素直になれなくて

吉野ゆき

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女の子

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えっと…。
とりあえず、ここで待っていればいいのかな?


「どうかされましたか?」

不意に後ろから声をかけられ、驚きながら振り返る。

目の前には大きなダンボールを持った、ここの会社の制服を着た女の子。


わ、なんて可愛い子だろう。

身長150cm程度でクリッとした大きい目。
厚みのある唇に血色のよい頬。
ヘタな男よりも短いショートヘアーなのに妙に色気がある。
小動物みたいで守ってあげたくなるような感じ。

ああ、私もこんな風に産まれたかったよ、神様。


そして、学校を出たばかりだろうか。
顔に幼さは残るものの、凛とした佇まいはさすが大企業の社員といったところ。



「…あの?」

その声にハッと我にかえる。
私、超不審者じゃん!


「あ、私、有原吉哉の家内の者でして、会議に使う…」

「有原専務の奥さん!?」

話の途中で、興奮したように目を輝かせながら身を乗り出してきた。

ちょ、近い近い!


「貴女が噂の!」

…噂?

へぇ~、ふぅ~んと、私をまじまじ見る姿は、さっきまでの凛とした大手企業の社員の面影はなく、年相応になっている。


「なにか…?」

その視線に堪えられなくなった私は、一歩下がって笑顔で口を開いた。
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