64 / 85
第10章 敵の陽動作戦、金門県包囲戦。
第4話 クラスター!退避ーっ!
しおりを挟む
自分はこの後ろに積載されているHARMORのパイロットなのだ。と思い出した。
そして、今、何があったか、何が起きたのかを思い出した。
つい先程まで、首のないドライバーとたわいもない話をしている時に、空爆を受けたのだった。
思い出し始める若いパイロットだった。
高速道路を進む中華帝国連邦AXIS、東部軍区の増援部隊の長い長い軍車両の列。
そのほぼ最後尾で、ノンビリ走るHARMORの運搬車輛。
その貨物台には迷彩柄の布でカバーされたHARMORが横たわっていた。
最新とは言えないが、キチンと整備されたワンクール前のHARMOR、旧型の突撃人型装甲機、壊撃-2型(ロシア名:ホワイトハング2)だった。
布の下の空間では整備兵2人がトランプをしながら談笑している。
そのトラックの運転席。
幅の広い4人乗りの席の左右に、ドライバーとHARMORパイロットの2人が新緑の風を受けながらニコニコしていた。
50代の整備ドライバーと、その息子位の年齢の若いHARMOR・パイロットだった。
ドライバーが、風音に負けない大声で若者を呼んだ。
「そうだ、そうだ。アハハッ!楊3級軍士長?楊3級軍士長!」
その若者は、トラックの窓から受ける風に目を細めながら当たっていた。
早朝の気持ちの良い風にニッコリしながら缶ジュースのフタを開けた。
「シュパン!はい、李さん。はい。なんですか。グビグビッ。」
「今、軍士長?マジに、彼女いるんですか?」
機嫌よく兵士ドライバーが話掛けて来た。口に入ったばかりのジュースを軽く噴き出す楊。
「ブッ!え?李さん、なぜこのタイミングで。あービックリ。ハハハッ。きったな。うわわ。」
突然の質問に驚き、口元を拭きながら照れる若いパイロット。
「ははっ、ゴメン、ゴメン。このタオル使ってください。」
「いやいや、大丈夫です。」
ドライバーの話を聞こうと、窓を閉める若い兵士。
「あははっ、軍士長。いやねぇ、この軍の招集が掛かる前に私の娘が、」
「あー、瑞華ちゃん?」
「アハハッ。そう、瑞華がようやく16になって。」
「あー、もう16になったんだ。早いなぁ。そうか16歳かぁ。僕より3つ年下だもんな。」
「そう、誕生会をしてから来たんですが、」
「あー誕生日?召集前に誕生会出来て良かったですよね。ふ~ん。」
「そうですよ。そうしたら軍士長聞いてください。娘が色気づいて、パパ、こんどカッコイイHARMORのパイロット紹介してって。折角、人気のあるケーキ屋のケーキを2時間並んで買って来た俺を無視して、言いやがるんですよ。」
「あー、僕が教えたケーキ屋?」
「そうです、そうです。あそこのケーキ屋です。2時間、いや3時間かな。もう大変でした。」
「あはは。でも、あそこのケーキ、美味しかったでしょう?」
「娘に話を止めて、良いから食え!楊軍士長から紹介を受けたケーキ屋だって言ったら、コロッと態度が変わって、あいつは。物凄く喜んでて。ローソクの火を消して、機嫌よく食べ始めましたよ。アハハハッ。」
「李さんも、ケーキ。美味しかったでしょ?」
「いや、私、甘いのは、ちょ……。って軍士長、ケーキの話じゃなく娘っ、娘の瑞華。」
「だから瑞華ちゃんでしょう。瑞華ちゃんが何ですか?」
「にぶいなぁ……。だから、楊3級軍士長を紹介してくれって。」
今度は、飲みかけたジュースにむせる楊。
「が!ゴホッゴホッ!もう、李さん。もう。アハハッゴホ。ゴホッ。」
いきなりスマハンドの娘の写真データを楊のスマハンドに飛ばす李上士ドライバー。
「ホイ。」
「ゴホッ、あっ。ちょっと、李さん、え?え?ふ~ん。おー可愛いじゃないですか。へ~。」
楊の手首に浮かんだ、李上士ドライバーの娘の顔写真。
色白の、首のほっそりした美人だった。
横で運転する李の顔を、マジマジみる楊だった。
今はオッチャンになってるが、確か若いころ、訓練で仲間を助ける為に大ケガをするまで戦車に乗っていた李だった。
今でこそ、輸送トラックのドライバーをしているが、現役の若いころの写真を見て、かなりの男前だったハズだ。
そんな事を思い出して、ドライバーの横顔を見ていたのだ。楊の目線に気が付く李ドライバー。
今は、腹も張り出しカッコが悪い李オジさんだ。
そんな自分を気にして発言する李上士ドライバー。
「あっ、アハハッ。大丈夫です軍士長。わたしじゃなく、嫁似ですから。」
「いやいや、そう言う意味じゃないし。あははっ。……ん?」
何かに気が付いた楊だった。
前方一直線に並んで走る軍車両の車列。
その上空近くまで、スッスッスッっと黒い物体が降ってきて、花火の様にパッっと光った。
目を細めて、顔を前に出して見る楊。
「って、ん?李さん?あの花火みたいの、何ですか?」
パッっと光ると同時に、軍車両の周りの土砂が前方から次々に吹き上がった。
クラスター爆弾で爆撃され始めたのだ。
かなり前方から順番に爆撃されている。
楊が乗るトラックに向かってくる空爆のクラスター爆弾の嵐。
ほのぼのとした車中のやり取りも束の間の事だった。
「ん?なんですかね楊3級……軍士長……。あっ!クラスターっ!」
女真帝国空軍、高高度爆撃機から空爆を受けたのだ。
楊3級軍士長の乗るトラックも例に漏れず対人、対物クラスター爆弾の洗礼を受けた。
正面真上がパラパラパラッと光った。
道路奥から楊達に迫る爆発の煙や土砂。
複数の爆発音が同時に向かって来た。
(( ドドドドドド!ババババババッー! ))
「クラスターッ!退避ーっ!」
( キキキィーッ!)
道路脇にハンドルを切る李上士ドライバーだった。
荷台ではモービルの足や、天幕につかまる整備員たち。
トラックは急ハンドルでコントロールを失い、ガードレールに弾かれて反対側の丘の土手に突っ込んで止まった。
そして、今、何があったか、何が起きたのかを思い出した。
つい先程まで、首のないドライバーとたわいもない話をしている時に、空爆を受けたのだった。
思い出し始める若いパイロットだった。
高速道路を進む中華帝国連邦AXIS、東部軍区の増援部隊の長い長い軍車両の列。
そのほぼ最後尾で、ノンビリ走るHARMORの運搬車輛。
その貨物台には迷彩柄の布でカバーされたHARMORが横たわっていた。
最新とは言えないが、キチンと整備されたワンクール前のHARMOR、旧型の突撃人型装甲機、壊撃-2型(ロシア名:ホワイトハング2)だった。
布の下の空間では整備兵2人がトランプをしながら談笑している。
そのトラックの運転席。
幅の広い4人乗りの席の左右に、ドライバーとHARMORパイロットの2人が新緑の風を受けながらニコニコしていた。
50代の整備ドライバーと、その息子位の年齢の若いHARMOR・パイロットだった。
ドライバーが、風音に負けない大声で若者を呼んだ。
「そうだ、そうだ。アハハッ!楊3級軍士長?楊3級軍士長!」
その若者は、トラックの窓から受ける風に目を細めながら当たっていた。
早朝の気持ちの良い風にニッコリしながら缶ジュースのフタを開けた。
「シュパン!はい、李さん。はい。なんですか。グビグビッ。」
「今、軍士長?マジに、彼女いるんですか?」
機嫌よく兵士ドライバーが話掛けて来た。口に入ったばかりのジュースを軽く噴き出す楊。
「ブッ!え?李さん、なぜこのタイミングで。あービックリ。ハハハッ。きったな。うわわ。」
突然の質問に驚き、口元を拭きながら照れる若いパイロット。
「ははっ、ゴメン、ゴメン。このタオル使ってください。」
「いやいや、大丈夫です。」
ドライバーの話を聞こうと、窓を閉める若い兵士。
「あははっ、軍士長。いやねぇ、この軍の招集が掛かる前に私の娘が、」
「あー、瑞華ちゃん?」
「アハハッ。そう、瑞華がようやく16になって。」
「あー、もう16になったんだ。早いなぁ。そうか16歳かぁ。僕より3つ年下だもんな。」
「そう、誕生会をしてから来たんですが、」
「あー誕生日?召集前に誕生会出来て良かったですよね。ふ~ん。」
「そうですよ。そうしたら軍士長聞いてください。娘が色気づいて、パパ、こんどカッコイイHARMORのパイロット紹介してって。折角、人気のあるケーキ屋のケーキを2時間並んで買って来た俺を無視して、言いやがるんですよ。」
「あー、僕が教えたケーキ屋?」
「そうです、そうです。あそこのケーキ屋です。2時間、いや3時間かな。もう大変でした。」
「あはは。でも、あそこのケーキ、美味しかったでしょう?」
「娘に話を止めて、良いから食え!楊軍士長から紹介を受けたケーキ屋だって言ったら、コロッと態度が変わって、あいつは。物凄く喜んでて。ローソクの火を消して、機嫌よく食べ始めましたよ。アハハハッ。」
「李さんも、ケーキ。美味しかったでしょ?」
「いや、私、甘いのは、ちょ……。って軍士長、ケーキの話じゃなく娘っ、娘の瑞華。」
「だから瑞華ちゃんでしょう。瑞華ちゃんが何ですか?」
「にぶいなぁ……。だから、楊3級軍士長を紹介してくれって。」
今度は、飲みかけたジュースにむせる楊。
「が!ゴホッゴホッ!もう、李さん。もう。アハハッゴホ。ゴホッ。」
いきなりスマハンドの娘の写真データを楊のスマハンドに飛ばす李上士ドライバー。
「ホイ。」
「ゴホッ、あっ。ちょっと、李さん、え?え?ふ~ん。おー可愛いじゃないですか。へ~。」
楊の手首に浮かんだ、李上士ドライバーの娘の顔写真。
色白の、首のほっそりした美人だった。
横で運転する李の顔を、マジマジみる楊だった。
今はオッチャンになってるが、確か若いころ、訓練で仲間を助ける為に大ケガをするまで戦車に乗っていた李だった。
今でこそ、輸送トラックのドライバーをしているが、現役の若いころの写真を見て、かなりの男前だったハズだ。
そんな事を思い出して、ドライバーの横顔を見ていたのだ。楊の目線に気が付く李ドライバー。
今は、腹も張り出しカッコが悪い李オジさんだ。
そんな自分を気にして発言する李上士ドライバー。
「あっ、アハハッ。大丈夫です軍士長。わたしじゃなく、嫁似ですから。」
「いやいや、そう言う意味じゃないし。あははっ。……ん?」
何かに気が付いた楊だった。
前方一直線に並んで走る軍車両の車列。
その上空近くまで、スッスッスッっと黒い物体が降ってきて、花火の様にパッっと光った。
目を細めて、顔を前に出して見る楊。
「って、ん?李さん?あの花火みたいの、何ですか?」
パッっと光ると同時に、軍車両の周りの土砂が前方から次々に吹き上がった。
クラスター爆弾で爆撃され始めたのだ。
かなり前方から順番に爆撃されている。
楊が乗るトラックに向かってくる空爆のクラスター爆弾の嵐。
ほのぼのとした車中のやり取りも束の間の事だった。
「ん?なんですかね楊3級……軍士長……。あっ!クラスターっ!」
女真帝国空軍、高高度爆撃機から空爆を受けたのだ。
楊3級軍士長の乗るトラックも例に漏れず対人、対物クラスター爆弾の洗礼を受けた。
正面真上がパラパラパラッと光った。
道路奥から楊達に迫る爆発の煙や土砂。
複数の爆発音が同時に向かって来た。
(( ドドドドドド!ババババババッー! ))
「クラスターッ!退避ーっ!」
( キキキィーッ!)
道路脇にハンドルを切る李上士ドライバーだった。
荷台ではモービルの足や、天幕につかまる整備員たち。
トラックは急ハンドルでコントロールを失い、ガードレールに弾かれて反対側の丘の土手に突っ込んで止まった。
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
わたしの下着 母の私をBBA~と呼ぶことのある息子がまさか...
MisakiNonagase
青春
39才の母・真知子は息子が私の下着を持ち出していることに気づいた。
ネットで同様の事象がないか調べると、案外多いようだ。
さて、真知子は息子を問い詰める? それとも気づかないふりを続けてあげるか?
そのほかに外伝も綴りました。
忘却の艦隊
KeyBow
SF
新設された超弩級砲艦を旗艦とし新造艦と老朽艦の入れ替え任務に就いていたが、駐留基地に入るには数が多く、月の1つにて物資と人員の入れ替えを行っていた。
大型輸送艦は工作艦を兼ねた。
総勢250艦の航宙艦は退役艦が110艦、入れ替え用が同数。
残り30艦は増強に伴い新規配備される艦だった。
輸送任務の最先任士官は大佐。
新造砲艦の設計にも関わり、旗艦の引き渡しのついでに他の艦の指揮も執り行っていた。
本来艦隊の指揮は少将以上だが、輸送任務の為、設計に関わった大佐が任命された。
他に星系防衛の指揮官として少将と、退役間近の大将とその副官や副長が視察の為便乗していた。
公安に近い監査だった。
しかし、この2名とその側近はこの艦隊及び駐留艦隊の指揮系統から外れている。
そんな人員の載せ替えが半分ほど行われた時に中緊急警報が鳴り、ライナン星系第3惑星より緊急の救援要請が入る。
機転を利かせ砲艦で敵の大半を仕留めるも、苦し紛れに敵は主系列星を人口ブラックホールにしてしまった。
完全にブラックホールに成長し、その重力から逃れられないようになるまで数分しか猶予が無かった。
意図しない戦闘の影響から士気はだだ下がり。そのブラックホールから逃れる為、禁止されている重力ジャンプを敢行する。
恒星から近い距離では禁止されているし、システム的にも不可だった。
なんとか制限内に解除し、重力ジャンプを敢行した。
しかし、禁止されているその理由通りの状況に陥った。
艦隊ごとセットした座標からズレ、恒星から数光年離れた所にジャンプし【ワープのような架空の移動方法】、再び重力ジャンプ可能な所まで移動するのに33年程掛かる。
そんな中忘れ去られた艦隊が33年の月日の後、本星へと帰還を目指す。
果たして彼らは帰還できるのか?
帰還出来たとして彼らに待ち受ける運命は?
大東亜戦争を有利に
ゆみすけ
歴史・時代
日本は大東亜戦争に負けた、完敗であった。 そこから架空戦記なるものが増殖する。 しかしおもしろくない、つまらない。 であるから自分なりに無双日本軍を架空戦記に参戦させました。 主観満載のラノベ戦記ですから、ご感弁を
断罪まであと10分、私は処刑台の上で「ライブ配信」を開始した〜前世インフルエンサーの悪役令嬢、支持率100%でクズ王子を逆処刑する〜
深渡 ケイ
ファンタジー
断罪まで、あと10分。
処刑台の上で跪く悪役令嬢スカーレットは、笑っていた。
なぜなら彼女は――
前世で“トップインフルエンサー”だったから。
処刑の瞬間、彼女が起動したのは禁忌の精霊石。
空に展開された巨大モニターが、全世界同時ライブ配信を開始する。
タイトルは――
『断罪なう』。
王子の不貞、聖女の偽善、王家の腐敗。
すべてを“証拠付き・リアルタイム”で暴露する配信に、
国民の「いいね(=精霊力)」が集まり始める。
そして宣言される、前代未聞のルール。
支持率が上がるほど、処刑は不可能になる。
処刑台は舞台へ。
断罪はエンタメへ。
悪役令嬢は、世界をひっくり返す配信者となった。
これは、
処刑されるはずだった悪役令嬢が、
“ライブ配信”で王子と王国を公開処刑する物語。
支持率100%の先に待つのは、復讐か、革命か、
それとも――自由か。
本能寺からの決死の脱出 ~尾張の大うつけ 織田信長 天下を統一す~
bekichi
歴史・時代
戦国時代の日本を背景に、織田信長の若き日の物語を語る。荒れ狂う風が尾張の大地を駆け巡る中、夜空の星々はこれから繰り広げられる壮絶な戦いの予兆のように輝いている。この混沌とした時代において、信長はまだ無名であったが、彼の野望はやがて天下を揺るがすことになる。信長は、父・信秀の治世に疑問を持ちながらも、独自の力を蓄え、異なる理想を追求し、反逆者とみなされることもあれば期待の星と讃えられることもあった。彼の目標は、乱世を統一し平和な時代を創ることにあった。物語は信長の足跡を追い、若き日の友情、父との確執、大名との駆け引きを描く。信長の人生は、斎藤道三、明智光秀、羽柴秀吉、徳川家康、伊達政宗といった時代の英傑たちとの交流とともに、一つの大きな物語を形成する。この物語は、信長の未知なる野望の軌跡を描くものである。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる