素直になれなくて-吉哉の場合-

吉野ゆき

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結婚生活

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今日の俺の休みは、忙しくて新婚旅行にも行く暇がないからせめてと会社からもらったものだ。

明日からまた通常の仕事に戻れば、一緒に出かけられる暇なんてそうそうない。


「最初だし、量が多くなるだろう?」

俺はどうにか一緒に買い物に行きたい一心で粘った。


なのに、

「大丈夫です」

なんて強く言われてしまった。


え?何?
そんなに俺と買い物に行くのが嫌なのか?

落ち込みすぎてまたため息が出る。




「世間体が悪いだろう」


とっさに口をついて出てしまった。

俺、なんてことを…。



「わかりました」

と呟いた真由の声はとても冷ややかで。


なんでいつもこうなる?
俺達の溝は広がっていくばかりだ。

やっぱり、片方の想いだけじゃダメなのか。


チラリと横を見ると、明らかに不機嫌な真由が映った―。




真由を雑貨屋に降ろし、店内で別れた。

俺が見ていると買い物しづらいだろうし、それに今はお互い気まずい状態だったから。


でも、俺の足は自然と真由の後を追う。

一定の距離を保ちながら。


それはまるで俺達の心を表しているみたいだった。

追いかけて、でも距離は縮まらない、縮められない。


何やってんだ、俺。
結婚してまでストーカーなんて。


しばらくすると、真由の足がピタリと止まった。

俺もその視線の先を追う。


そこにあったのは、クローバーが描かれたシンプルなペアのマグカップ。

でもそれは真由の持っていたカゴには入ることはなかった。


欲しかったんじゃないのか?
それとも、誰か他の奴と使いたくて…?


ペアだというところが心にひっかかる。

結婚したところで、真由の心には誰がいるかなんてわからない。

真っ先に浮かんだのは数年前に真由の家で会った、真由の彼氏だった男。

その残像を追い出すように頭を振る。


俺は真由がその場を離れた隙に、そのマグカップを手に取りレジへと急いだ。


コレを使うのは俺だ。


いつか真由と使える日を夢見て、クローゼットの奥にしまいこんだ。
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