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「言っとくけど、お礼なんか言わないから」
そっけない態度の私に
「そんなのいいよ」
と笑いかける。
「とにかく無事でよかった」
って。
「こんなことされたってアンタを好きにはならないよ」「バカじゃない?」
私が何を言っても彼はただ嬉しそうにうんうんと頷くだけだ。
調子が狂う。
助けてやったのにその態度はなんだって怒ってくれればいいのに。
もうお前なんか知らないって捨ててくれればいい。
そうしないと、その笑顔を信じてしまいそうで…怖いんだ。
「なんで助けたんだよ…」
もうやめてくれ。
心がかき乱される。
「え?」
「もう少しであの子のところへ行けたんだ!
アンタが私を助けさえしなければ…!」
パンッ
最後まで言う前にビンタが飛んできた。
「何すんだよっ」
反撃しようと顔を上げると、さっきまで笑っていた顔が怒りで歪み、私を打った手が震えてた。
「なんてこと言うんだ!
君の子がそんなことを聞いたら悲しむぞ!!」
「なんでアンタにそんなことがわかんだよ!」
「わかるさ!!君を想う気持ちは同じだからわかるんだよ!
だから、お願いだから…、
そんなこと言わないでくれ…」
いい大人なのに、瞳に涙を浮かべ、その大きな肩は震えている。
「なんだよ、えらそうに」
瞳から大粒の涙が零れ落ちる。
「ご、ごめん。痛かった?叩くことなかった。ごめん!泣かないで」
自分だって泣いてるくせに。
私の涙に慌ててひたすら謝る佐々木さん。
バカだな。
殴り合いの経験なんて腐るほどあんのに、アンタのビンタなんて効くかよ。
結人…。
私は目を閉じて心の中で結人を思い描く。
『目を背けないでちゃんとその人を見れば、本当のことが見えるから』
うん、そうだね。
私は静かに目を開いた。
そっけない態度の私に
「そんなのいいよ」
と笑いかける。
「とにかく無事でよかった」
って。
「こんなことされたってアンタを好きにはならないよ」「バカじゃない?」
私が何を言っても彼はただ嬉しそうにうんうんと頷くだけだ。
調子が狂う。
助けてやったのにその態度はなんだって怒ってくれればいいのに。
もうお前なんか知らないって捨ててくれればいい。
そうしないと、その笑顔を信じてしまいそうで…怖いんだ。
「なんで助けたんだよ…」
もうやめてくれ。
心がかき乱される。
「え?」
「もう少しであの子のところへ行けたんだ!
アンタが私を助けさえしなければ…!」
パンッ
最後まで言う前にビンタが飛んできた。
「何すんだよっ」
反撃しようと顔を上げると、さっきまで笑っていた顔が怒りで歪み、私を打った手が震えてた。
「なんてこと言うんだ!
君の子がそんなことを聞いたら悲しむぞ!!」
「なんでアンタにそんなことがわかんだよ!」
「わかるさ!!君を想う気持ちは同じだからわかるんだよ!
だから、お願いだから…、
そんなこと言わないでくれ…」
いい大人なのに、瞳に涙を浮かべ、その大きな肩は震えている。
「なんだよ、えらそうに」
瞳から大粒の涙が零れ落ちる。
「ご、ごめん。痛かった?叩くことなかった。ごめん!泣かないで」
自分だって泣いてるくせに。
私の涙に慌ててひたすら謝る佐々木さん。
バカだな。
殴り合いの経験なんて腐るほどあんのに、アンタのビンタなんて効くかよ。
結人…。
私は目を閉じて心の中で結人を思い描く。
『目を背けないでちゃんとその人を見れば、本当のことが見えるから』
うん、そうだね。
私は静かに目を開いた。
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