17 / 22
4-3
しおりを挟む帰りの電車の中、佳代が隣に座った。
他のみんなは遊び疲れて居眠りをしている。
「ねぇ、恵美。さっき助けてくれた人って、本当はあの二人のどちらかだよね?」
「…っえ?」
「私は恵美が嘘を言っているのが分かったよ。」
「…ごめんね、佳代…わかっていたんだね。」
佳代はニコッと笑ってくれた。
「恵美、自分に正直になった方が楽だよ。」
佳代の言いたいことは解っている。
確かにそうだ。
知らないうちに、私は自分でも気づかぬうちに龍崎と早乙女を好きになってきているようだ。
たとえ二人が人間では無くても、好きになる気持ちには関係ないはずだ。
家に着くと、早乙女が笑顔で迎えてくれた。
早乙女の顔を見ると、何故かホッとする。
「恵美様、お帰りなさいませ。海は如何でしたか?」
「…う…うん。楽しかったよ。」
早乙女が笑顔で頷いてくれると、心臓がドクンと鳴るのがわかる。
佳代と電車の中で話をしたことを思い出してしまった。
「恵美様、顔が赤いですが、大丈夫ですか?」
「だ…だ…大丈夫です。」
「お熱でもなければ良いのですが…。」
早乙女は心配そうな顔で、熱を測るため、自分の額を私の額に付けたのだった。
「…ひやっ…熱なんて…ないよ!」
思わず変な声が出てしまった。
早乙女は不思議な顔をしている。
「お疲れのようですね…お部屋でお休みください。後程、お茶をお持ちします。」
部屋に着くと、私は自分のベッドへ仰向けにダイブする。
…ボスッ!!…
そしてバタバタと足を無意識にバタ足のように動かしていた。
「恵美様、まだ海で泳ぎ足りなかったのですか?」
振り返ると、早乙女がティーポットを持ってクスクスと笑っているではないか。
「…そ…そういう訳では…ないよ!急に入ってこないでよ!」
「それは失礼致しました。」
早乙女がお茶をテーブルに置いている姿を見ながら、私は声を掛けた。
「ねぇ、早乙女と龍崎から見ると私は子供だと思うけど、ところで二人は何歳なの?」
すると早乙女は驚いたように振り返ると、大きく息を吐いた。
「お知りになりたいですか?」
「…うん。」
なぜか沈黙が続く。
少しして早乙女は片眉を上げてニヤリと笑った。
「私はもう…千年は超えたところでしょうかねぇ」
「…っはぁ?」
早乙女は悪戯な表情をする。
「この人間の姿はちょうど30歳になったくらいですが、実年齢はもう数えられませんね。」
やはり早乙女も龍崎も人間ではないという現実だ。
それにしても長生きしすぎでしょ!
0
あなたにおすすめの小説
ヤンデレ王子を闇落ちから救ったら愛執まみれの独占欲に囚われました
大江戸ウメコ
恋愛
幼い頃に精霊の祝福である未来視の力が開花し、「夫である第二王子ナハルドに殺される」という己の運命を知った伯爵令嬢ツィーラ。この悲惨な未来を変えるべく、ツィーラは彼を避けようとしたが、ひょんなことから婚約者に選ばれてしまった! ならば、ナハルドが将来闇落ちしないよう、側で彼を支えることを決意する。そんな努力の甲斐あって、ツィーラへの好意を隠さず伝えてくるほど、ナハルドとの関係は良好になった。だけど、彼の並々ならぬ執着心のすべてを、ツィーラはまだ知らなくて――
黒騎士団の娼婦
星森
恋愛
夫を亡くし、義弟に家から追い出された元男爵夫人・ヨシノ。
異邦から迷い込んだ彼女に残されたのは、幼い息子への想いと、泥にまみれた誇りだけだった。
頼るあてもなく辿り着いたのは──「気味が悪い」と忌まれる黒騎士団の屯所。
煤けた鎧、無骨な団長、そして人との距離を忘れた男たち。
誰も寄りつかぬ彼らに、ヨシノは微笑み、こう言った。
「部屋が汚すぎて眠れませんでした。私を雇ってください」
※本作はAIとの共同制作作品です。
※史実・実在団体・宗教などとは一切関係ありません。戦闘シーンがあります。
人間嫌いの狐王に、契約妻として嫁いだら溺愛が止まりません
由香
