肝試し

吉野ゆき

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異変

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「ぜってーこうなると思った」

将生が時計を見ながらため息をついた。

時計は2時を10分過ぎたところを指している。

「まぁ、もう少ししたら来るだろ」

ルーズな弘樹に時間通りの将生、そして早め行動の俺。
1番に来ていた俺の方がため息つきたいよと思いつつ、慣れているのでいつもこんな感じだ。

少しすると走ってくる人影が見えた。

「わりぃ、遅れた!」

肩で息をしながら弘樹がやってきた。

「ったく、ホラ、行くぞ!」
「え、ちょっ、ほんの少しでいいから休ませ…」

将生は弘樹のお願いを華麗にスルーし、校内へスタスタと歩き出したので、俺もそれに倣って将生の後を歩き出した。

「~、わかったよ!行くよ!」

走ってきた弘樹が並び、俺たちは3人であらかじめ開けておいた校舎裏の窓から忍び込んだ。

「おぉ、雰囲気あるな…」

弘樹は早くも引け腰になっている。

「どっから行く?やっぱトイレか?」

将生は案外楽しそうだ。

「いきなりこえーよ!教室からにしようぜ」

「そうだね。その方が周りやすいし」

俺は弘樹の提案に乗ることにした。

わかったよ、と渋々ながら将生も頷く。


夜の学校は、毎日通い慣れた道のはずなのに、時間帯が違うだけで全く別の顔を見せる。

1-B。
俺たちの教室だ。

扉の前に立つと、弘樹が将生の腕に絡みついた。

「暑い」

将生は無情にも弘樹の手を払いのける。

「そんな殺生なぁ~入るまで!入るまででいいから!なぁ将生ぃぃ」

弘樹の悲痛な叫びとそれを払いのける将生のじゃれあいを横目に、なぜだか俺は2人との間になんとなく見えない壁を感じて、イタズラ心が湧いてきた。


バァンッ!!


2人が扉から視線を外した瞬間、俺は思いっきり力任せに扉を開けてやった。


「「ぎゃあああぁぁ!!!」」

作戦成功。
弘樹も将生も恐怖に引きつった形相で腰を抜かしている。

「悪い悪い。ちょっとイタズラしてみた」

俺は2人を起こそうと手を差し伸べた。


「い、今…扉が勝手に…!」

弘樹は目の前の俺を無視して将生のほうを向く。

なんだよ、怒ってんのか…?

「あ、あぁ…これはマジでやべぇよ…!」

将生も俺の手を取らずに視線を彷徨わせている。

将生まで…。
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