素直になれなくて-吉哉の場合-

吉野ゆき

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番外編-3

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「それが…がんばってがんばってやっと会社が軌道に乗って、これからだってときに、気がついたら吉哉とは埋まらないほど深い溝ができていたよ。

いつだったかな。
吉哉が家を飛び出して遅くまで帰ってこないことがあった。
やっとで帰ってきた吉哉を、父親として抱きしめてあげなければいけないこの手で…叩いた。
『有原家の後継者がそんなことでどうする』
そんな最低な文句までつけて。

その後で吉田さんに説教されたよ。
それでも父親かって。
吉哉の出て行った理由も聞いた。
その瞬間、身体の中をスウッと冷たいものが通った。

全然気がつかなかった。
吉哉がどんな目にあっていたのか。
いや、気づこうともしていなかった。

俺はなんてことを…。
今さら気づいても遅かった。

『吉哉…』
私が謝ろうと声をかけると、吉哉は話す事も諦めたような、冷めた瞳でこちらを見てた。

私が気づかなかっただけで、きっともうずっと前からそんな瞳で見られてたんだろうな。
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