ファンタジー
人間嫌いで知られる狐族の王・玄耀に、“契約上の妻”として嫁いだ少女・紗夜。
「感情は不要。契約が終われば離縁だ」
そう告げられたはずなのに、共に暮らすうち、冷酷な王は彼女だけに甘さを隠さなくなっていく。
やがて結ばれる“番”の契約、そして王妃宣言――。
契約結婚から始まる、人外王の溺愛が止まらない和風あやかし恋愛譚。
転移先で日本語を読めるというだけで最強の男に囚われました
桜あずみ
恋愛
異世界に転移して2年。
言葉も話せなかったこの国で、必死に努力して、やっとこの世界に馴染んできた。
しかし、ただ一つ、抜けなかった癖がある。
──ふとした瞬間に、日本語でメモを取ってしまうこと。
その一行が、彼の目に留まった。
「この文字を書いたのは、あなたですか?」
美しく、完璧で、どこか現実離れした男。
日本語という未知の文字に強い関心を示した彼は、やがて、少しずつ距離を詰めてくる。
最初はただの好奇心だと思っていた。
けれど、気づけば私は彼の手の中にいた。
彼の正体も、本当の目的も知らないまま。すべてを知ったときには、もう逃げられなかった。
月の後宮~孤高の皇帝の寵姫~
真木
恋愛
新皇帝セルヴィウスが即位の日に閨に引きずり込んだのは、まだ十三歳の皇妹セシルだった。大好きだった兄皇帝の突然の行為に混乱し、心を閉ざすセシル。それから十年後、セシルの心が見えないまま、セルヴィウスはある決断をすることになるのだが……。
バッドエンド予定の悪役令嬢が溺愛ルートを選んでみたら、お兄様に愛されすぎて脇役から主役になりました
美咲アリス
恋愛
目が覚めたら公爵令嬢だった!?貴族に生まれ変わったのはいいけれど、美形兄に殺されるバッドエンドの悪役令嬢なんて絶対困る!!死にたくないなら冷酷非道な兄のヴィクトルと仲良くしなきゃいけないのにヴィクトルは氷のように冷たい男で⋯⋯。「どうしたらいいの?」果たして私の運命は?
第二章完結【強引な略奪婚】冷徹な次期帝は、婚姻間近の姫を夜ごと甘く溶かす
小木楓
恋愛
【第二章完結】第二章まででもお楽しみいただけます✨
タグ&あらすじ変更しました。
第三章執筆中 略奪された皇后を待っていたのは、冷徹な次期帝による「狂愛」という名の支配でした。
「泣け、香子。お前をこれほど乱せるのは、世界で私だけだ」
「お前はまだ誰のものでもないな? ならば、私のものだ」
大納言家の姫・香子には、心通わせる穏やかな婚約者がいた。
しかし、そのささやかな幸福は、冷徹と噂される次期帝・彰仁(あきひと)に見初められたことで一変する。
強引な勅命により略奪され、後宮という名の檻に閉じ込められた香子。
夜ごとの契りで身体を繋がれ、元婚約者への想いすら「不義」として塗り潰されていく。
恐怖に震える香子だったが、閉ざされた寝所で待っていたのは、想像を絶するほど重く、激しい寵愛で……?
「痛くはしない。……お前が私のことしか考えられなくなるまで、何度でも教え込もう」
逃げ場のない愛に心が絡め取られていく中、彰仁は香子を守るため、「ある残酷な嘘」を用いて彼女を試す。
それは、愛するがゆえに彼女を嫉妬と絶望で壊し、「帝なしでは息もできない」状態へ作り変えるための、狂気じみた遊戯だった。
「一生、私の腕の中で溺れていろ」
守るために壊し、愛するために縛る。
冷酷な仮面の下に隠された、
一途で異常な執着を知った時、香子の心もまた甘い猛毒に溶かされていく――。
★最後は極上のハッピーエンドです。
※AI画像を使用しています。
《完結》「パパはいますか?」ある日、夫に似た子供が訪ねて来た。
ヴァンドール
恋愛
嫁いですぐに夫は戦地に赴いた。すると突然一人の男の子が訪ねて来た「パパはいますか?」
その子供の顔は戦地に行った夫にそっくりだった。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる