するものもあるけど、なかなか男女の幼馴染がずっと一緒にいるのは不自然だと感じる様になった。
あと何で相手の男がモテて彼女がいたりするのに、女の子の方は非モテか鈍感系でずっと一途に誰とも付き合わずにいるんだろう。
好きな人がいるのに誰かと付き合うなんて…という気持ちはわからなくもないけど、ちょっと理不尽だと思う。
あと幼馴染でしかないのに嫉妬して周りを牽制しまくるのも、正直言ってよくわからない。
嫉妬するのはわかる。
牽制したい気持ちもわかる。
でも彼女でもなんでもないからその資格がないと突きつけられて、でも幼馴染だからと貫くのはよくわからない。
そしてそんなキャットファイトに気づかない男にもイライラする。
お前、幼馴染を好きなんだよな?
何で他のヤツに良い顔ばっかしてんだよ。
何で彼女を見てやらないんだよ。
でも他の男には嫉妬して牽制するんだ。
私なんて幼馴染どころかお姉ちゃんのおまけだぞ?
でも私にはそんな悲しい気持ちに寄り添ってくれた大事な友達がいてくれた。
あのきっかけの会話も一緒に聞いていた、でも私の気持ちを汲んで黙って着いて来てくれた朋ちゃん。
その話を後日聞いて代わりに怒ってくれた玲ちゃん。
2人がいてくれたから何とか時間をかけて落ち着かせていった。
ちなみに私の知らないところで、お姉ちゃんにも2人はそれとなく言ってたみたいで、お姉ちゃんの目には殺気が生まれたそう。
私の前では普通だったけど。
この事はだいぶ後で知った。
私がアイツとの距離を置いてからしばらくして、お姉ちゃんの彼氏でアイツの従兄弟でもある翔君が口を突っ込んでくる様になった。
今までもあったけど、特にめんどくさくなった。
「最近、瑠偉と一緒にいない様だけど、彼氏なんだろ?ちゃんと相手してやれよ。なんなら沙月も一緒にダブルデートしようぜ?」
その当時、翔君は大学生。最近になって大手企業が内定してた人。
でも相手をちゃんと見ないからこう言った思い込みで勝手にこっちの事を決めつけてくる。
能力はハイスペックらしいけど、小さい時から少し苦手な人だった。
お姉ちゃんのさっちゃん(沙月)はそんな翔君からの押せ押せで妥協して付き合ったらしい。
特に嫌いじゃないけど、最近内定もらってから特に面倒で相手に殆どしていない。
在宅とはいえ社会人のさっちゃんは忙しいのだ。
この時はさっちゃんが余計なことすんな!と怒り狂ってくれたから、翔君は言わなくなった。
私のことに首突っ込むなら即別れるバイバイって言ったら半泣きで謝って来たらしい。
それをムービーで撮って証拠にしたさっちゃんは、普段は穏やかだけど怒らせてはいけないタイプだった。
私の両親は2年前に亡くなった。
交通事故だった。
さっちゃんが高校を卒業してたのと、実家のローンがなかったのと、両親の保険金で何とか家を守れたけれど、それでもまだ若いさっちゃんは大変だった。
妹の私にできる事は、家事を率先してやり迷惑を出来るだけかけない事だった。
さっちゃんの才能を買ってくれた人達が助けてくれたからどうにかなった。
後継人になってくれたさっちゃんの師匠はとても素敵な人だった。
私達姉妹の絆と傷が深くなったあの日々。
それでもお互いが居たからやってこれた。
アイツとその従兄弟は大して役に立たなかったけど。
慰めてはくれたけど、すでにアイツから心が離れて居たから何も響くものがなかった。
高校はアイツと違うところを目指して頑張った。
かの幼馴染君は顔も身長もまぁまぁだけど、勉強も運動も卒なくこなすタイプでそこそこモテた。
何でか中3の時に私の進路に口出して来て勝手に勉強を見る様になった。
さも自分と同じこの辺では有名な進学校を勝手に言い出した。
外面がいいから出来の悪い幼馴染の面倒を見てると思われていい迷惑だった。
こっそりと担任には私の本当の進路を伝え、さっちゃんも応援してくれた。
どちらにしろ受験勉強は必要だったから、表向き従って裏では自分のために頑張った。
入学式当日にアイツから「何で入学式にいないんだ!」ってメッセージアプリに何度も連絡が来た。
そんな私はこの春からさっちゃんと一緒に海外に住むことになった。
