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第8章 敵の陽動作戦、台湾進撃を止めろ!(敵視点ver)
第12話 ベクターの姉。
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千歳シーラスワン(急襲打撃宙空戦闘母艦のウーラノス偽装艦橋)、ウーラノスCDC・オペレーションルームは再び喧騒に包まれ始めた。
正面の巨大モニターには台湾・金門県の拡大衛星映像。
その画面の上に、ボーチャンから送られた各軍の進捗状況のアニメーションのレイヤー重ねて表示されている。その前のベランダ壇上で、3D画面に浮かび上がった半透明のホログラム画面で金髪の制帽美人と話をしている御舩。
「……台湾の現状報告、以上です御舩閣下。私達はこれからモリガン管制・制御部門司令と、郭閣下で進めてまいります。モリガン管制・制御部門に切り替えます。」
「では、ソフノフスカ司令。よろしく頼む。」
シーラス2ボーチャンの球形司令部。
その中で日本国宙軍のチーフオペレーターの木村1等宙佐の肩をポンポンと叩いた後、背後で浮かんで待っている清水少尉と共に退出する、ソフノフスカ司令長官。
御舩のホログラフ3D画面が切り替わり、御舩には懐かしい白人男性の顔が映った。
一昨年まで、同じ千歳シーラスワン・ウーラノスCDCでフランス宙軍側の戦略・戦術事務武官をしていた男だった。
この画面の白人男性は、昨年はアメリカ宙軍シーラス1アレース(第1衛星基地)の戦闘攻撃衛星モリガン中隊の副長をしていた。
昨年の対馬戦役では、この攻撃型大規模軍事衛星基地のアレースより、スミス中佐やAI のエイモスと共に椎葉きよしと布村愛子たちを衛星軌道上からバックアップしていたのだ。
「御舩閣下。宙対地攻撃・監視第2中隊、モルガン1、2の管制・制御部門のリュカ(ルーカス)・モローです。大変、ご無沙汰しています閣下。」
「おう、モロー大佐。元気そうだな。去年の対馬戦役はウーラノスからアレースに上がったばかりだったな。昨年は有難う。まだお礼をしていなかった。まぁ元気そうで何よりだ。」
「昨年、副長時代は有難うございました。私の今回の昇格では、御舩閣下の一押しがあったと聞きました。有難うございます。」
「はははっ。まぁよい、よい。優秀な君には物足りないポストかもしれんがな。はははっ。」
フランス訛の英語を話す男性に、ニコニコしながら3D画面で話す御舩だった。
横に立つメリッサもニコニコしてる。
「それと閣下、新任です。こちら副長のナタリー・ゴーティエ大尉です。大尉?こちらへ。」
モロー大佐の後ろに、フランス宙軍の鮮明なブルーのベレー帽を被った女性が浮かんでいる。そして後ろから近寄り、モロー大佐から変わった。
「有難うございます、モロー大佐……。」
精悍なフランス宙軍の目の覚める様な美人が映された。でも誰かに似た面影があった。
「御舩閣下。初めましてナタリー・ゴーティエです。いつも御舩閣下と青山1等宙佐、内方少佐、お世話になっています。マリアンヌ・ゴーティエ少尉の姉です。今後ともよろしくお願い致します。」
座ってこちらを見ていた青山1等宙佐が立ち上がった。ゆっくり御舩とメリッサに近寄って行く。
手招きをするメリッサ。
「おーベクター!いや、いや失礼、ゴーティエ少尉のお姉さんか。道理で。どこかでお目にかかった気がした。あはは。そうか、そうか。こちらこそよろしく頼む。」
制帽を脱いで、ぐるぐるっと頭を撫でてニコニコする御舩だった。後ろへ立つ青山1等宙佐に気が付いて青山を呼んだ。
「青山君、こちらへ。ベクターのお姉さん。ナタリー・ゴーティエ大尉だ。」
「初めまして、ゴーティエ大尉。情報特務科、内方エイモスチームの情報集約リーダーの青山明美です。」
敬礼をする二人の女性士官。
「初めまして1等宙佐。いつも妹が、世話を掛けてるみたいで。」
敬礼したままのナタリー。そして、横にいる笑顔の御舩やメリッサを見ながら話す青山。
「みんな、マリーを面白おかしく言うけど、同僚のガイザーより活躍しているのよ。ただ頑張り過ぎて、今回もお釣りがついたけどね。」
「妹も、任務終了と聞きました。ただ、今回は負傷したみたいですが、大丈夫でしょうか。」
「ベクターが載ってるAS潜には、最高級のドク達が載ってるの。平気よ。肩を撃たれただけよ。命に別状はないわ。本人はいつもの、あはは!うるさいマリアンヌよ。あはは。」
「あ!あはは!じゃもう大丈夫ね!あはは。」
恐らく横にいるだろうモロー大佐が、ナタリーの肩を心配するなとさすっている。ニッコリ横を見て男性の手を握った。ニッコリして正面を見るナタリー。
「青山1等宙佐、少し安心しました。所で、お腹はもう4か月位なの?任務に支障はないのですか。フランス軍ならとっくに産休とってるわよ。」
お腹をさする青山1等宙佐。ニッコリしてそして口をへの字にした。
「さすが姉妹!情報が早いのね。うふふ。ギリ8か月まで頑張るわ。筋肉弱るのやだし、ポンッと生みたいからね。うふふっ。」
大げさに目をクルクル回して、口をへの字にしておどけるナタリー。ナタリーは、青山の後ろに人が来るのに気が付いて、指を差した。
振り向く青山。
後ろに須崎芳江1尉(前:2等陸尉、医官)がゆっくり周りを気にしながら歩いて来た。
須崎は、青山と同期であり、昔からの友人でもあるのだ。
手の平をパタパタして青山に挨拶する須崎医官。
対馬戦役後、対馬基地から夫の居る千歳シーラスワンに飛び級の昇級、転勤した須崎医官だった。
対馬戦役後、定期的に5人の少女の検査を行っていたが、検査・立ち合いで面識を持ったシーラス技研司令本部・長官の椎葉京子とシーラス医療部長の麗子・オースティンの推薦だった。
余談ではあるが、世界の軍関係者に知れ渡った対馬戦役の5人の少女・ヒロインたち。
当然、敵国のスパイにより知れ渡ってしまったのだ。5人の少女達は知らないが、本人達と家族が命を狙われるシーンが何度かあった。全て、内方はじめ率いるチーム内方が防いだのだ。
そこで、保護する目的で内方少佐率いる情報特務隊の新設少女チームが発足したのだ。(のちの通称:エイモス5「ファイブ」)
それに伴い、今月6月から千歳シーラスワンの専任担当医官として、夫の須崎1等宙佐(ウーラノス医務部長)と共に勤務していた。
今日は、妊娠している青山の定期検診の為に来たのだ。
その須崎に気が付く青山。後ろを振り向きニッコリした。
青山は内方・エイモスチームのガイザーやベクター、布村、佐藤たちと同じ情報特務科で情報収集リーダーなので、チームと同じ2日間の非番(休暇)となった。
彼女は2日後、AS潜の「ワタツミ」に合流する予定だった。
ようやく仕事が終わり、非番に入る前、律儀に御舩とメリッサへ挨拶をする為に、2人の手が空くのを待っていたのだ。
身重の青山を介助して、一緒に「ワタツミ」に乗り込む須崎医官は、椎葉京子の依頼を受けて、その後の佐藤結衣達の検査もまとめて実施する予定だった。
「じゃ、ゴーティエ大尉。明後日からAS潜(ワタツミ)に乗り込むから、ついでにマリーの様子見て来るわ。」
「ハイ。お願いします。ではお気をつけて。」
3D映像の中で敬礼をするナタリー・ゴーティエ大尉。そして返礼する青山1等宙佐。
青山はクルっと回れ右をして、御舩やメリッサに笑顔で目礼をした。
「では、閣下。戦時下で誠に申し訳ございませんが、ここで検査後、札幌の自宅に戻ります。明日の骨休みの後、明後日はAS潜に乗り込みます。まだ空港ビルが営業しているなら買い物をしてから札幌に戻ります。」
腕を組み、少し心配顔の御舩。
「まあ、君は情報特務科付けだから気にせず休みたまえ。今は大丈夫だ。しかし、思ったより戦果が早く千歳に及んだら高速道路が通行止めになるなぁ。早めに買い物を終わって札幌へ戻った方が良いなぁ。まぁ、ウーラノスは間違いなく供奉(ぐぶ)艦行動に移行し、衛星軌道に上がるし。なんなら、ここに居てもよいが。ウーラノスの方が安全だと思うよ。」
「ハイ。お気遣いありがとうございます。ただ、主人や私の夏服とか色々準備もあるので、一旦札幌の自宅マンション(中央区・南9条の軍族マンション)に戻りますわ。」
大型モニターの右下の日本標準時の時間を見る御舩。
「そうか、そうか。ウーラノスモードまで後、40分だ。検査を急いだほうが良い。出られなくなる。」
チラッと青山を見て話す須崎医官。
「ハイ、直ちに青山1等宙佐の検査をします。でも、閣下。道路封鎖とか万が一の時は私の千歳の官舎に行きます。地下のシェルターに避難いたしますわ。シェルターと言っても中隊クラスの作戦行動がとれるだけの装備品と、病院も完備したエマージェンシー装備満載の秘匿基地ですが。」
「はははっ。なるほど、そうだな……じゃあ、君たちは先程、敵タンカー基地を確保した別働隊と?」
「はい、明後日の早朝、チーム西浦と丘珠で合流予定です。そこからオスプレイー2で直接AS潜に向かいます。AS潜には、昼到着予定で、到着次第直ちにご報告致します。」
メリッサを見ながら頷く御舩。
「了解。君も気を付けてな。」
「ハイ。有難うございます閣下。」
ニッコリする御舩。次に青山が続ける。
「内方少佐との感応波通信は、まだまだ少佐側の訓練が必要なものですし。直接会って聞かないと解らない事が色々ある物ですから。」
うなずく御舩。
青山は、左右を慎重に見て、それから、メリッサと御舩を覗くように話し始める。
「例の……。」
御舩も、メリッサも軽く左右を見た。
「盗難レールガンか。」
「ハイ。そのレールガンについてキャロル(J博士、キャロル・シンガー・内方博士)からも話を聞きたいし、シーシェン(ホンファ・フチャ中佐)の様子も心配なので。直に会いに行きます。ましてや、チーム内方の全部隊員が集合しますので。」
「なるほど。……実は1等宙佐。私もつい先程、敵タンカー基地の確保をメリーから聞いたところだったが。関係があるのか。」
また左右をみて慎重に話す青山だった。
「詳細は先ほどサイオン秘書官(メリッサ)に送りました。」
軽く頷くメリッサ。
「まだ、確定ではありません。が、西浦少尉からタンカーのメインフレーム、これはペタスケールコンピューターでしたが、データ吸い上げが終わったと報告が入りました。J博士と京子博士に既にデータ送信済みです。マザー(シーラス・マザー)には、送っておりません。何か出るかも知れませんわ。」
メリッサと目を合わせる御舩。メリッサが軽く頷く。こめかみを軽く掻く御舩。
「解った。ただ、火の無い所に煙は立たない。後5日後か?6月30日の奈良橿原の本部会議に私も出席する。このウーラノスの供奉艦行動、敵の攻撃部隊の早期殲滅を前提にしても、10日間は解けないと思うから私はシャトルで降りる。もし仮にまだ戦闘中でも必ず橿原会議に出席する。それが、オリジナル・ペンタゴンの宿命だ。」
「ハイ。私も内方少佐と西浦少尉と共に橿原に出席致します。」
「了解した。ともかく、2人とも無理するなよ。特に青山君、お腹の赤ちゃんを大事にな。須崎先生、よろしくお願いします。」
「有難うございます。閣下。」
ニッコリお礼をする青山1等宙佐と須崎医官。続ける御舩。
「もし、何かあれば須崎部長(芳江の主人)へ連絡下さい。まぁ、直接私やメリッサでも構わない。な、メリー。」
「ハイ閣下。もし、お2人、何かあれば私に連絡下さいね。リーダーも、須崎ドクターもお気をつけてお帰りください。橿原の会議の時は、恐らく、私はウーラノス、衛星軌道上で待機してますわ。」
「ハイ。有難うございます御舩閣下。サイオン秘書官。」
「ハイ。閣下、橿原でお会いしましょう。」
敬礼をする2人の女性佐官。
「うむ。」
返礼をする御舩とメリッサだった。足早に去る二人の女性佐官。
目を合わせてニッコリする御舩とメリッサだった。
正面の巨大モニターには台湾・金門県の拡大衛星映像。
その画面の上に、ボーチャンから送られた各軍の進捗状況のアニメーションのレイヤー重ねて表示されている。その前のベランダ壇上で、3D画面に浮かび上がった半透明のホログラム画面で金髪の制帽美人と話をしている御舩。
「……台湾の現状報告、以上です御舩閣下。私達はこれからモリガン管制・制御部門司令と、郭閣下で進めてまいります。モリガン管制・制御部門に切り替えます。」
「では、ソフノフスカ司令。よろしく頼む。」
シーラス2ボーチャンの球形司令部。
その中で日本国宙軍のチーフオペレーターの木村1等宙佐の肩をポンポンと叩いた後、背後で浮かんで待っている清水少尉と共に退出する、ソフノフスカ司令長官。
御舩のホログラフ3D画面が切り替わり、御舩には懐かしい白人男性の顔が映った。
一昨年まで、同じ千歳シーラスワン・ウーラノスCDCでフランス宙軍側の戦略・戦術事務武官をしていた男だった。
この画面の白人男性は、昨年はアメリカ宙軍シーラス1アレース(第1衛星基地)の戦闘攻撃衛星モリガン中隊の副長をしていた。
昨年の対馬戦役では、この攻撃型大規模軍事衛星基地のアレースより、スミス中佐やAI のエイモスと共に椎葉きよしと布村愛子たちを衛星軌道上からバックアップしていたのだ。
「御舩閣下。宙対地攻撃・監視第2中隊、モルガン1、2の管制・制御部門のリュカ(ルーカス)・モローです。大変、ご無沙汰しています閣下。」
「おう、モロー大佐。元気そうだな。去年の対馬戦役はウーラノスからアレースに上がったばかりだったな。昨年は有難う。まだお礼をしていなかった。まぁ元気そうで何よりだ。」
「昨年、副長時代は有難うございました。私の今回の昇格では、御舩閣下の一押しがあったと聞きました。有難うございます。」
「はははっ。まぁよい、よい。優秀な君には物足りないポストかもしれんがな。はははっ。」
フランス訛の英語を話す男性に、ニコニコしながら3D画面で話す御舩だった。
横に立つメリッサもニコニコしてる。
「それと閣下、新任です。こちら副長のナタリー・ゴーティエ大尉です。大尉?こちらへ。」
モロー大佐の後ろに、フランス宙軍の鮮明なブルーのベレー帽を被った女性が浮かんでいる。そして後ろから近寄り、モロー大佐から変わった。
「有難うございます、モロー大佐……。」
精悍なフランス宙軍の目の覚める様な美人が映された。でも誰かに似た面影があった。
「御舩閣下。初めましてナタリー・ゴーティエです。いつも御舩閣下と青山1等宙佐、内方少佐、お世話になっています。マリアンヌ・ゴーティエ少尉の姉です。今後ともよろしくお願い致します。」
座ってこちらを見ていた青山1等宙佐が立ち上がった。ゆっくり御舩とメリッサに近寄って行く。
手招きをするメリッサ。
「おーベクター!いや、いや失礼、ゴーティエ少尉のお姉さんか。道理で。どこかでお目にかかった気がした。あはは。そうか、そうか。こちらこそよろしく頼む。」
制帽を脱いで、ぐるぐるっと頭を撫でてニコニコする御舩だった。後ろへ立つ青山1等宙佐に気が付いて青山を呼んだ。
「青山君、こちらへ。ベクターのお姉さん。ナタリー・ゴーティエ大尉だ。」
「初めまして、ゴーティエ大尉。情報特務科、内方エイモスチームの情報集約リーダーの青山明美です。」
敬礼をする二人の女性士官。
「初めまして1等宙佐。いつも妹が、世話を掛けてるみたいで。」
敬礼したままのナタリー。そして、横にいる笑顔の御舩やメリッサを見ながら話す青山。
「みんな、マリーを面白おかしく言うけど、同僚のガイザーより活躍しているのよ。ただ頑張り過ぎて、今回もお釣りがついたけどね。」
「妹も、任務終了と聞きました。ただ、今回は負傷したみたいですが、大丈夫でしょうか。」
「ベクターが載ってるAS潜には、最高級のドク達が載ってるの。平気よ。肩を撃たれただけよ。命に別状はないわ。本人はいつもの、あはは!うるさいマリアンヌよ。あはは。」
「あ!あはは!じゃもう大丈夫ね!あはは。」
恐らく横にいるだろうモロー大佐が、ナタリーの肩を心配するなとさすっている。ニッコリ横を見て男性の手を握った。ニッコリして正面を見るナタリー。
「青山1等宙佐、少し安心しました。所で、お腹はもう4か月位なの?任務に支障はないのですか。フランス軍ならとっくに産休とってるわよ。」
お腹をさする青山1等宙佐。ニッコリしてそして口をへの字にした。
「さすが姉妹!情報が早いのね。うふふ。ギリ8か月まで頑張るわ。筋肉弱るのやだし、ポンッと生みたいからね。うふふっ。」
大げさに目をクルクル回して、口をへの字にしておどけるナタリー。ナタリーは、青山の後ろに人が来るのに気が付いて、指を差した。
振り向く青山。
後ろに須崎芳江1尉(前:2等陸尉、医官)がゆっくり周りを気にしながら歩いて来た。
須崎は、青山と同期であり、昔からの友人でもあるのだ。
手の平をパタパタして青山に挨拶する須崎医官。
対馬戦役後、対馬基地から夫の居る千歳シーラスワンに飛び級の昇級、転勤した須崎医官だった。
対馬戦役後、定期的に5人の少女の検査を行っていたが、検査・立ち合いで面識を持ったシーラス技研司令本部・長官の椎葉京子とシーラス医療部長の麗子・オースティンの推薦だった。
余談ではあるが、世界の軍関係者に知れ渡った対馬戦役の5人の少女・ヒロインたち。
当然、敵国のスパイにより知れ渡ってしまったのだ。5人の少女達は知らないが、本人達と家族が命を狙われるシーンが何度かあった。全て、内方はじめ率いるチーム内方が防いだのだ。
そこで、保護する目的で内方少佐率いる情報特務隊の新設少女チームが発足したのだ。(のちの通称:エイモス5「ファイブ」)
それに伴い、今月6月から千歳シーラスワンの専任担当医官として、夫の須崎1等宙佐(ウーラノス医務部長)と共に勤務していた。
今日は、妊娠している青山の定期検診の為に来たのだ。
その須崎に気が付く青山。後ろを振り向きニッコリした。
青山は内方・エイモスチームのガイザーやベクター、布村、佐藤たちと同じ情報特務科で情報収集リーダーなので、チームと同じ2日間の非番(休暇)となった。
彼女は2日後、AS潜の「ワタツミ」に合流する予定だった。
ようやく仕事が終わり、非番に入る前、律儀に御舩とメリッサへ挨拶をする為に、2人の手が空くのを待っていたのだ。
身重の青山を介助して、一緒に「ワタツミ」に乗り込む須崎医官は、椎葉京子の依頼を受けて、その後の佐藤結衣達の検査もまとめて実施する予定だった。
「じゃ、ゴーティエ大尉。明後日からAS潜(ワタツミ)に乗り込むから、ついでにマリーの様子見て来るわ。」
「ハイ。お願いします。ではお気をつけて。」
3D映像の中で敬礼をするナタリー・ゴーティエ大尉。そして返礼する青山1等宙佐。
青山はクルっと回れ右をして、御舩やメリッサに笑顔で目礼をした。
「では、閣下。戦時下で誠に申し訳ございませんが、ここで検査後、札幌の自宅に戻ります。明日の骨休みの後、明後日はAS潜に乗り込みます。まだ空港ビルが営業しているなら買い物をしてから札幌に戻ります。」
腕を組み、少し心配顔の御舩。
「まあ、君は情報特務科付けだから気にせず休みたまえ。今は大丈夫だ。しかし、思ったより戦果が早く千歳に及んだら高速道路が通行止めになるなぁ。早めに買い物を終わって札幌へ戻った方が良いなぁ。まぁ、ウーラノスは間違いなく供奉(ぐぶ)艦行動に移行し、衛星軌道に上がるし。なんなら、ここに居てもよいが。ウーラノスの方が安全だと思うよ。」
「ハイ。お気遣いありがとうございます。ただ、主人や私の夏服とか色々準備もあるので、一旦札幌の自宅マンション(中央区・南9条の軍族マンション)に戻りますわ。」
大型モニターの右下の日本標準時の時間を見る御舩。
「そうか、そうか。ウーラノスモードまで後、40分だ。検査を急いだほうが良い。出られなくなる。」
チラッと青山を見て話す須崎医官。
「ハイ、直ちに青山1等宙佐の検査をします。でも、閣下。道路封鎖とか万が一の時は私の千歳の官舎に行きます。地下のシェルターに避難いたしますわ。シェルターと言っても中隊クラスの作戦行動がとれるだけの装備品と、病院も完備したエマージェンシー装備満載の秘匿基地ですが。」
「はははっ。なるほど、そうだな……じゃあ、君たちは先程、敵タンカー基地を確保した別働隊と?」
「はい、明後日の早朝、チーム西浦と丘珠で合流予定です。そこからオスプレイー2で直接AS潜に向かいます。AS潜には、昼到着予定で、到着次第直ちにご報告致します。」
メリッサを見ながら頷く御舩。
「了解。君も気を付けてな。」
「ハイ。有難うございます閣下。」
ニッコリする御舩。次に青山が続ける。
「内方少佐との感応波通信は、まだまだ少佐側の訓練が必要なものですし。直接会って聞かないと解らない事が色々ある物ですから。」
うなずく御舩。
青山は、左右を慎重に見て、それから、メリッサと御舩を覗くように話し始める。
「例の……。」
御舩も、メリッサも軽く左右を見た。
「盗難レールガンか。」
「ハイ。そのレールガンについてキャロル(J博士、キャロル・シンガー・内方博士)からも話を聞きたいし、シーシェン(ホンファ・フチャ中佐)の様子も心配なので。直に会いに行きます。ましてや、チーム内方の全部隊員が集合しますので。」
「なるほど。……実は1等宙佐。私もつい先程、敵タンカー基地の確保をメリーから聞いたところだったが。関係があるのか。」
また左右をみて慎重に話す青山だった。
「詳細は先ほどサイオン秘書官(メリッサ)に送りました。」
軽く頷くメリッサ。
「まだ、確定ではありません。が、西浦少尉からタンカーのメインフレーム、これはペタスケールコンピューターでしたが、データ吸い上げが終わったと報告が入りました。J博士と京子博士に既にデータ送信済みです。マザー(シーラス・マザー)には、送っておりません。何か出るかも知れませんわ。」
メリッサと目を合わせる御舩。メリッサが軽く頷く。こめかみを軽く掻く御舩。
「解った。ただ、火の無い所に煙は立たない。後5日後か?6月30日の奈良橿原の本部会議に私も出席する。このウーラノスの供奉艦行動、敵の攻撃部隊の早期殲滅を前提にしても、10日間は解けないと思うから私はシャトルで降りる。もし仮にまだ戦闘中でも必ず橿原会議に出席する。それが、オリジナル・ペンタゴンの宿命だ。」
「ハイ。私も内方少佐と西浦少尉と共に橿原に出席致します。」
「了解した。ともかく、2人とも無理するなよ。特に青山君、お腹の赤ちゃんを大事にな。須崎先生、よろしくお願いします。」
「有難うございます。閣下。」
ニッコリお礼をする青山1等宙佐と須崎医官。続ける御舩。
「もし、何かあれば須崎部長(芳江の主人)へ連絡下さい。まぁ、直接私やメリッサでも構わない。な、メリー。」
「ハイ閣下。もし、お2人、何かあれば私に連絡下さいね。リーダーも、須崎ドクターもお気をつけてお帰りください。橿原の会議の時は、恐らく、私はウーラノス、衛星軌道上で待機してますわ。」
「ハイ。有難うございます御舩閣下。サイオン秘書官。」
「ハイ。閣下、橿原でお会いしましょう。」
敬礼をする2人の女性佐官。
「うむ。」
返礼をする御舩とメリッサだった。足早に去る二人の女性佐官。
目を合わせてニッコリする御舩とメリッサだった。
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