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第六章 三つ巴
第七十矢 首実検
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勝ち鬨を上げた後、俺たちは戦後の処理を始めた。
戦後の処理とは主に二つ。
味方の兵の安否確認、そして戦後の処理において特に重要な作業である首実検である。
首実検。それは、配下の将が討ち取った敵将の首や捕らえた敵将を大将が確認するという作業だ。これをすることによって、活躍した家臣たちに与える恩賞の取り分を決める。
俺たちはさっそく首実検をする用意をする。
(でも毎回のこととはいえ、人の首をマジマジと見るのはなー…)
俺はそう嫌々に思う。
戦は生きていく以上仕方がないと割り切っているが、首実検は元・現代人の感覚としてあまり気分のいいものではなかった。
だからといってやらないわけにはいかないので、準備が整ったところで俺はさっそく首実検を始めた。
一人の兵が自身が討ち取った首を小さな首台の上に乗せ、捕虜にした敵兵の証言や討ち取られた当人が所有していた兜などでその首の身元を確認する。誰の首であるかが判明したら、
「この首は織田家臣・堀場忠親でございまする。」
と吉田氏好が誰の首であるかを読み上げる。
そうやって、一人一人誰が誰の首を討ち取ったのかを確認していった。
その作業を終えると、次は捕らえた敵将らの身元確認へと移る。
捕らえた敵将の中には、岡部親綱が一騎討ちの末に捕らえた前田利昌や由比正信が捕らえた謎の男もいた。
捕らえた敵将も同じように確認していく。
「この者は前田利昌にござりまする。」
「おお…前田といえば、織田の重臣ではないか…」
周囲から感嘆の声が聞こえる。
俺も親綱を褒め称えた。
「さすが岡部くん。今川屈指の猛将だね。」
「はっ、ありがたきお言葉にございます。」
利昌と確認した後、俺は敵将らの身元確認を再開する。そうして身元確認は順調に進んでいった。
しかしその中に織田信広の名はない。
(取り逃がしちゃったかな…)
時が経つに連れて、俺の心中は不安が大きくなっていく。
そして、ついに最後の敵将の身元確認を開始した。すると、氏好が言葉を詰まらせた。
「この者はっ…!」
「ん?どうしたの?」
俺がそんな氏好に気づいて聞くと、氏好は珍しく興奮気味に答えた。
「殿、この者は織田信広にござりまする!」
「え?信広ってあの?」
「はい、織田信秀の子の信広にございまする!」
氏好がそう再度言うと、俺は思わず床机椅子から立ち上がった。そして、じわじわと喜びがこみ上げてきた。
「よかったぁ~。これで人質交換ができる。」
俺は信広を捕らえた正信を褒めちぎった。
「由比くんお手柄!さすが今川が誇る武士だね。」
「はっ、ありがたきお言葉にございまする!」
正信は手柄を立てることができたことと殿にものすごく褒められたということで嬉しさを隠せず、嬉しそうに頭を下げた。
一通りの作業を全て終えて、ずっと座りっぱなしで疲れたので俺は背伸びをした。
その時に俺はポツリとつぶやいた。
「本当はこの勢いのまま尾張国を攻めたいところだけど、そうはいかないんだよなー」
少し間を置いて氏好は答えた。
「…一向一揆にござりますか。」
「うん、さすがに城一つを落とすことができる勢力が三河国内にいるのは放置しとけないでしょ。」
俺がそう言うと、氏好はうなずいた。
「確かに今は織田よりも一刻も早く三河の争乱を治めた方がよろしいと思われまする。」
「じゃ、そんなわけで一向一揆討伐へ行きましょっか。」
こうして、今川・松平軍は多少の兵を安祥城に残して玄海がいる岡崎へと進軍するのだった。
一方場所は変わり、南信濃に位置する木曽谷。
そこでは、武田と木曽・斎藤の両軍による激しい戦闘が行われていた。
戦後の処理とは主に二つ。
味方の兵の安否確認、そして戦後の処理において特に重要な作業である首実検である。
首実検。それは、配下の将が討ち取った敵将の首や捕らえた敵将を大将が確認するという作業だ。これをすることによって、活躍した家臣たちに与える恩賞の取り分を決める。
俺たちはさっそく首実検をする用意をする。
(でも毎回のこととはいえ、人の首をマジマジと見るのはなー…)
俺はそう嫌々に思う。
戦は生きていく以上仕方がないと割り切っているが、首実検は元・現代人の感覚としてあまり気分のいいものではなかった。
だからといってやらないわけにはいかないので、準備が整ったところで俺はさっそく首実検を始めた。
一人の兵が自身が討ち取った首を小さな首台の上に乗せ、捕虜にした敵兵の証言や討ち取られた当人が所有していた兜などでその首の身元を確認する。誰の首であるかが判明したら、
「この首は織田家臣・堀場忠親でございまする。」
と吉田氏好が誰の首であるかを読み上げる。
そうやって、一人一人誰が誰の首を討ち取ったのかを確認していった。
その作業を終えると、次は捕らえた敵将らの身元確認へと移る。
捕らえた敵将の中には、岡部親綱が一騎討ちの末に捕らえた前田利昌や由比正信が捕らえた謎の男もいた。
捕らえた敵将も同じように確認していく。
「この者は前田利昌にござりまする。」
「おお…前田といえば、織田の重臣ではないか…」
周囲から感嘆の声が聞こえる。
俺も親綱を褒め称えた。
「さすが岡部くん。今川屈指の猛将だね。」
「はっ、ありがたきお言葉にございます。」
利昌と確認した後、俺は敵将らの身元確認を再開する。そうして身元確認は順調に進んでいった。
しかしその中に織田信広の名はない。
(取り逃がしちゃったかな…)
時が経つに連れて、俺の心中は不安が大きくなっていく。
そして、ついに最後の敵将の身元確認を開始した。すると、氏好が言葉を詰まらせた。
「この者はっ…!」
「ん?どうしたの?」
俺がそんな氏好に気づいて聞くと、氏好は珍しく興奮気味に答えた。
「殿、この者は織田信広にござりまする!」
「え?信広ってあの?」
「はい、織田信秀の子の信広にございまする!」
氏好がそう再度言うと、俺は思わず床机椅子から立ち上がった。そして、じわじわと喜びがこみ上げてきた。
「よかったぁ~。これで人質交換ができる。」
俺は信広を捕らえた正信を褒めちぎった。
「由比くんお手柄!さすが今川が誇る武士だね。」
「はっ、ありがたきお言葉にございまする!」
正信は手柄を立てることができたことと殿にものすごく褒められたということで嬉しさを隠せず、嬉しそうに頭を下げた。
一通りの作業を全て終えて、ずっと座りっぱなしで疲れたので俺は背伸びをした。
その時に俺はポツリとつぶやいた。
「本当はこの勢いのまま尾張国を攻めたいところだけど、そうはいかないんだよなー」
少し間を置いて氏好は答えた。
「…一向一揆にござりますか。」
「うん、さすがに城一つを落とすことができる勢力が三河国内にいるのは放置しとけないでしょ。」
俺がそう言うと、氏好はうなずいた。
「確かに今は織田よりも一刻も早く三河の争乱を治めた方がよろしいと思われまする。」
「じゃ、そんなわけで一向一揆討伐へ行きましょっか。」
こうして、今川・松平軍は多少の兵を安祥城に残して玄海がいる岡崎へと進軍するのだった。
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