【完結】悪役に転生した俺、推しに愛を伝えたら(体を)溺愛されるようになりました。

神代シン

文字の大きさ
17 / 62

第17話「三大欲求を取り戻したい」



「私はお前達が私を裏切るようなことはしないと思っている」


 レイは一言そう呟くなり、ミケは背後から「食後の紅茶です」と、それぞれの前に紅茶を置いた。その紅茶も「飲むな」と下げる。


 俺の態度が気に入らないマゼンダは舌打ちをしながら、


「……本当にソウルを許すおつもりで?」


 レイに質問をする。まるで『これまでソウルにされたことを忘れたわけではないだろうな』という目をレイに向けている。レイはナプキンで口を拭き、「もちろん、許しはしない」と一言だけ返事をした。


 ソウルになってしまった以上、ソウルの罪を一緒に背負う覚悟を決めたのは俺だ。今さらビビるな。誠心誠意謝り続けなきゃいけない。それが俺の罪だ。


 一刻一刻と時間が過ぎる中、食事を終えた俺とレイは王室へと戻った。


 また、この部屋にレイと二人きりになってしまった。
 レイの部屋は俺が元いたシャドウ国の部屋とは違い色々な物が揃えられている。レイの部屋より奥の部屋は書庫になっているようで、難しそうな分厚い本が数えきれないほどずらりと本棚に敷き詰められていた。


 マジマジと見つめる俺にレイは、「興味があるなら読んでみればいい」と、入ることを許可してくれた。


「レイ、読書好きなのか?」

「好きというわけでもないが、暇つぶしにはちょうどいい」

「そうか。俺も読んでみる。後でどの本が面白いか教えてくれ。それと、食事の材料なんだが、どこに売っているんだ?」

「凝った材料を使いたいならポルニア国より南にあるアクアニア国には評判がいいと言われている材料が揃っているから食事の材料などはそこで買うといい。馬車を操縦する御者にも伝えておく。行くなら私も一緒に行こう」


 ……一緒に。

「ふ、二人で?」

 平常心を装いながら聞いてみると、レイは「ああ」と頷いた。


 二人ってことはデートということだ。
 やばい、デートだ。レイとデートができる。

「い、今から行こう!」


 浮かれながら誘う。レイは俺を呆然を見つめていた。


「今から?」

「だってレイに味あるものを食わせたいし!」


 「何を食っても同じだろう」と、あまり乗り気ではないレイは「アクアニア国に着くには半日かかる。私も色々と仕事が溜まっているし、今からは無理だ。一週間後にしよう」と、都合が良い日にちを俺に提案してきた。


「一週間後って……それまで何も食わねぇのはキツイ」


 さすがに一週間も食わなかったらストレスでどうにかなりそうだ。けれど、レイには俺の意は伝わらずに「一週間くらい我慢して食え」と指摘をされた。レイが言った通り、俺は一週間、ミケの味なし食事で我慢をしたが、当然慣れることはなかった。


 味なし食事で我慢をし、一週間、レイと一緒にポルニア城の中を見て回ったり、色々と知ることができた。だが、俺が廊下を歩くたびにすれ違う周囲の目にも慣れることはなく、怯えられつづけてしまった。






 一週間後、「待たせたな。アクアニア国へ行くとしよう」と、レイが俺に声を掛けてくれた。待ちに待った今日、この日をどれだけ待っていたことか。一週間、ポルニア国でレイと過ごしてみて、俺がレイを見る目も随分と変わった。ゲーム内ではにこにこ爽やか青年という感じで笑っているレイが当たり前のような感じだったけれど、今はツンデレ具合が強いレイが可愛くて仕方がない。


 ツンデレが強すぎて時々ダークに見えてしまうけれど、そんなレイの方が共感持てる。


「レイ、大丈夫だ。値切って材料をふんだんに仕入れてきてやる」

 はりきる俺にレイは「ハア」と息を吐いた。

「買いすぎて食材が腐ったらどうするんだ。けれど、買い物なんてもうずいぶんと行ってないな」


 どことなく嬉しそうなレイに懲りずに質問を投げかける。


「そうなのか?」

「ああ。ここの食事は全てミケの能力で生み出してるからな。特別出かける必要もない」


 ……それは知らなかった。
 と、同時に豪華な食事の割に味がない理由も理解できた。


「……そっか。何も知らないで味がねぇとか、不味いとか言って悪かった。俺、絶対美味いもん食わせて、レイの性欲を引き出すから」


 そう言うとレイはまた呆れた顔をして俺から目を逸らした。


「……性欲取り戻したらミケの魅力にも気づくのかもな」


 ボソッと聞こえないように呟いたつもりだったけれど、レイは「何を馬鹿なことを言っている。私はミケには興味ない。早く出かける準備をしろ。私はいつでも出れると言っているだろう」と、俺の頬をペチンと軽く叩いた。