現地の日本人が多く住む地域の日本語学校に入って、今後の方針を立てるつもり。
もちろん親友とも言うべき2人には教えている。
2人とも寂しがってくれたけれど応援もしてくれた。有り難かった。
アイツとの勉強会で少し苦手だった英語が上達したのは嬉しい誤算だった。
アイツからは「中学は同じ小学校の奴らの目が気になったから言わなかったけれど、高校に入ったら告白して恋人になるつもりだったんだ!」と要約するとこんな感じのメッセージが長々と送られて来た。
そんなの知らんがな。
更には「他の女の子と連んでいたのは私に嫉妬して欲しかったからだ。俺の心も身体もお前だけだ。」と言われた。
だからそんなの知らんがな。
しかもそれなりに女の子とお付き合いをしてたアイツが、童貞だったとかどうでもいい。
「あっそ、どうでもいい。」
そう心の中で吐き捨てて、アイツとのやり取りは以降無視した。
未だに一方的に送られてくるメッセージは既読すらつけずに放置している。
ブロックも考えたけど、なんか逆に執着されるのも怖くて無視を決め込む。
今までそこそこモテてチヤホヤされて、私とも両片想いの時があったから、まぁ胡座をかいていたんだろう。
最初は詰問するメッセージや上からっぽいものが多かったけど、長期間の無視と自分の失言を聞かれていた事を知らされてからは、懇願系や下からのものが増えた。
それと翔君も交えてこっちに色々言ってくるようになった。
そんなの逆効果なのにね。
その翔君はさっちゃんは怒り狂ったその半年後にまた似たような事して、さっちゃんから完全に切られた。
だいぶ鬱陶しく纏わりついてきてどうしようかと悩んでいたけど、翔君のご両親が力になってくれた。
アイツも翔君もご両親はとても良い人でだいぶお世話になったから、こんなことになって心苦しいかったけれど理解してくれた。
ご両親から、警察沙汰になれば内定は取り消しは免れないだろうし、私達も家から追い出すと言われれば脛かじりの翔君に反論はできなかった。
そしてさっちゃんはこの度結婚と相なった。
お相手はさっちゃんの師匠。
さっちゃんは元々年上の頼りになる大人の人が好きだった。
苦労知らずの自意識過剰なボンボンは範疇外だったのだ。
付き纏われて渋々付き合っただけで、別れたくて仕方なかったらしい。
でも私がその従兄弟のアイツを好きだったからそこまで邪険に扱えず困っていたそうな。
うん、さっちゃんごめんね。
翔君と別れたさっちゃんは速攻で攻めた。
相手は半年で落ちた。
で、付き合って3ヶ月のスピード婚になった。
ちなみに妊娠はしていない。
さっちゃんは相手がもう少し落ちるのが遅かったら既成事実を作るしかないか…と思い悩んでいたらしい。
授かり婚が悪いわけではない。
けれど、私達は若くして両親を亡くしている。
そんな私達が倫理観や順序を守らないと世間体が悪くなる。
「これだから親のいない子は…。」と思われやすい。
相手のご両親の心象も悪くなる。
もちろん多様化が叫ばれる昨今の事情は昔とは違うらしいけど、偏見はなかなかなくならないものだ。
実際にそれに近い事は言われたことがある。
悲しいけどそれが現実だ。
私とアイツの間には、幼馴染の腐れ縁しかなかった。
それにはなんの効力も約束も存在しない。
将来を誓い合ったことも、約束もなく、何となく一緒に“いた”だけ。
恋人にでもなっていればまだ少し違っていたかもしれない。
でも私達はどこまで行っても長い付き合いの他人でしかなかった。
それに気づいて一抜けしたのは私。
ぬるま湯に浸かって好きにしていたのはアイツ。
アイツと私の間には何も生まれない。
もうその時期は過ぎ去った。
私はアイツにカケラも興味がなくなった。
最後に残ったのは長年の幼馴染の情だけ。
それもいつまで大事にできるか、それを一つの思い出として過去にするかはこれからの私次第。
自分の未来のために今は頑張るしかない。
いつか遠くからならアイツと翔君の幸せを願える未来を信じて。
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