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第10章 敵の陽動作戦、金門県包囲戦。
第5話 立ち上がれ! 「壊撃-2型」。
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トラックは急ハンドルでコントロールを失い、ガードレールに弾かれて反対側の丘の土手に突っ込んで止まった。
( キキィー、ドカッー! )
止まったその直後、トラックの周囲全体で爆発し、巻き上がる土砂や煙。
( ドカン、ドカーン!ドババババーッ! )
運よく楊の乗るトラックの運転席には直撃弾はなかった、ハズだ。
そして目が覚めると、路上の片隅で目覚めた楊3級軍士長だったのだ。
そんな直近の事が思い出されたのだ。
楊が、吐き気も止まり、ゆっくりドアの前に立って、首のないドライバーが座る運転席に手を合わせた。
そして、ゆっくり目を上げると、荷台側に回っていく。
道路の至る所で、周りが焦げている小さな穴が無数に開いている。
自分が乗っていたトラックの側面にも無数の穴が開いていた。
ただ、自分は運が良かっただけなのだ。
そんな事を思っている楊の横の道を、大声を張り上げながらボロボロの装甲車やトラックが煙を吐きながら通過している。
生き残った部隊が、また逃亡しているのだった。
楊の鼻を強烈な臭いが刺激した。
逃亡し、通過する兵員車の荷台で、大勢の兵士が燃えていた。
むせる楊。
「うわ、臭っ!う~、オエーっ!くっさ!」
むせながら、トラックの荷台の、迷彩シートの止め金をはずして荷台に上がった。
迷彩色の天幕布を、ザッとめくって剥がしたが、そこにいるはずの2人の整備士の姿が無かった。
HARMORの股の部分にトランプが散らかっている。
そのトランプを手に取ると焼け焦げていた。
今度は、めくった迷彩の厚い天幕を見ると、真ん中に焼け焦げた大穴が空いていた。数か所開いている。
ふと、何か目に留まった。
恐る恐るモービルの脚部の下を見ると、2人の内のどちらかの右足が太ももから一本、転がっていたのだ。
2人は直撃弾を受けて吹き飛んだのだ。
モービルの内股の塗装にも、細かい傷が無数に入っている。一瞬で理解出来た楊だった。
「うわっ!うっ。くっ、くっ。」
両手の握りこぶしを強く握った。
仕事の同僚を3人も一瞬で失い、くやしさがこみあげてきたのだ。
しかし、そこは兵士の楊。
くやしさと、親しい同僚を失ったつらい気持ちを押し殺した。
ここは、戦場なのだ。
深呼吸をして、気持ちを入れ替える楊だった。
「すぅー、はぁーっ。よし!」
目を逸らしながらコクピットによじ登り、モービルの胸の高い所でよつん這いになって、這って行った。
そして楊は、モービル頭部からゆっくり周りの景色をのぞいた。
正面に見えたのは、地平線の向こうから煙が上がり続ける高速道路だった。
まだ、生き残った車両がこちらに向かって数台走って来ていた。
しかし、稼働する一機のHARMORも見なかった。
どの隊も不意を突かれたのだろうか、黒い煙や炎を出す残骸だけが続いている。
恐らく対人クラスターも含まれていたのだろう。
こちらに来る車両以外、動く人影もない。
楊が、自分の乗ったトラックの前後のトラックを見ると、ドアから血だらけでぶら下がる者、道端に倒れるドライバーなどが目に入って来た。
少しでも動いてい居る人がいればと助けようと思って、周りを見渡しても誰も動いていなかった。
恐らく、生き残ったHARMORパイロットは自分だけかも知れなかった。
「仕方ない。……動かすか。」
手動でコクピットシールドを開いて、乗り込む楊3級軍士長。
自動的に電源が入るコクピット。
乗り込んだ人間のチェックを自動的行い、楊3級軍士長を確認したAI。
( 楊3級軍士長を確認致しました。楊3級軍士長の通常被服着用を確認。直ちにパイロットスーツの着用に切り替えてください。ヘッドギア装着をお願い致します。当機は通常始動プロトコル開始します。核融合電池稼働開始。本連隊との通信が出来ません。広域に妨害電波が発せられているようです。緊急エマージェンシーコールを行いましたが、軍衛星からも返答がございません。)
どこからか、キィーンと作動音がするコクピット内。
「待て!」
AIに指示を出す楊。
敵の探査に引っかからない為、HARMORの存在を消す必要があると考えた。
「核融合電池停止。通信は一切禁止とする。いや、通信とレーダー類の探査波も一切禁止だ。非常事態、通常畜電池で稼働。当機の稼働可能時間を表示せよ。」
( 核融合電池、始動プロトコル停止。全ての通信などの電波発信を停止致しました。通常畜電池での稼働時間の残稼働予測検査は、バーニア使用可能条件でしょうか?それともバーニア使用不可条件でしょうか?)
「バーニアおよび兵器など、装備品使用不可、当機単体の省電力での稼働時間を提示せよ。生命維持装置は最低限コクピット・エアー管理のみ。AI音声ガイダンスも今より停止。」
膝の横から出ている制御管理モニターの全ての文字が、少し暗めのオレンジ色の表示に変わった。
コクピット内の360度全面に映っていた外のカメラ映像も切れた。
真っ暗になるコクピット。
小さな制御管理モニターのオレンジ色の文字だけが暗闇に浮かんでいた。
そのモニターに、AIの回答の文字で、中国語とロシア語で表示された。
■通常情况下,我们的机器在行走时通常运行18分钟,在停止空闲状态下待机时间为7小时。正确的空调关闭状态下,待机时间可达4小时20分钟。
■Обычное время работы на аккумуляторе 18 минут в режиме ходьбы.
■В режиме ожидания с выключенным кондиционером 7 часов.
■В режиме ожидания с включенным кондиционером 4 часа 20 минут.
( 通常電池での当機稼働時間:歩行、通常動作18分、停止アイドリング状態7時間。正し空調オフ。空調オンでは4時間20分。 )
「……なるほどな。了解。」
暗闇で考える楊だった。
恐らく敵、シーラスは衛星空間から監視しているに違いなかった。
そこで無用な電波や熱を発生させずジッとしているしかないと、楊は考えたのだ。
しかき、このトラックの荷台の下には、弾薬類や可燃燃料がたっぷり搭載されているのだ。
気化弾などの衝撃波爆弾を食らったら、いくら丈夫なHARMORでも、ひとたまりも無いと思った。
楊の予想は当たっていた。
AXISの増援部隊を監視していたシーラス2ボーチャンのタイミングで、台湾本土より14発の巡航型気化爆弾のFAE兵器、エアースパーク・ファイブが既に発射されていたのだ。
残り時間はあと3分もなかった。
楊は英断した。
発見されるのを覚悟で、このトラックから退避する事を選んだ。
一度、止めたシステムを再開したのだ。
「マザー!通常蓄電池で全システム、全モニター始動。フェイズドアレイレーダー始動。20メートル以上の丘および高台を探せ。ピンガー打て(ピン、パーン)。全ての地形探査波、発信。」
正面モニターや、全てのモニター、操作端末類が復活して明るくなるコクピット。
ピンガーエコーデータや、地形探査アレー・データを受信し始めて、周囲の地形状況が明らかになる。
マザーAIの音声ガイドが復活して、楊に報告をした。
( 了解。地形計測終了。当機側面に丘陵があります。標高28メートル。丘陵上部には50メートル四方の緩やかな斜面を確認。 )
「よし!その丘陵ポイントを登録。(丘陵アルファーを登録。)当機は準備出来次第、始動する。(全動力モーター・全可動部の正常稼働を確認をしました。)AUTOコントロール稼働開始。(AUTOコントロール開始。全てのシステム・ベリファイ異常なし。)よし。マザー?ただし、核融合炉は使用不可。」
( 了解いたしました。核融合炉は使用不可、既存の畜電力で直ちに始動プロトコル開始。操縦および警戒・探査はAUTOに切り替え終了。 )
15メートルの巨大なロボットが、トラック荷台から足を外にずらしながら上体を起こした。
ひずんで、きしむトラックの荷台。
立ち上がる楊3級軍士長が乗る中華帝国連邦、人民解放軍陸軍・突撃人型装甲機「壊撃-2型」のホワイトハング-2だった。
( キキィー、ドカッー! )
止まったその直後、トラックの周囲全体で爆発し、巻き上がる土砂や煙。
( ドカン、ドカーン!ドババババーッ! )
運よく楊の乗るトラックの運転席には直撃弾はなかった、ハズだ。
そして目が覚めると、路上の片隅で目覚めた楊3級軍士長だったのだ。
そんな直近の事が思い出されたのだ。
楊が、吐き気も止まり、ゆっくりドアの前に立って、首のないドライバーが座る運転席に手を合わせた。
そして、ゆっくり目を上げると、荷台側に回っていく。
道路の至る所で、周りが焦げている小さな穴が無数に開いている。
自分が乗っていたトラックの側面にも無数の穴が開いていた。
ただ、自分は運が良かっただけなのだ。
そんな事を思っている楊の横の道を、大声を張り上げながらボロボロの装甲車やトラックが煙を吐きながら通過している。
生き残った部隊が、また逃亡しているのだった。
楊の鼻を強烈な臭いが刺激した。
逃亡し、通過する兵員車の荷台で、大勢の兵士が燃えていた。
むせる楊。
「うわ、臭っ!う~、オエーっ!くっさ!」
むせながら、トラックの荷台の、迷彩シートの止め金をはずして荷台に上がった。
迷彩色の天幕布を、ザッとめくって剥がしたが、そこにいるはずの2人の整備士の姿が無かった。
HARMORの股の部分にトランプが散らかっている。
そのトランプを手に取ると焼け焦げていた。
今度は、めくった迷彩の厚い天幕を見ると、真ん中に焼け焦げた大穴が空いていた。数か所開いている。
ふと、何か目に留まった。
恐る恐るモービルの脚部の下を見ると、2人の内のどちらかの右足が太ももから一本、転がっていたのだ。
2人は直撃弾を受けて吹き飛んだのだ。
モービルの内股の塗装にも、細かい傷が無数に入っている。一瞬で理解出来た楊だった。
「うわっ!うっ。くっ、くっ。」
両手の握りこぶしを強く握った。
仕事の同僚を3人も一瞬で失い、くやしさがこみあげてきたのだ。
しかし、そこは兵士の楊。
くやしさと、親しい同僚を失ったつらい気持ちを押し殺した。
ここは、戦場なのだ。
深呼吸をして、気持ちを入れ替える楊だった。
「すぅー、はぁーっ。よし!」
目を逸らしながらコクピットによじ登り、モービルの胸の高い所でよつん這いになって、這って行った。
そして楊は、モービル頭部からゆっくり周りの景色をのぞいた。
正面に見えたのは、地平線の向こうから煙が上がり続ける高速道路だった。
まだ、生き残った車両がこちらに向かって数台走って来ていた。
しかし、稼働する一機のHARMORも見なかった。
どの隊も不意を突かれたのだろうか、黒い煙や炎を出す残骸だけが続いている。
恐らく対人クラスターも含まれていたのだろう。
こちらに来る車両以外、動く人影もない。
楊が、自分の乗ったトラックの前後のトラックを見ると、ドアから血だらけでぶら下がる者、道端に倒れるドライバーなどが目に入って来た。
少しでも動いてい居る人がいればと助けようと思って、周りを見渡しても誰も動いていなかった。
恐らく、生き残ったHARMORパイロットは自分だけかも知れなかった。
「仕方ない。……動かすか。」
手動でコクピットシールドを開いて、乗り込む楊3級軍士長。
自動的に電源が入るコクピット。
乗り込んだ人間のチェックを自動的行い、楊3級軍士長を確認したAI。
( 楊3級軍士長を確認致しました。楊3級軍士長の通常被服着用を確認。直ちにパイロットスーツの着用に切り替えてください。ヘッドギア装着をお願い致します。当機は通常始動プロトコル開始します。核融合電池稼働開始。本連隊との通信が出来ません。広域に妨害電波が発せられているようです。緊急エマージェンシーコールを行いましたが、軍衛星からも返答がございません。)
どこからか、キィーンと作動音がするコクピット内。
「待て!」
AIに指示を出す楊。
敵の探査に引っかからない為、HARMORの存在を消す必要があると考えた。
「核融合電池停止。通信は一切禁止とする。いや、通信とレーダー類の探査波も一切禁止だ。非常事態、通常畜電池で稼働。当機の稼働可能時間を表示せよ。」
( 核融合電池、始動プロトコル停止。全ての通信などの電波発信を停止致しました。通常畜電池での稼働時間の残稼働予測検査は、バーニア使用可能条件でしょうか?それともバーニア使用不可条件でしょうか?)
「バーニアおよび兵器など、装備品使用不可、当機単体の省電力での稼働時間を提示せよ。生命維持装置は最低限コクピット・エアー管理のみ。AI音声ガイダンスも今より停止。」
膝の横から出ている制御管理モニターの全ての文字が、少し暗めのオレンジ色の表示に変わった。
コクピット内の360度全面に映っていた外のカメラ映像も切れた。
真っ暗になるコクピット。
小さな制御管理モニターのオレンジ色の文字だけが暗闇に浮かんでいた。
そのモニターに、AIの回答の文字で、中国語とロシア語で表示された。
■通常情况下,我们的机器在行走时通常运行18分钟,在停止空闲状态下待机时间为7小时。正确的空调关闭状态下,待机时间可达4小时20分钟。
■Обычное время работы на аккумуляторе 18 минут в режиме ходьбы.
■В режиме ожидания с выключенным кондиционером 7 часов.
■В режиме ожидания с включенным кондиционером 4 часа 20 минут.
( 通常電池での当機稼働時間:歩行、通常動作18分、停止アイドリング状態7時間。正し空調オフ。空調オンでは4時間20分。 )
「……なるほどな。了解。」
暗闇で考える楊だった。
恐らく敵、シーラスは衛星空間から監視しているに違いなかった。
そこで無用な電波や熱を発生させずジッとしているしかないと、楊は考えたのだ。
しかき、このトラックの荷台の下には、弾薬類や可燃燃料がたっぷり搭載されているのだ。
気化弾などの衝撃波爆弾を食らったら、いくら丈夫なHARMORでも、ひとたまりも無いと思った。
楊の予想は当たっていた。
AXISの増援部隊を監視していたシーラス2ボーチャンのタイミングで、台湾本土より14発の巡航型気化爆弾のFAE兵器、エアースパーク・ファイブが既に発射されていたのだ。
残り時間はあと3分もなかった。
楊は英断した。
発見されるのを覚悟で、このトラックから退避する事を選んだ。
一度、止めたシステムを再開したのだ。
「マザー!通常蓄電池で全システム、全モニター始動。フェイズドアレイレーダー始動。20メートル以上の丘および高台を探せ。ピンガー打て(ピン、パーン)。全ての地形探査波、発信。」
正面モニターや、全てのモニター、操作端末類が復活して明るくなるコクピット。
ピンガーエコーデータや、地形探査アレー・データを受信し始めて、周囲の地形状況が明らかになる。
マザーAIの音声ガイドが復活して、楊に報告をした。
( 了解。地形計測終了。当機側面に丘陵があります。標高28メートル。丘陵上部には50メートル四方の緩やかな斜面を確認。 )
「よし!その丘陵ポイントを登録。(丘陵アルファーを登録。)当機は準備出来次第、始動する。(全動力モーター・全可動部の正常稼働を確認をしました。)AUTOコントロール稼働開始。(AUTOコントロール開始。全てのシステム・ベリファイ異常なし。)よし。マザー?ただし、核融合炉は使用不可。」
( 了解いたしました。核融合炉は使用不可、既存の畜電力で直ちに始動プロトコル開始。操縦および警戒・探査はAUTOに切り替え終了。 )
15メートルの巨大なロボットが、トラック荷台から足を外にずらしながら上体を起こした。
ひずんで、きしむトラックの荷台。
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