 『ミケには興味ない』なんて言われたら、頑張ったらいけるんじゃないかって期待してしまう。

感想 2

あなたにおすすめの小説

辺境の酒場で育った少年が、美貌の伯爵にとろけるほど愛されるまで

月ノ江リオ
BL
◆ウィリアム邸でのひだまり家族な子育て編 始動。不器用な父と、懐いた子どもと愛される十五歳の青年と……な第二部追加◆断章は残酷描写があるので、ご注意ください◆ 辺境の酒場で育った十三歳の少年ノアは、八歳年上の若き伯爵ユリウスに見初められ肌を重ねる。 けれど、それは一時の戯れに過ぎなかった。 孤独を抱えた伯爵は女性関係において奔放でありながら、幼い息子を育てる父でもあった。 年齢差、身分差、そして心の距離。 不安定だった二人の関係は年月を経て、やがて蜜月へと移り変わり、交差していく想いは複雑な運命の糸をも巻き込んでいく。

普段「はい」しか言わない僕は、そばに人がいると怖いのに、元マスターが迫ってきて弄ばれている

迷路を跳ぶ狐
BL
全105話*六月十一日に完結する予定です。 読んでいただき、エールやお気に入り、しおりなど、ありがとうございました(*≧∀≦*)  魔法の名手が生み出した失敗作と言われていた僕の処分は、ある日突然決まった。これから捨てられる城に置き去りにされるらしい。  ずっと前から廃棄処分は決まっていたし、殺されるかと思っていたのに、そうならなかったのはよかったんだけど、なぜか僕を嫌っていたはずのマスターまでその城に残っている。  それだけならよかったんだけど、ずっとついてくる。たまにちょっと怖い。  それだけならよかったんだけど、なんだか距離が近い気がする。  勘弁してほしい。  僕は、この人と話すのが、ものすごく怖いんだ。

生まれ変わったら知ってるモブだった

マロン
BL
僕はとある田舎に小さな領地を持つ貧乏男爵の3男として生まれた。 貧乏だけど一応貴族で本来なら王都の学園へ進学するんだけど、とある理由で進学していない。 毎日領民のお仕事のお手伝いをして平民の困り事を聞いて回るのが僕のしごとだ。 この日も牧場のお手伝いに向かっていたんだ。 その時そばに立っていた大きな樹に雷が落ちた。ビックリして転んで頭を打った。 その瞬間に思い出したんだ。 僕の前世のことを・・・この世界は僕の奥さんが描いてたBL漫画の世界でモーブル・テスカはその中に出てきたモブだったということを。

竜帝陛下の愛が重すぎて身代わりの落ちこぼれ薬師は今日も腰が砕けそうです 〜呪いを解いたら一生離さないと宣言されました〜

レイ
BL
「死ぬ覚悟はできています。でも、その前に……お口、あーんしてください」 魔力を持たない「無能」として実家で虐げられていた薬師のエリアン。 彼に下されたのは、触れるものすべてを焼き尽くす「死の竜帝」ヴァレリウスへの、身代わりの婚姻だった。

大学一軍イケメンにいちご狩りに誘われた陰キャの俺、なぜかいちごじゃなくて俺が喰われたんだが(?)

子犬一 はぁて
BL
大学一軍イケメン×大学九軍陰キャ 喰われるなんて聞いてないんだが(?) 俺はただ、 いちご狩りに誘われただけだが。 なのに── 誘ってきた大学一軍イケメンの海皇(21)に なぜか俺が捕まって食われる展開に? ちょっと待てい。 意味がわからないんだが! いちご狩りから始まる ケンカップルいちゃらぶBL ※大人描写のある話はタイトルに『※』あり

伝説のS級おじさん、俺の「匂い」がないと発狂して国を滅ぼすらしいい

マンスーン
BL
ギルドの事務職員・三上薫は、ある日、ギルドロビーで発作を起こしかけていた英雄ガルド・ベルンシュタインから抱きしめられ、首筋を猛烈に吸引。「見つけた……俺の酸素……!」と叫び、離れなくなってしまう。 最強おじさん(変態)×ギルドの事務職員(平凡) 世界観が現代日本、異世界ごちゃ混ぜ設定になっております。

監獄にて〜断罪されて投獄された先で運命の出会い!?

爺誤
BL
気づいたら美女な妹とともに監獄行きを宣告されていた俺。どうも力の強い魔法使いらしいんだけど、魔法を封じられたと同時に記憶や自我な一部を失った模様だ。封じられているにもかかわらず使えた魔法で、なんとか妹は逃したものの、俺は離島の監獄送りに。いちおう貴族扱いで独房に入れられていたけれど、綺麗どころのない監獄で俺に目をつけた男がいた。仕方ない、妹に似ているなら俺も絶世の美形なのだろうから(鏡が見たい)