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しおりを挟むその後、龍崎と早乙女は私を部屋へと案内してくれた。
龍崎が部屋の入り口で声を出した。
「恵美様、こちらがお嬢様のお部屋でございます。一応必要と思われるものは用意致しましたが、足りないものがございましたら、私どもにお申し付けください。」
私は気になっていたことを、二人に尋ねた。
「あ…あの…この部屋は、恵お嬢様がお使いだった部屋ですか?」
すると、今度は早乙女が話し始めた。
「いいえ。恵様の部屋は奥様がそのままにするように…とのことですので鍵を掛けてそのままになっております。」
「鍵がかかっているということは、入ることは無理ですね…」
「はい。申し訳ございません。」
私は、恵お嬢様のことを知りたかったのだ。
同じ顔であっても別の人生を送って来た姉妹だ。
もう叶わない望みだが、恵美お嬢様に会いたかった。
早乙女は私の気持ちを落ち着かせようとしたのだろう。
優しい笑顔を向けて話し始めた。
「恵美様、そろそろお腹が空きませんか?いろいろな事でお疲れと思いますので、お部屋に昼食をお持ち致しましょうか?」
気づけば、もう12時をとっくに過ぎており、お腹も空いていた。
空腹を意識した途端に、お腹はグーグーと音を出し始めた。
「早乙女さん、昼食お願いできますか?」
「はい。畏まりました。それと…私達に敬語も“さん”も不要です。龍崎、早乙女とお呼びください。」
早乙女は一度、微笑を浮べると、深くお辞儀をして昼食の用意のため部屋を出た。
残った龍崎はクローゼットから淡いブルーのワンピースを取り出し、私に見せた。
「恵美様、学校の制服のままですので、お着替えをしましょう。こちらのワンピースでよろしいでしょうか?」
「あっ…はい。そうします。」
考えてみたら学校に行く途中だったため、制服を着ている。
私のために洋服も用意されていたのだ。
サイズも見たところあっている様に思う。
「それでは、失礼いたします。」
龍崎は返事を聞くと、いきなり私の制服の釦を外し始めた。
「--------------り----りゅう龍崎さん!何をされているのですか!!」
「もちろん、お着替えをさせて頂いておりますが…何か問題でも?」
龍崎はクスッと笑いながら少し意地悪な表情をしたように見えた。
「も---も---問題----あり---ありです。自分で着替えますから!!」
「困りましたね…お着替えは私達の仕事ですので…ご自分でなさらないでください。」
「--------うっ!嘘ですよね!!」
龍崎は騒ぐ私を気にせず、少し強引に制服を脱がし始めた。
かなり手慣れた感じで、あっという間に下着だけにされていた。
「恵美様、とても綺麗なお肌ですね…チュッ」
「-------ひゃぁ!」
龍崎が突然、肩に口づけをしたので驚きで、変な声が出てしまった。
何が起きているのだろうか。
もう顔が熱くて爆発しそうだ。
「恵美様、如何なさいましたか?」
龍崎はクスッと笑いながら、何もなかったように着替えを続けた。
龍崎は私の着替えを済ませると、何事もなかったように静かに部屋を出た。
(…なに…あの人達…私はこれからどうなってしまうのだろう…)
一人になり落ち着くと、今度は不安と寂しさが押し寄せてくる。
今思えば、朝の両親の態度は納得できる。
この家に連れて来られることを、知っていたのだろう。
(…家に帰りたい…でも、あの家は私の家では無かった…)
(…優しいお父さんもお母さんも…本当の両親じゃなかった…)
(…こんな事…知りたくなかった…)
いろいろと考えているうちに、ますます不安がいっぱいになる。
涙で前が見えなくなってくる。
「そうだ、高校はどうなるのだろう?ここから通うのかな?」
私は思わず独り言を言っていた。
何もかもが分からない状況だ。
私は高校三年生になったばかりだ、大学受験も控えている。
いろいろと聞きたいことが頭の中をぐるぐると回るばかりだ。
暫くすると、部屋をノックする音がした。
“トン、トン、トン”
「恵美様、ご昼食をお持ち致しました。」
早乙女が昼食を持って来てくれたようだ。
「…はい。お願いします。」
部屋に入って来た早乙女に、泣いた顔を見せたくなかった私は、俯いたまま動かずにいた。
「…恵美様?如何致しましたか?」
「な…なんでもありません。」
すると、いきなり早乙女はしゃがみ込み、私の顔を覗いた。
「…恵美様…突然このようなところに連れてこられて、無理もないですよね。」
早乙女は静かに頭を撫でてくれる。
少し不安が和らぐような気がした。
その優しさに涙がさらに流れ落ちる。
私は無意識に、早乙女に抱き着くようにして、大きな声で泣いていた。
早乙女はそんな私の頭をずっと撫でてくれていたのだ。
少し時間が経ち落ち着いてくると、自分の状況に気が付き急に恥ずかしくなった。
私は早乙女の胸から、勢いよく離れた。
「…ご…ご…ごめんなさい!」
顔から火が出るほど恥ずかしい。
そんな私に早乙女は優しく微笑んでくれる。
「恵美様、いつでも泣きたいときは私の腕の中をお貸ししますよ。」
「…い…いいえ…もう大丈夫です。」
真っ赤な私の頬に、早乙女はチュッと音を出して口づけた。
「っえ…えええ」
急なキスに私は、またしても爆発寸前だった。
しかし早乙女は、そんな私をまったく気にせずに昼食の用意を華麗な手捌きで始めた。
(…龍崎も早乙女も!!なんなの…この人たちは!…)
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