「メジャー・インフラトン」序章4/7(僕のグランドゼロ〜マズルカの調べに乗って。少年兵の季節JUMP! JUMP! JUMP! No1)

あおっち

文字の大きさ
51 / 85
第8章 敵の陽動作戦、台湾進撃を止めろ!(敵視点ver)

第6話 走馬灯。

しおりを挟む
 沈んだ揚陸艇から海底を歩いて来たのだろう、友軍の2機のHARMORがフラフラになって海岸に上がり、よつん這いになって倒れた。
  

(( ドンッ! ))

 
(( ドシンッ! ))


 手前1機のコクピットシールドが開くと大量の海水と共に、飛び出て来るパイロット。

 
( ザザザーッ。)


 パイロットがヘッドギアを急ぎ脱いで、海水を大量に飲んだのか、咳込み始める。


( ゴホッ、ゴホッ。オエーッ。ゴホッ、ゴホッ。オエーッ。 )


 そんな2機も、先ほどの2艦の砲撃を受け始めたのだ。

 
( タン、タン、タン、タンッ! )

 
(( ドカッドカッドカッドカッ! ))


( タン、タン、タン、タンッ! )

 
(( ドカッドカッドカッドカッ! ))


 砂浜の奥に、吹き飛ぶ2機の味方HARMOR。

 李が、一気に現実に戻り、慌ててシートベルトをはずして近くのHARMORの残骸の中に隠れた。 


「うわー怖い!怖いー!」


 突然、大爆発を起こす2機。

 
(( ドンッ!バシーン、バシーン! ))
 

 強烈な爆発の衝撃波が来た。
ヘッドギアを手で抱えて、手足を縮める李少尉だった。
 

( ドドドドドドー! )

 
 激しい爆風と炎が、李少尉の足先を通過した。
 

( うわー!ギャー、助けてー!死にたくないーっ! ヒィーッ!)
 

(( ドバババババー!ズガガガ……。))

 
 爆風が通り静かになる周辺。
 
「ふうー。危ない所だった。……ん?」
 
 気になり横を見ると、開いたままのコクピットから内臓を飛び散らせてこちらを睨んでるジャン四級軍士長の死体だった。


( ワァ~!ヒィィィー! )


 慌てて、へっぴり腰のままその場を逃げる李少尉。
 
 よつん這いになったまま、残骸から海辺に出た李少尉だった。
 
 何気に、肩越しに海岸から後ろの海を覗いて見ると、無数の自軍の揚陸艦が攻撃を受けた後だった事が、よりハッキリと李に理解できたのだ。
 
 燃えるもの、爆発するもの。

 一緒に、海へ沈む味方HARMORが映った。

( キィーン……。ドンッ!ドバババー! )
 
 沈み始めた揚陸艇から多数の生き残ったモービルが直接ジャンプし始めた。
 
「おー!行け、行けー!敵をやっつけてくれー!」

 調子の良い李少尉だった。

 
(( ズババババー! ))


 少尉の真上、50メートル上空をバーニアを吹かし飛び抜ける1機。
 
 その1機のHARMORを目で追うと、丘の奥から無数のミサイル攻撃を受けたのだった。

 ジャンプしたまま、あっけなく空中で撃破されてしまった。
 
 目を細めて、丘を見る李少尉。
 
 敵、オートマのエイジャックスの大群が無尽蔵にこちらに向かって来ているのだ。
 
 止まることなく、次々にミサイルを味方モービルに打ち込むエイジャックス。
 
 続いてジャンプした、友軍のHARMORも正確に撃ち落とされていた。
 
 真上で撃墜されたモービルの残骸が、李少尉に降って来た。

 
「か、か、かっ……。ん?ぎゃーっ!」


(( ドッシーンッ!ガシャガシャッ! ))

 
 破壊され落ちて来る味方HARMORにビビる李少尉。
 
 何かの大きな真っ黒な残骸の横で、李少尉は波打ち際でうつ伏せになって身を隠した。
 
 やっとひと息を付いた時、李少尉の足元で至近弾が炸裂した。


( ドカンッ!ドバーッ! )


(( うぎゃーっ! ))
 

 砂と、残骸ごと吹き飛ばされる李少尉。
 
「うっ、う……。」
 
 波打ち際に飛ばされたのだった。

 一瞬、気を失ったのかも知れない。


( ドン、……ドンドン。バシーン、ドンドン、タタタ。タタタ。ドン。 )

 
 至る所から響いて来る爆発音や砲撃、銃声音。

 そして、爆発による衝撃波の振動が、波の潮だまりに細かい波紋を作る。
 
 潮だまりに映る空には、戦闘による煙が分厚く漂っていた。
 
 波打ち際で、ゴロンっと両手を広げて、空を見る李少尉だった。

 
 目の前に広がる空の光景。

 
 爆発や燃える味方HARMORや揚陸艇の出す煙が、李少尉を避けるかのように、素早く目の前を流れている。
 
 爆発の騒音の中で、なぜか李少尉から、爆発音などの騒音が聞こえなくなった。
 

……なつかしい、子供の頃の思い出がよみがえる。
 兄弟で波打ち際で遊んだ楽しいひと時。
 打ち寄せる波の懐かしい音が聞こえてきた……。

 
 父母の笑顔や、祖父や祖父母の笑顔も脳裏に浮かんで来た。

 
 なぜか、緊張がゆるみ、微笑み始める李少尉だった。

 
 煙の合間の上空を見ていると、小さな光の点が、ひとつ、ふたつとプツプツ現れ始めた。


「あれは、なんだ……。」

 
 目を細める李少尉。

 
 その光の点が長く明るい線を引き始めた。
 
 流れ星の様に空を横切るのではなく、3本もの光がこちらに向かって落ちて来ている。

 その横にもうひと束、別の光の束も降りて来ていた。


「……。」

 
 李少尉は、思わずヘッドギアを脱いだ。

 巨大な何かが、降りてくるのが解った李少尉だった。
 
 李には、神の使徒か、神の使いが天から降って来る気がした。
 
「ふふふ。神の軍隊か……。敵うわけないかぁ、ハハハッ……。」
 
 そして微笑み、優しい目を見開いたまま、……目の動きを止めた李少尉だった。

 
 腰から下、下半身全てを失ったままのパイロットスーツ姿の李少尉。

 
 両手を広げ、空を仰ぐ少尉の、濡れた瞳に移る3本の光の線の束。
 
 そして、空から神の爆音が聞こえて来る。


( ヒューン……、ゴゴゴゴー……。)

 
 その線が3方向に広がっていく。

 人口浜に打ち寄せる、血に染められた小さな赤い波。
 
 ……いつまでも、いつまでも、

 李少尉の、その手を優しく洗っていた。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

わたしの下着 母の私をBBA~と呼ぶことのある息子がまさか...

MisakiNonagase
青春
39才の母・真知子は息子が私の下着を持ち出していることに気づいた。 ネットで同様の事象がないか調べると、案外多いようだ。 さて、真知子は息子を問い詰める? それとも気づかないふりを続けてあげるか? そのほかに外伝も綴りました。

忘却の艦隊

KeyBow
SF
新設された超弩級砲艦を旗艦とし新造艦と老朽艦の入れ替え任務に就いていたが、駐留基地に入るには数が多く、月の1つにて物資と人員の入れ替えを行っていた。 大型輸送艦は工作艦を兼ねた。 総勢250艦の航宙艦は退役艦が110艦、入れ替え用が同数。 残り30艦は増強に伴い新規配備される艦だった。 輸送任務の最先任士官は大佐。 新造砲艦の設計にも関わり、旗艦の引き渡しのついでに他の艦の指揮も執り行っていた。 本来艦隊の指揮は少将以上だが、輸送任務の為、設計に関わった大佐が任命された。    他に星系防衛の指揮官として少将と、退役間近の大将とその副官や副長が視察の為便乗していた。 公安に近い監査だった。 しかし、この2名とその側近はこの艦隊及び駐留艦隊の指揮系統から外れている。 そんな人員の載せ替えが半分ほど行われた時に中緊急警報が鳴り、ライナン星系第3惑星より緊急の救援要請が入る。 機転を利かせ砲艦で敵の大半を仕留めるも、苦し紛れに敵は主系列星を人口ブラックホールにしてしまった。 完全にブラックホールに成長し、その重力から逃れられないようになるまで数分しか猶予が無かった。 意図しない戦闘の影響から士気はだだ下がり。そのブラックホールから逃れる為、禁止されている重力ジャンプを敢行する。 恒星から近い距離では禁止されているし、システム的にも不可だった。 なんとか制限内に解除し、重力ジャンプを敢行した。 しかし、禁止されているその理由通りの状況に陥った。 艦隊ごとセットした座標からズレ、恒星から数光年離れた所にジャンプし【ワープのような架空の移動方法】、再び重力ジャンプ可能な所まで移動するのに33年程掛かる。 そんな中忘れ去られた艦隊が33年の月日の後、本星へと帰還を目指す。 果たして彼らは帰還できるのか? 帰還出来たとして彼らに待ち受ける運命は?

ビキニに恋した男

廣瀬純七
SF
ビキニを着たい男がビキニが似合う女性の体になる話

父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

四季
恋愛
父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

大東亜戦争を有利に

ゆみすけ
歴史・時代
 日本は大東亜戦争に負けた、完敗であった。 そこから架空戦記なるものが増殖する。 しかしおもしろくない、つまらない。 であるから自分なりに無双日本軍を架空戦記に参戦させました。 主観満載のラノベ戦記ですから、ご感弁を

断罪まであと10分、私は処刑台の上で「ライブ配信」を開始した〜前世インフルエンサーの悪役令嬢、支持率100%でクズ王子を逆処刑する〜

深渡 ケイ
ファンタジー
断罪まで、あと10分。 処刑台の上で跪く悪役令嬢スカーレットは、笑っていた。 なぜなら彼女は―― 前世で“トップインフルエンサー”だったから。 処刑の瞬間、彼女が起動したのは禁忌の精霊石。 空に展開された巨大モニターが、全世界同時ライブ配信を開始する。 タイトルは―― 『断罪なう』。 王子の不貞、聖女の偽善、王家の腐敗。 すべてを“証拠付き・リアルタイム”で暴露する配信に、 国民の「いいね(=精霊力)」が集まり始める。 そして宣言される、前代未聞のルール。 支持率が上がるほど、処刑は不可能になる。 処刑台は舞台へ。 断罪はエンタメへ。 悪役令嬢は、世界をひっくり返す配信者となった。 これは、 処刑されるはずだった悪役令嬢が、 “ライブ配信”で王子と王国を公開処刑する物語。 支持率100%の先に待つのは、復讐か、革命か、 それとも――自由か。

本能寺からの決死の脱出 ~尾張の大うつけ 織田信長 天下を統一す~

bekichi
歴史・時代
戦国時代の日本を背景に、織田信長の若き日の物語を語る。荒れ狂う風が尾張の大地を駆け巡る中、夜空の星々はこれから繰り広げられる壮絶な戦いの予兆のように輝いている。この混沌とした時代において、信長はまだ無名であったが、彼の野望はやがて天下を揺るがすことになる。信長は、父・信秀の治世に疑問を持ちながらも、独自の力を蓄え、異なる理想を追求し、反逆者とみなされることもあれば期待の星と讃えられることもあった。彼の目標は、乱世を統一し平和な時代を創ることにあった。物語は信長の足跡を追い、若き日の友情、父との確執、大名との駆け引きを描く。信長の人生は、斎藤道三、明智光秀、羽柴秀吉、徳川家康、伊達政宗といった時代の英傑たちとの交流とともに、一つの大きな物語を形成する。この物語は、信長の未知なる野望の軌跡を描くものである。

処理中です...