素直になれなくて

吉野ゆき

文字の大きさ
上 下
45 / 50

告白

しおりを挟む
退院の日。

先生方に挨拶をし、2人で家に向かう。

タクシーの中で、私の心臓はドキドキしっぱなしだった。

今日こそ言うって決めたから。


家につくと

「たった数日なのになんだか懐かしいな…」

と吉哉さんが零す。



吉哉さんも事故に遭ってからなんだか変わった気がする。

前はこんな感傷に浸るようなことなんてなかった。
あっても、表になんか出さなかっただろう。


退院の日。

先生方に挨拶をし、2人で家に向かう。

タクシーの中で、私の心臓はドキドキしっぱなしだった。

今日こそ言うって決めたから。


家につくと

「たった数日なのになんだか懐かしいな…」

と吉哉さんが零す。



吉哉さんも事故に遭ってからなんだか変わった気がする。

前はこんな感傷に浸るようなことなんてなかった。
あっても、表になんか出さなかっただろう。


「何?」

吉哉さんはくるりと振り返って私を見る。


あれ?なんか機嫌悪くなってる?


「あの、えっと…」

しどろもどろになりながらなんとか話そうとする。
でも返ってくるのは冷たい言葉。


「何もないなら行くけど」

吉哉さんは扉の方へ向き直す。


「待って!大事な…話が…」


吉哉さんはこっちを見ないまま、大きなため息をはいて言った。




「聞きたくない」
しおりを挟む

処理中です...