素直になれなくて-吉哉の場合-

吉野ゆき

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決意

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数時間後、二人は手を繋いでうちへ来た。

どうやらうまくまとまったらしい。


「すまん!!!」

大倉は必死に謝って最後は土下座までしていた。

まぁ、当然といえば当然だな。

本気で再起不能かと思ったし。
鈴原と結ばれたのだって俺のおかげだし。


ちょっと意地悪をして黙っていたら、今度はキッチンから包丁を取り出してきた。

「有原、ほんっと~にスマン!!
切腹で許してくれ!!!」

そう言って刃を自分に向けている。

「はあ!?」

せっかく両想いになれたのに切腹してどうする!!

「わかった、わかったから!」

俺は慌てて大倉から包丁をもぎ取る。

「許してくれるのか!?」

目を輝かせながら聞いてくる。

まったく、こいつのすることは
どこまで冗談なのかわからない。


「よかった。
じゃあ次はお前の番だな」

大倉はそう言うと、いつものヘラヘラ顔に戻った。


次…ねぇ。

ハハッと曖昧に笑っていると、また大倉が口を開いた。


「なぁ、俺ずっと思ってたんだけど、お前ってほんとに真由ちゃんに会う気あんの?」


あまりにも当たり前すぎる質問に、逆に言葉に詰まった。


「…なんで?」

なんでそんな分かりきってること聞くんだ?


「いや、だって本当に会おうと思えばいつでも…例えば今にでも、どうにでもできるのにと思って」
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