素直になれなくて

大丈夫

「もし、慰謝料とか取られることになっても、俺達がなんとかするから！
真由にも心から幸せになってほしい」


なんとかって…できないくせに。
でも、嬉しかった。
私を気遣う言葉が。

なんの不自由もなく暮らせるようにと思ったのに、罪悪感でいっぱいだったんだな。
ごめんね。


「ありがとう。
でも私…吉哉さんが好きなの。
好きだから…
壊れちゃうかもしれないんだけど」


父は？マークを頭に浮かべていたが、母は感づいたらしい。


「好きなら気持ち伝えないと何も始まらないよ！
ダメだったら戻っておいで！！
真由の部屋とってあるから！！」

「お母さんに励まされるってなんか変なカンジ…」

いつも逆だったのに。

そうだねと、私達は顔を見合わせて笑う。


お父さん、お母さん


ありがとう


こんなに膨れ上がった気持ちは、もう隠せない。



伝えられずに相手がいなくなるかもしれない現実。

その恐さを知ったから。





私、素直になるよ―――