32 / 50
原点
しおりを挟む
吉哉さんはまだ入院が必要なものの、順調に回復していた。
毎日現れて世話をする私に、吉哉さんは最初戸惑っていたみたいだ。
やっぱりあっちも私が自分のことを嫌っていると思っていた証拠だろう。
何か必要なものはあるかと聞くと、『缶のドロップ』と答える吉哉さんには笑ってしまった。
どれだけキャンディーが好きなんだか。
こうして毎日着替えなど必要なものを運んでいると、母が入院していたときのことを思い出す。
吉哉さんと出逢った、あのときのこと。
私、いつから吉哉さんのこと好きになってたのかな。
あの頃は本当に余裕がなかった。
何に対しても、イライラしてカツカツしてた。
父も母も誰も悪くない。
わかってる。
でも、じゃあどうしてこうなるの?
正しいこと、善い行いをした結果がコレだ。
世の中理不尽すぎる。
母の着替えを抱えながら病室を目指した。
また泣かれるのだろうか?
そうしたら宥めなきゃ。
本当は行きたくない。
心配していないわけじゃない。
でも仕事詰めで疲れている今の私に、他の人を思いやる余裕なんてない。
全部投げ出せたらどんなに楽だろう。
それも出来ずに結局心にもないことを吐き出すんだ。
「お母さん泣かないで。
なんにも心配ないから」
お母さん、最低な娘でごめんなさい。
ねぇ、私はうまく笑えてる―?
毎日現れて世話をする私に、吉哉さんは最初戸惑っていたみたいだ。
やっぱりあっちも私が自分のことを嫌っていると思っていた証拠だろう。
何か必要なものはあるかと聞くと、『缶のドロップ』と答える吉哉さんには笑ってしまった。
どれだけキャンディーが好きなんだか。
こうして毎日着替えなど必要なものを運んでいると、母が入院していたときのことを思い出す。
吉哉さんと出逢った、あのときのこと。
私、いつから吉哉さんのこと好きになってたのかな。
あの頃は本当に余裕がなかった。
何に対しても、イライラしてカツカツしてた。
父も母も誰も悪くない。
わかってる。
でも、じゃあどうしてこうなるの?
正しいこと、善い行いをした結果がコレだ。
世の中理不尽すぎる。
母の着替えを抱えながら病室を目指した。
また泣かれるのだろうか?
そうしたら宥めなきゃ。
本当は行きたくない。
心配していないわけじゃない。
でも仕事詰めで疲れている今の私に、他の人を思いやる余裕なんてない。
全部投げ出せたらどんなに楽だろう。
それも出来ずに結局心にもないことを吐き出すんだ。
「お母さん泣かないで。
なんにも心配ないから」
お母さん、最低な娘でごめんなさい。
ねぇ、私はうまく笑えてる―?
0
あなたにおすすめの小説
あるフィギュアスケーターの性事情
蔵屋
恋愛
この小説はフィクションです。
しかし、そのようなことが現実にあったかもしれません。
何故ならどんな人間も、悪魔や邪神や悪神に憑依された偽善者なのですから。
この物語は浅岡結衣(16才)とそのコーチ(25才)の恋の物語。
そのコーチの名前は高木文哉(25才)という。
この物語はフィクションです。
実在の人物、団体等とは、一切関係がありません。
私が王子との結婚式の日に、妹に毒を盛られ、公衆の面前で辱められた。でも今、私は時を戻し、運命を変えに来た。
MayonakaTsuki
恋愛
王子との結婚式の日、私は最も信頼していた人物――自分の妹――に裏切られた。毒を盛られ、公開の場で辱められ、未来の王に拒絶され、私の人生は血と侮辱の中でそこで終わったかのように思えた。しかし、死が私を迎えたとき、不可能なことが起きた――私は同じ回廊で、祭壇の前で目を覚まし、あらゆる涙、嘘、そして一撃の記憶をそのまま覚えていた。今、二度目のチャンスを得た私は、ただ一つの使命を持つ――真実を突き止め、奪われたものを取り戻し、私を破滅させた者たちにその代償を払わせる。もはや、何も以前のままではない。何も許されない。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
屈辱と愛情
守 秀斗
恋愛
最近、夫の態度がおかしいと思っている妻の名和志穂。25才。仕事で疲れているのかとそっとしておいたのだが、一か月もベッドで抱いてくれない。思い切って、夫に聞いてみると意外な事を言われてしまうのだが……。
靴屋の娘と三人のお兄様
こじまき
恋愛
靴屋の看板娘だったデイジーは、母親の再婚によってホークボロー伯爵令嬢になった。ホークボロー伯爵家の三兄弟、長男でいかにも堅物な軍人のアレン、次男でほとんど喋らない魔法使いのイーライ、三男でチャラい画家のカラバスはいずれ劣らぬキラッキラのイケメン揃い。平民出身のにわか伯爵令嬢とお兄様たちとのひとつ屋根の下生活。何も起こらないはずがない!?
※小説家になろうにも投稿しています。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる