同級生のお兄ちゃん

若草なぎ

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柏木マオの場合

side:柏木マオ プレゼント①

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期末テストが終わり、私はお兄ちゃんへのプレゼントを買いに出掛けた。

明日は、お兄ちゃんの誕生日だ。

プレゼント……何がいいんだろう………

ネットも色々見たし、雑誌も色々読んだけど何も思い付かなかった。

もう、お店に直接行って探す…!

と思い、朝から出かけたものの……

そもそも男子にプレゼントなんて買ったことがない!

少し焦りを感じながらウィンドウショッピングをしていた。

ふと、目に留まった商品は万年カレンダーだった。

モノトーンカラーでシンプル目のデザイン。

サイズも大き過ぎない。

勉強机に置くとするならば、とても丁度良さそうだった。

サンプルを手に取る。

これにしよう。

正直、喜んでくれるかはわからないけど。

最悪、要らなかったらお母様とか妹ちゃんとかに渡してくれればいいかな…

そう思い、レジに向かった。

会計を終え、ラッピング待ち。

買ったのはいいけど、渡し方を考えていなかった事に気づく。

誕生日おめでとう、いやいや、なんか恥ずかしい。

そして、またみんなに誤解を与えてしまうかもしれない。

お礼…そ、そうだ。

CDを貸してもらったお礼として渡せば変じゃないかも。

「柏木様、お待たせ致しました」

ラッピングが終わったようだ。

お兄ちゃんへのプレゼントを受け取り家に帰った。

お兄ちゃんから借りたCDを取り出し、音楽をかけた。

ショパンはやっぱりすごい。

タイトルを聞くだけで、どの曲か思い浮かぶ。

タイトルがわからない人でも、聞けば「知ってる!」となる曲ばかりだ。

ワルツは好きだが、ノクターンもとても好きだ。

でも、一番良かった曲は『雨だれ』かな。

雨音が聞こえてくるような、それでいて色々な気持ちが詰まっているような、

そんな曲に聴こえた。

買ってきたプレゼントを鞄に入れる。

明日、ちゃんと渡せますように…

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