「メジャー・インフラトン」序章6/7【下巻】僕のグランドゼロ〜少年兵の季節 Knock! Knock! Knockin' On Heaven

あおっち

文字の大きさ
15 / 31
第19章 バトル・オブ・千歳。Tactical Impossible!(戦術的不可能)

第14章 メティス、たった1機の防衛戦闘。

しおりを挟む
 滑走路南端の第7滑走路には、一面に濃い白い煙幕が、覆っていた。
 
 雲の中の稲光のように煙幕の中からオレンジや黄色い閃光と、こもった爆発音。


( ボンボンッ!ボンッ! )


( ドドッ!ボンボンッ! )
 

 そのたびにオートマ(武装装甲車)のコンディションを表すアイコンが点滅して消えた。

 慎重に突入するジェシカ。


( クォドシンッ、クォドシンッ。 )


 ジェシカを取り巻く全天周モニターに地面の振動先示す矢印が、振動を感知するたびに反応し浮かぶ。


( ピピッ……ピピッピピ…… )

 
 ジェシカの顔から汗が吹き出した。
 
 実戦の緊張と興奮する熱い息がかかり、ヘッドギアのガラス面を曇らせると直ぐにその曇りを、ヘッドギアがエアーで曇りを取る。
 そんな、せわしないガラス面から鋭い眼光を差し続けた。


( ローズ(ローザンヌ・ガルシア)に出来て私に出来ない事はない! )


 そう、思い自分を奮い立たせて白い煙幕の中心に入っていく。

 先程のローザンヌとの話を思い出した。

 
――ピンピンザザッ。ジェシー?それが生きてて、嬉しいわ!って言う人のセリフ?スーサイドアタックって、目の前に敵の砲弾飛んでくるんだかんね。マジ死ぬかと思ったんだから!マジで。部下の手前、カッコつけてたけどぉ。もうドキドキ、死んだらどうしようって。脱出出来なかったらどうしょうって、マジビビったから。――


 だだっ広い、隠れる所がない戦場で1対7のロボット対戦が始まった。


 陸上戦闘に特化した敵V-2は、陽動攻撃に徹しジグザグ走りながらオートマを撃破していく。
 メティス機は振動観測を元に、50ミリ速射カノン砲で反撃する。


( ドンッ!ドンッ!ドンッ! )


( シュッシュッシュッ! )


「……。」


 しかし、敵に当たった手応えがないのだ。
 余計に焦るジェシカ。
 
 ましてや、自分の背後には倉庫群が並んでいる。
 避難民の第13番倉庫に敵砲弾が当たった場合、どんな被害が出るかわからない。
 
 そんな事も考えて敵の反撃を気にして、立ち位置を確認しながら進んでいた。


――実戦経験したきよしなら、そして夫婦で世界の戦場を渡り歩いたジュリアならどうしているか……。

 
 恐らく敵HARMOR殲滅以外、考えていないであろう。
 避難民の保護は黄技術部長夫婦が全力でバリアー作業をしている。
 特にきよしは、黄技術部長を信じた瞬間から思考には入れず敵が滑走路に着陸する前に突入し、何からの決着が出ていた可能性が高い。

 残念ながら、実戦経験の有無がこの戦場では重要なファクターとなるのだ。
 
 先程のWALKER50体による先制攻撃、HARMOR 46機にもおよぶ飽和攻撃では、椎葉きよしは単騎で「煙野郎」作戦という黄色いスキャンニング・ジャマー煙幕の中とは言え、実際にはHARMOR40機近くを殲滅したのだ。
 
 敵に、「TNT軟性プラスチック絨毯ロール地雷」など敷設させるスキなど与えなかったかも知れないのだ。
 もしかしたら煙幕すら発射する余地を与えなかったかも知れない。


 それとも、きよしが駆けつけて既に煙幕を張られていたのなら巨大なロボット扇風機となるだろう。
 
 四つん這いで、背中のランドセルバーニアを最大に吹かし煙幕など綺麗に払い、エイジャックス20輌によるスイングファイアーミサイル攻撃で5秒も掛からずにカタがついていたかもしれない。


 それが椎葉きよしなのだ。


 しかし、現実は初陣のジェシカ・L・D・G・スミス中佐の1機 VS  敵、シータおよびデルタ小隊7機の直接対決なのだ。


 彼女の行動は、アメリカ陸軍による敵HARMOR、煙幕下による演習通り100点満点の行動だった。
 
 これが演習ならば。

 の、話だ。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

わたしの下着 母の私をBBA~と呼ぶことのある息子がまさか...

MisakiNonagase
青春
39才の母・真知子は息子が私の下着を持ち出していることに気づいた。 ネットで同様の事象がないか調べると、案外多いようだ。 さて、真知子は息子を問い詰める? それとも気づかないふりを続けてあげるか?

中1でEカップって巨乳だから熱く甘く生きたいと思う真理(マリー)と小説家を目指す男子、光(みつ)のラブな日常物語

jun( ̄▽ ̄)ノ
大衆娯楽
 中1でバスト92cmのブラはEカップというマリーと小説家を目指す男子、光の日常ラブ  ★作品はマリーの語り、一人称で進行します。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

リボーン&リライフ

廣瀬純七
SF
性別を変えて過去に戻って人生をやり直す男の話

百合ランジェリーカフェにようこそ!

楠富 つかさ
青春
 主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?  ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!! ※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。 表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。

日本新世紀ー日本の変革から星間連合の中の地球へー

黄昏人
SF
現在の日本、ある地方大学の大学院生のPCが化けた! あらゆる質問に出してくるとんでもなくスマートで完璧な答え。この化けたPC“マドンナ”を使って、彼、誠司は核融合発電、超バッテリーとモーターによるあらゆるエンジンの電動化への変換、重力エンジン・レールガンの開発・実用化などを通じて日本の経済・政治状況及び国際的な立場を変革していく。 さらに、こうしたさまざまな変革を通じて、日本が主導する地球防衛軍は、巨大な星間帝国の侵略を跳ね返すことに成功する。その結果、地球人類はその星間帝国の圧政にあえいでいた多数の歴史ある星間国家の指導的立場になっていくことになる。 この中で、自らの進化の必要性を悟った人類は、地球連邦を成立させ、知能の向上、他星系への植民を含む地球人類全体の経済の底上げと格差の是正を進める。 さらには、マドンナと誠司を擁する地球連邦は、銀河全体の生物に迫る危機の解明、撃退法の構築、撃退を主導し、銀河のなかに確固たる地位を築いていくことになる。

ビキニに恋した男

廣瀬純七
SF
ビキニを着たい男がビキニが似合う女性の体になる話

性別交換ノート

廣瀬純七
ファンタジー
性別を交換できるノートを手に入れた高校生の山本渚の物語

処理中です...