85 / 107
第七章 栄耀栄華
第七十九矢 今川仮名目録
しおりを挟む
清水の港町の視察から数日後、俺はさっそく法律の追加について崇孚と相談していた。
「やっぱり商人の統制を強化しようと思うんだよね。」
「拙僧も賛成だ。一向一揆の件もあるしの。」
俺の考えに崇孚もうなずく。
崇孚はさらに話を進めた。
「となれば、今川仮名目録を補訂せねばならんな。」
「そうだね。」
今川仮名目録とは、俺の父親の今川氏親が制定した分国法である。
商人について、この今川仮名目録には他国の商人が今川領で商売することは禁止されていたが、今川領内で新たに商売をしようとする人々については規定がなかった。
「じゃあ、ひとまず今いる商人はいいとして、今後参入してくる新規さんたちの処遇を決めよっか。」
俺がそう言うと、崇孚は即座に答えた。
「新たに商いをする者は認めんでよいだろう。」
「えぇーそれはちょっと厳しくない?」
「だが、このまま増え続け統制が取れなくなるのは困るのではないか?」
「まあ、それは確かにそうだけど。」
俺は崇孚の意見に納得した後、少し考え込んで決断を下した。
「んー…じゃ、商人の新規参入は禁止ってことにしようかな。ついでに何か他にある?」
すると、崇孚が提案した。
「これを機に、幕府から完全に独立するのはどうであろう。」
「独立?」
「うぬ。」
俺がそう聞き返すと、崇孚が自身の発言の意図について説明し始めた。
「此度の一向一揆、幕府による守護不入さえなければ、未然に奴らの蜂起を防げたかもしれぬ。」
守護不入。
それは例え罪人の追跡や徴税のためであったとしても、守護は寺院などに入ってはいけないという決まりである。
これにより、守護不入が認められた寺院は治外法権となっていた。
「二度とあのような無益な戦を行わぬためにも、幕府と手を切り守護不入を撤廃せばならぬと思うておるのだ。」
「まあねー、てゆうか俺たちすでに寺に侵入しちゃってるわけだしね。」
俺は玄海の寺の制圧時のことを思い出して、崇孚の意見に同調する。
崇孚はさらに話を続けた。
「それに、幕府の権威はもはや地に堕ちておる。血縁関係はあれど、これ以上落ちぶれた幕府に付き合う義理はないであろう。」
「そうだね。」
俺は崇孚の意見を聞き終えて、守護不入の撤廃を条例に加えることにした。
また、俺が崇孚の意見を聞いて思いついたことを崇孚に話した。
「あとさ、寺をある程度俺たちが管理するってのはどうかな?」
「名案じゃ。」
「でしょ。それで……………」
そんなこんなで俺たちは一日中、あれこれと追加する条例について話し合った。
話し合いをしている時の二人の表情は、とても生き生きとしていた。
そして、最終的に今川仮名目録に二十一の条例を追加することが決まった。
これが後の世でいう、仮名目録追加二十一条と呼ばれる法になるのである。
「やっぱり商人の統制を強化しようと思うんだよね。」
「拙僧も賛成だ。一向一揆の件もあるしの。」
俺の考えに崇孚もうなずく。
崇孚はさらに話を進めた。
「となれば、今川仮名目録を補訂せねばならんな。」
「そうだね。」
今川仮名目録とは、俺の父親の今川氏親が制定した分国法である。
商人について、この今川仮名目録には他国の商人が今川領で商売することは禁止されていたが、今川領内で新たに商売をしようとする人々については規定がなかった。
「じゃあ、ひとまず今いる商人はいいとして、今後参入してくる新規さんたちの処遇を決めよっか。」
俺がそう言うと、崇孚は即座に答えた。
「新たに商いをする者は認めんでよいだろう。」
「えぇーそれはちょっと厳しくない?」
「だが、このまま増え続け統制が取れなくなるのは困るのではないか?」
「まあ、それは確かにそうだけど。」
俺は崇孚の意見に納得した後、少し考え込んで決断を下した。
「んー…じゃ、商人の新規参入は禁止ってことにしようかな。ついでに何か他にある?」
すると、崇孚が提案した。
「これを機に、幕府から完全に独立するのはどうであろう。」
「独立?」
「うぬ。」
俺がそう聞き返すと、崇孚が自身の発言の意図について説明し始めた。
「此度の一向一揆、幕府による守護不入さえなければ、未然に奴らの蜂起を防げたかもしれぬ。」
守護不入。
それは例え罪人の追跡や徴税のためであったとしても、守護は寺院などに入ってはいけないという決まりである。
これにより、守護不入が認められた寺院は治外法権となっていた。
「二度とあのような無益な戦を行わぬためにも、幕府と手を切り守護不入を撤廃せばならぬと思うておるのだ。」
「まあねー、てゆうか俺たちすでに寺に侵入しちゃってるわけだしね。」
俺は玄海の寺の制圧時のことを思い出して、崇孚の意見に同調する。
崇孚はさらに話を続けた。
「それに、幕府の権威はもはや地に堕ちておる。血縁関係はあれど、これ以上落ちぶれた幕府に付き合う義理はないであろう。」
「そうだね。」
俺は崇孚の意見を聞き終えて、守護不入の撤廃を条例に加えることにした。
また、俺が崇孚の意見を聞いて思いついたことを崇孚に話した。
「あとさ、寺をある程度俺たちが管理するってのはどうかな?」
「名案じゃ。」
「でしょ。それで……………」
そんなこんなで俺たちは一日中、あれこれと追加する条例について話し合った。
話し合いをしている時の二人の表情は、とても生き生きとしていた。
そして、最終的に今川仮名目録に二十一の条例を追加することが決まった。
これが後の世でいう、仮名目録追加二十一条と呼ばれる法になるのである。
0
あなたにおすすめの小説
四代目 豊臣秀勝
克全
歴史・時代
アルファポリス第5回歴史時代小説大賞参加作です。
読者賞を狙っていますので、アルファポリスで投票とお気に入り登録してくださると助かります。
史実で三木城合戦前後で夭折した木下与一郎が生き延びた。
秀吉の最年長の甥であり、秀長の嫡男・与一郎が生き延びた豊臣家が辿る歴史はどう言うモノになるのか。
小牧長久手で秀吉は勝てるのか?
朝日姫は徳川家康の嫁ぐのか?
朝鮮征伐は行われるのか?
秀頼は生まれるのか。
秀次が後継者に指名され切腹させられるのか?
百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。
17歳男子高生と32歳主婦の境界線
MisakiNonagase
恋愛
32歳主婦のカレンはインスタグラムで20歳大学生の晴人と知り合う。親密な関係となった3度目のデートのときに、晴人が実は17歳の高校2年生だと知る。
カレンと晴人はその後、どうなる?
日本新世紀ー日本の変革から星間連合の中の地球へー
黄昏人
SF
現在の日本、ある地方大学の大学院生のPCが化けた!
あらゆる質問に出してくるとんでもなくスマートで完璧な答え。この化けたPC“マドンナ”を使って、彼、誠司は核融合発電、超バッテリーとモーターによるあらゆるエンジンの電動化への変換、重力エンジン・レールガンの開発・実用化などを通じて日本の経済・政治状況及び国際的な立場を変革していく。
さらに、こうしたさまざまな変革を通じて、日本が主導する地球防衛軍は、巨大な星間帝国の侵略を跳ね返すことに成功する。その結果、地球人類はその星間帝国の圧政にあえいでいた多数の歴史ある星間国家の指導的立場になっていくことになる。
この中で、自らの進化の必要性を悟った人類は、地球連邦を成立させ、知能の向上、他星系への植民を含む地球人類全体の経済の底上げと格差の是正を進める。
さらには、マドンナと誠司を擁する地球連邦は、銀河全体の生物に迫る危機の解明、撃退法の構築、撃退を主導し、銀河のなかに確固たる地位を築いていくことになる。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
プール終わり、自分のバッグにクラスメイトのパンツが入っていたらどうする?
九拾七
青春
プールの授業が午前中のときは水着を着こんでいく。
で、パンツを持っていくのを忘れる。
というのはよくある笑い話。
熟女愛好家ユウスケの青春(熟女漁り)
MisakiNonagase
恋愛
高校まで勉強一筋で大学デビューをしたユウスケは家庭教師の教え子の母親と不倫交際するが、彼にとって彼女とが初の男女交際。そこでユウスケは自分が熟女好きだと自覚する。それからユウスケは戦略と実戦を重ねて、清潔感と聞き上手を武器にたくさんの熟女と付き合うことになるストーリーです。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる